004 赤い風車
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第4弾です」
礼子「凧、茶匙、糸巻きときて風車ですか。脈絡がないですね」
仁「言ってやるな」今まで寒かったから創作意欲が湧かないらしい
礼子「ええと、では気を取り直して。……風車というのは和風オモチャですね」
仁「ただの風車じゃなくてだな、元ネタがちゃんとあるんだ」
礼子「それは?」
仁「施設時代、院長先生が好きだった娯楽時代劇でな……」
仁、説明中……。
先の副将軍が諸国漫遊して悪人を懲らしめる話。
仁「そこに出てくる、忍者崩れの元盗賊が手裏剣代わりに赤い風車を投げるんだよ」
礼子「空気抵抗がもの凄くて、遠くまで届かない気がしますが」
仁「言うな」
礼子「それにそんな大きなものを何本懐に入れているんですか」よく潰れませんね
仁「だから言うなって」
* * *
仁「こほん、ではさっそく作ってみよう」
礼子「材料ですね」
仁「できるだけ似せたいので、本体は赤い画用紙だ。持ち手は模型用の角材、6ミリ角」
礼子「本家は鉄ですよね?」
仁「手裏剣代わりだからな。こっちは投げる気はないから木でいいだろう」
礼子「回転軸は画鋲ですか」
仁「あの時代、多分ムクロジの実で止めているんじゃないかと思うんだが、手に入らないので画鋲にした。ちなみに作者は頭の黒い画鋲を探すのに少し苦労したと言っていたぞ」
礼子「ムクロジの実っていうと、羽根突きの羽根にくっついている黒い玉ですね。あれ、実だったんですか」
仁「正確には種だな。ムクロジの実はあの種の周りに果肉というか皮が付いているんだが、その皮に『サポニン』という成分が含まれているんだ」
礼子「シャボン、サポンから付けられた物質名ですよね」
仁「そうだ。『08-36 閑話7 その頃カイナ村』で『リタの実』がムクロジだと明言しているしな」
礼子「お暇な方は読み返してみてくださいね」
仁「自然公園にもムクロジは植えられていることがあるから、都会でも手に入るかも」
礼子「ムクノキとムクロジって違う木ですよね?」
仁「そうなんだ。どっちも『むく』の木、って言いたくなるけどな」
礼子「ちなみにムクノキの葉にはざらざらした細かい毛が生えていて、桐材を仕上げる時のサンドペーパー代わりに使われていたそうです」
仁「大分話がそれたな」
礼子「まずは加工する図ですね」
仁「正方形の紙、中心、対角線。これをきっちり出せればバランスがとれて、よく回る風車になるはず」
礼子「問題は、中心付近まで入れる切り込みですね。どこまで入れるかが難しそうです」
仁「対角線を引いて、中心から外側への長さの3分の1を残せばいいぞ」3分の2を切り込むと言い換えてもいい
礼子「あ、それならわかりやすいですね」
仁「対角線が15センチならその半分の3分の1で2.5センチとなるな」切るのは5センチとなる
礼子「わかりやすいですね」
仁「そういうことだ。ちなみに作者のは1辺17センチの正方形で、対角線が約12センチになっています」画像は1作めで大きすぎたときのものですが
礼子「17センチでも少し大きめでしたので、もう少し小さい方が作りやすそうです」1辺15センチくらいがおすすめです
仁「カットした片側を折り曲げるんだが、風車の人が持っているやつはだいたいが向かって右を中心へ持ってきているのが多いみたいだ」
礼子「回転方向が決まるんですね」
仁「そういうことになるな」
礼子「目打ちや千枚通しで穴を空け、角材に画鋲で留めてできあがりですね」
仁「軽く回転させるため、ビーズを入れている」大昔、ライトプレーンを作るときに使うために買ったものらしい
礼子「拘ってますね」
仁「さて、出来上がったら風に当てて回そう」
礼子「よく回りますね」
* * *
仁「というわけで、第4回は風車作りの解説でした」
礼子「お読みくださりありがとうございました」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。




