021-3 ペガサス2(ソリッドモデル)その3
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第21弾その3です」
礼子「前回と前々回の続きですね」
仁「もう一度説明しますと、モデルは『マギクラフトマイスター』で仁が乗っている『ペガサス2』です」
仁「まずは素材」
礼子「え? 何を作るんですか?」
仁「ああ悪い。ええと、キャノピー(風防)を作るための素材だ」
礼子「透明なプラで作るのでは?」
仁「それを整形するための『型』を作るんだよ」
礼子「型、ですか」
仁「そう。透明な塩ビ板やPET板を整形するんだ」
礼子「難しそうですね」
仁「慣れれば、この程度ならそうでもない」ただ、1つだけ作るためなのに手間が馬鹿にならない
仁「で、まずは雄型ということで、キャノピーの形に削っていく」
礼子「左右対称に削るんですね」
仁「そうだな。だからいきなり涙滴型にするんじゃなくて、角を落として大体の形を作り、それを次第に精密加工していくのがコツだ」
礼子「あ、そうなんですね」
仁「①で線を引いて②で長手方向の角を落とす。③で流線型に線を引いて④でバンドソーを使って形を切る」
礼子「⑤では縦方向の角を落としてますね」
仁「うん。⑥でその角を丸めて、⑦でてっぺんのかどを落とし、⑧で滑らかに仕上げている」これが唯一の正解というわけではありませんので作りやすい方法で作ってください
仁「で、滑らかにするために樹脂で固める」
礼子「いつものウレタンではないんですね」
仁「ああ。これはFRPを作るためのエポキシ樹脂だ」ブ○ニー技研……○にはレが入ります……のGMー68○○などです
礼子「自動車のボディ補修とかやっている人もいますけど、あまり一般的ではないですよね」
仁「その場合はエポキシ接着剤を塗って、ドライヤーで温めてやるといい」トロトロになって染み込んでくれる
礼子「で、固まったらサンドペーパーがけですね」
仁「そうだな。できれば1000番くらいまで掛けて欲しい」
仁「で、雌型も作る」
礼子「石膏ですか?」
仁「いや、100均の紙粘土」もしくは石粉粘土
礼子「プラ容器は?」
仁「一口サイズの豆腐の容器が丁度あったので使った」なくても大丈夫です
礼子「水を加えて粘土を練って、軟らか目にしてぐっと雄型を押し込むんですね」
仁「そうそう。で、少し乾いてきたところで雄型を少しグリグリして引っこ抜けば型ができる」
礼子「もちろん乾燥させてから使うんですよね」
仁「そういうことだな。一応雄型と雌型の間に透明プラ素材の厚さ分の隙間がないと駄目だからな」紙粘土・石粉粘土は乾けば楽に削れるので調整してください」
礼子「あと、雄型を安定させるため、カマボコ板に両面テープで止めています」
仁「風防の素材はこれ」厚さ0.2ミリのPET
礼子「PETですか」ポリエチレンテレフタレートでしたっけ
仁「作者はハ○ズで買ったようだがホームセンターでも扱っているだろう」
礼子「塩ビでもいいですよね?」
仁「いいぞ。ただ最近、塩ビは燃やすとダイオキシンが出るとかでだんだん見かけなくなっているな」あと、多分塩ビは厚さが0.3ミリだ
仁「で、いよいよ成形だ」
礼子「透明プラ板を軟かくしてから型に挟んでプレスですね」
仁「そう。温めるのはドライヤー、ガスコンロ、ストーブなどの熱源で」火事と火傷には注意してください
礼子「何かコツはありますか?」
仁「プラ板は、できれば助手の人に手伝ってもらって、4隅を引っ張り、やや伸ばし気味にしておいて型に挟むと失敗が少ないと思う」
礼子「付け根部分にシワが寄り安いからですね」
仁「そういうこと」作者は失敗することも考えて2つ作ったようだ
仁「で、切り抜いてから少し切り口にサンドペーパーを掛けたものがこれ」
礼子「透明なので見づらいですね」
仁「そこはごめんなさいだな」
仁「次はコクピット」つまり操縦席
礼子「座席も作るんですね」
仁「ボール紙にプラモデル用のパテを盛って作っているな」
礼子「計器盤はアルミですか」
仁「0.4ミリのアルミだな」そこへ1ミリとか0.5ミリのピンバイスで穴を空けている
礼子「細かいですね」
仁「この時ばかりは、作者もスケールを小さくしすぎたことを後悔したらしい」
礼子「操縦桿は?」
仁「1ミリのステンレスばね線の先にハンダをちょこんと盛ったらしい」
礼子「塗装はつや消し黒ですね」
仁「そうそう」
仁「さて、ここまで細かい加工だったが、いよいよ機体の仕上げだな」
礼子「主翼の付け根や尾翼の付け根、エアインテークの付け根などのパテを盛るんですね」
仁「そうそう。これはタ○ヤのプラパテだ」
礼子「作者さんはラップを蓋とチューブの間に挟むことで、口を開けたパテの乾燥を防いでいます」これは漆のチューブで培った工夫です
仁「で、パテを塗ると、こうなる」
礼子「乾かすんですね」
仁「きちんと乾かしてから削らないと、ポロッと落ちたりするから要注意だな」せっかちはいけません
仁「で、パテを乾かしている間に風防を取り付ける段差を作っておくわけだ」
礼子「風防を乗せて鉛筆で形を写すんですね」
仁「そうそう。で、そこに合わせてヤスリや彫刻刀やリューターで少し溝を彫るんだ」
仁「で、パテを削って滑らかにした」
礼子「機体らしくなりましたね」
仁「次回はいよいよ塗装だな」
礼子「楽しみです」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」
ごらんいただきありがとうございました。
次回更新は4月の末頃の予定です。




