001 凧
不定期連載になると思いますが、作者が実際に作ったものを、作品にからめて紹介していきます。
より物語をお楽しみいただける一助となれば幸いです。
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「このたび、作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画が始まりまして」
礼子「お父さまなら適任ですものね!」
仁「で、第1弾が『凧』なわけだ」
礼子「お父さまがWEB版の5章……『05ー05 凧作り』、また書籍版4巻の12話で作ったあれですね?」
仁「そうそう。フレキシブル・カイトってやつだ」
礼子「作者さんが中学生の時に技術の先生に紹介されたって言ってましたね」
仁「そんなこともあったな」(遠い目)
礼子「エルザさんが村の子供たちと仲よくなるイベントでしたね」
仁「そうだったな。……懐かしむのはこれくらいにして、作り方を紹介するぞ」
礼子「はい」
仁「まずは図面だ」
礼子「使い回しですね」
仁「まあな。だけどちゃんとした図面だからいいだろ」
礼子「縦横比は正方形なんですか?」
仁「より縦長にすると安定がよくなる、逆に横長にすると安定が悪くなる」
礼子「落ちると危険ですものね」
仁「そうそう。昔はおおらかだったから、冬休みになると電線に引っ掛かってる凧があちらこちらにあったものだ」
礼子「それって、お父さまの子供時代より前ですよね?」
仁「多分作者の子供時代だな」
礼子「歳がばれますね」
仁「言ってやるな」
礼子「作中では『龍』って書いてましたが、書く部分がかなり縦長ですね」
仁「なんなら二文字熟語にするという手もある」
礼子「昇龍とかかっこよさそうですね」
仁「作者は『The Price』と書いていたな」
礼子「『物価』ですか……」
仁「ああ。当時は毎年上がるものだったそうだ」
礼子「発想が厨二ですね」(ぼそっ)
仁「正に中学2年の時だったそうだしな」
仁「で、次は材料だ」
礼子「ビニールシート、3ミリ角〜5ミリ角のヒノキの角材、もしくは竹材、それに鳩目、凧糸ですか」
仁「ホームセンターや100均でかなり揃えられると思う。凧糸はチャーシュー用のものでもいいと思うぞ」
仁「あとは接着剤やハサミなんかの工具もな」
礼子「作中では薄く仕上げた革を使ってましたね」
仁「ビニールがないから仕方ない。革じゃどうしても重くなるから、大きめに作るしかなかった」
礼子「ビニール(ポリエチレン)なら30センチ角でも上がりますか?」
仁「それなりに上がると思うぞ。ゴミ袋なんかは大きいのが作れるだろうし、ビニール(ポリ)の風呂敷もいいかもな」
礼子「実際に作者が使ったのは端材として売ってた不織布ですね」
仁「和紙にちょっと似ているというのと安く買えたから、という理由らしいぞ」
礼子「で、せっかくなので『龍』と書いたんですね」
仁「やっぱり上下が空くな。いっそのこと縦長の凧にして『天上大風』って書くのもいいかもな」
礼子「どういう意味ですか?」
仁「良寬さんっていうお坊さんの書だったかな。『空は何もないように穏やかに見えているが、その上では大きな風が吹き荒れているものだ』っていう意味だったと思う」
礼子「深いですね……」
仁「良寬さんは禅師、つまり禅宗のお坊さんだったからな。そうした含蓄のある言葉は得意なんだろう。……で、組立だ」
礼子「補強を入れてますね」
仁「風の力って強いからな。糸は骨じゃなくシートに付けられているから、下手すると引きちぎれる」
礼子「それは見過ごせません」
仁「だから、凧糸を付ける部分は鳩目で補強して、シートにも透明なテープで補強を入れているんだ」
礼子「作者さん、慎重ですね」
仁「だから俺だって、礼子に十分すぎる強度とパワーを与えているんだ」
礼子「そうでした」
仁「で、糸を付ける」
礼子「この糸の長さはどのくらいですか?」
仁「短いと安定が悪くなるから、だいたい凧の幅の倍くらいだな」
礼子「わかりました」
* * *
仁「で、近所で飛ばしてみた結果がこれだ」
礼子「よく飛んでますね」
仁「だろう?」
礼子「糸巻きはどうしているんですか?」
仁「ああ、それがあったな。次の回で解説しよう」
礼子「わかりました」
* * *
仁「というわけで、第1回は凧作りの解説でした」
礼子「ご拝読ありがとうございました。評判がよかったら作者さんも喜びます」
仁「ネタは結構あるらしいので」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございます。