009 カレイドスコープ
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第9弾です」
礼子「今回はカレイドスコープですか? 随分と趣旨が変わりましたね」
仁「たまにはな」作者が書いた別のラノベにちょこっと出てくるんだ
礼子「ああ、そうでしたね……」
仁「日本語では万華鏡」昔は駄菓子屋さんでよく見たんだが今はどうなんだろうな
礼子「駄菓子屋さんがなくなりましたからね」
仁「そうなんだよな……まあいいや。気を取り直して、まずは構造の解説だ」
礼子「鍵となるのは三角に組み合わせた鏡ですね」
仁「そうなるな。鏡がなければただのガラスの裏に黒い紙を貼ったものでもいい」
礼子「ああ、背後からの透過光がなくなることで、ガラス表面の反射が利用できるんですね」
仁「そういうことだ。窓ガラスが、暗い方から明るい方はよく見えるのと同じだな」
礼子「外が暗いと窓ガラスに顔が写りますからね」
仁「そうそう」
仁「で、材料だ」
礼子「メインは鏡と筒ですね」
仁「そう。この鏡はハ○ズで売ってたアクリルミラーだ。ガラスより加工性がいいし危険が少ない」割れないからな
礼子「筒は?」
仁「ラップの芯だな」トイレットペーパーの芯ではないですよ
礼子「この芯の中に、三角に組み合わせた鏡を入れるわけですが、どのくらいのサイズに加工すればいいんですか?」
仁「三角関数を使うと簡単だ」
仁「つまり、ガラスの短辺L=2r・sin60°だな」rは筒内部の半径です
礼子「なるほど、こうやって求めるんですね」数学も役に立つんですね
仁「平方根は電卓やパソコン、スマホの計算機能で求められるしな」昔は三角関数表というのがあってだな……
礼子「昭和ですか」でも、今も数学の教科書の巻末にあるのかも?
仁「こほん、この芯は外形33ミリ内径が30ミリだった。つまりr=15だ」
礼子「sin60°はおよそ0.866ですからL≒25.98ですね」
仁「そういうことだな。ただ、鏡の厚みもあるし、大きすぎると筒に入らなくなるから、やや小さめにして、緩かったら紙を巻く位のほうが失敗は少ない」
礼子「でしたら25ミリで作ればよさそうですね」
仁「そんな感じだな」
仁「で、鏡をカットした」
礼子「道具は何ですか?」
仁「アクリルカッターや金ノコだな」作者はバンドソーで切ったようだ
礼子「加工の際は怪我にご注意くださいね」
仁「ついでに筒も、鏡の長さプラス5ミリで切りました」
礼子「直角に切るのがコツですね」
仁「で、鏡を三角に組み合わせて、トレーシングペーパーを貼り、中に色紙や色セロハンを細かく切ったものを入れれば、一応は万華鏡になる」トレーシングペーパーがないならキッチンペーパーでもいい
礼子「でも、上を向けると中身が落ちてきますね」目に入りそうです
仁「まあ当然だな。だから筒に入れるため一工夫するわけだ」
礼子「鏡はテープで仮止めしてエポキシ系の接着剤で止めればいいですね?」
仁「十分だな」
仁「ピンぼけなのは許してください」m(_ _)m
礼子「透明なプラスチックの板を丸く切るんですね」
仁「そう。筒の内径に合わせて直径30ミリだな」モノはUSBかなんかのケーブルが入っていたブリスターパックを使った
礼子「以前はPVC=ポリ塩化ビニールが多かったですが最近はダイオキシン問題のせいかPET=ポリエチレンテレフタレートが多いですね」
仁「だな。……もちろん市販の透明樹脂板を使ってもらっても結構です」
礼子「この辺の工作がちょっと精度を必要としますね」丸く切ることや隙間なく嵌めることなんか
仁「まあな……。それを嵌めて、色紙や色セロハンを入れて、今度は筒の外形に合わせた半透明のプラスチック板で蓋をすれば……」半透明の板がなければ、透明の板を貼ってからトレーシングペーパーを貼ればOK
礼子「なかなか乳白色の樹脂板って手に入りませんよね」トレーシングペーパーやキッチンペーパーを貼ったほうが早そうです
仁「だな。……これで、本体は一応完成だ」
礼子「これなら上を向けても落ちてきませんね」
仁「そりゃそうだ」ところで、色紙や色セロハンの代わりにスワ○フスキーとかのカラークリスタルを入れるとすごいことに
仁「で、のぞき穴の付いた蓋も付けて、周りをちょっとデコレーションしてやれば……」100均のマスキングテープなんかがおすすめです
礼子「豪華になりました」
仁「で、明るい方に向けてくるくる回すと……」
礼子「綺麗ですね」
仁「デザインにも使われているそうだ」
礼子「2度と同じ模様にはならないでしょうからね……」一期一会です
* * *
仁「というわけで、第9回は『カレイドスコープ』の解説でした」
礼子「今回はちょっと高度な加工も入りましたね」
仁「素材も手に入れにくいものが若干あったかな」アクリルミラーとか
礼子「お父さま、お疲れさまでした」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
20201130 修正
(誤)
仁「だな。……もちろん市販の透明樹脂板を使ってもらっても結構です」
仁「まあな……。それを嵌めて、色紙や色セロハンを入れて、今度は筒の外形に合わせた半透明のプラスチック板で蓋をすれば……」半透明の板がなければ、透明の板を貼ってからトレーシングペーパーを貼ればOK
(正)
仁「だな。……もちろん市販の透明樹脂板を使ってもらっても結構です」
礼子「この辺の工作がちょっと精度を必要としますね」丸く切ることや隙間なく嵌めることなんか
仁「まあな……。それを嵌めて、色紙や色セロハンを入れて、今度は筒の外形に合わせた半透明のプラスチック板で蓋をすれば……」半透明の板がなければ、透明の板を貼ってからトレーシングペーパーを貼ればOK
20210104 修正
(誤)礼子「sin60°はおよそ0.866ですからr≒25.98ですね」
(正)礼子「sin60°はおよそ0.866ですからL≒25.98ですね」




