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世間知らずのお姫様と二人の罪人の逃亡記  作者: 近江 由
ライラック王国のお姫様~ライラック王国編~
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お転婆なお姫様 2

 


 侍女たちに連れて行かれ、ミナミは強制的に着替えさせられた。

 何でも、壁をよじ登った時にドレスが汚れたようだ。


「別にこれぐらい気にしないのに…」

 ミナミは口を尖らせて呟いた。


「いけません。今日はお城に客人が来られているのです。どこで見られているのかもわからないのですから…」

 侍女は少し神経質そうに言っていた。


 その様子から、客人と言うのが歓迎されていないことが察せられる。

 隙を見せてはいけないと暗に言い聞かせているようだ。


「…もしかして、お父様の用事って…」

 ミナミはじっと侍女を見た。


「ええ…お客人です。」


「へー」

 ミナミは少し客人が気になった。

 隙を見計らって、様子を見に行こう。


 口に出したら見張りをつけられるだろうが、内心こっそり決心した。


「お父様に会いたい―。いつも構ってくれるのにー」

 父親に会いたいアピールをして、様子を見るだけでもできないかと思った。



「図々しいな。愚妹。」

 冷ややかな声がかかった。


 その声にミナミは眉を顰めた。


「これは…オリオン王子…」

 侍女たちは姿勢を正して、礼をした。


 ミナミが着替えているのにも関わらず部屋に入ってくるのは図々しくないのかとこの場にいる者は思っているが、それは口に出せない。

 彼は、ミナミの兄であり、第一王子のオリオンだ。

 王位継承第一位のいわゆる王太子だ。


 ミナミと同じ金髪で、グレーの瞳をしている。

 だが、唇は薄く、少し冷淡な雰囲気のある青年だ。彼は今年22になる。

 口元や目元は冷たい印象を受けるが、全体的に端正で美青年といえる。だが、気難しく人嫌いであまり性格がよくない。よって、非常に侍女たちからの評判は悪い。


「お兄様…別に甘えるくらいいいじゃないですか。」

 ミナミは、この兄が苦手だ。

 それはオリオンもそうだろうとミナミは思っている。

 会うと皮肉を言われ、説教をされる。


「それなら、せいぜい今のうちに身分を満喫するんだな…」

 オリオンは冷たく笑った。


「それに、父上は、今お前に構っている場合じゃないだろう。ご機嫌取りに必死だからな。」

 オリオンは続けて嘲るように笑いながら言った。


「ご機嫌取り?」


「ああ。忌々しい帝国の死神が来ているらしい。」

 オリオンは口を歪めて、不快であることを隠していない。


「死神…?赤と黒の?」

 ミナミは、さきほどルーイから聞いた話を思い出した。


「知っているのか?世間に疎いお前がな…。

 ああ、あの卑しいくそ野郎か?」


「え?私お兄様たちから何も聞いていないですよ。」

 ミナミはキョトンとした。


 後ろで侍女たち数人が肩を震わせていた。

 オリオンは顔を真っ赤にしてミナミを睨んでいた。


「え?何?」

 ミナミは本当に分かっていないようだ。

 オリオンが言った卑しいくそ野郎というのは、ルーイのことだ。

 彼は、貴族でもない兵士が王族と仲良くしているのが気に食わないようだ。

 だが、ミナミは“卑しいくそ野郎”をオリオンか、他の兄たちと間違えたのだ。本気で本心で。


「帝国の死神…」

 だが、ミナミはオリオンの様子よりも帝国の死神のほうに興味が強かった。


「…ゴホン。いい加減関わる人間を考えた方がいいぞ。」

 オリオンは呼吸を整えて怒りを抑えながら、言った。

 だが、それもミナミの耳には入っていない。


「お手洗い!!」

 ミナミはオリオンの脇を通って、勢いよく廊下に飛び出した。

 ここでミナミの必殺技の魔力ピカッが炸裂する。

 ミナミは逃げ出すとき、目くらましとして自身の魔力を閃光のように光らせ目くらましをするのだ。もちろん目がくらむ以外の危害はない。


「姫様!!」

 侍女たちが慌てて止めようとしたが、目がくらんだ上に、入り口に立っている同じように目がくらんでふらついているオリオンが邪魔になった。


 そのオリオンはあからさまにミナミに無視されたことと目くらましを食らったことで、せっかく落ち着けた怒りを再燃させていた。

 彼の周りに冷ややかな魔力が漂っている。


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