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世間知らずのお姫様と二人の罪人の逃亡記  作者: 近江 由
ライラック王国の姿~ライラック王国編~
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立ちはだかれるお姫様

 


 アロウが持ってきてくれた本は、確かに勉強になるものだった。

 ただ、魔力に関しては同じような力を持つものからのアドバイスがいいと言っていただけだった。

 ミナミと同じような力といっても、父もオリオンもミナミのようになっているところは見たことが無い。


 いや、殺される前の父はホクトに対して感情を荒げ光っていた。

 しかし、それを思い出すとひたすら沈んで悲しい気持ちになるので、今は考えないようにした。


 そして目の前の本に目を向けた。

 ただ、勉強をさぼり続けていたミナミには難易度が高い。


「…そうだ。他の本が無いか…アロウさんに聞こう。」

 いくら真面目に勉強すると決意したミナミでも、最近まで逃亡していた。

 そんな集中できるはずもないし、今は閉じ込められて追い詰められている状況だ。


 逃げるように廊下側の扉に向かった。


 直ぐにミナミの動きに気付いたルーイが追いかけた。


「…だめだよ」

 部屋の前には立っているはずのモニエルが、勢いよく扉を開いてミナミの前に立ちはだかった。


「…えっと、モニエルさん…」


「見張れよ…役に立たないな…」

 モニエルはミナミの後ろにいるルーイを見て溜息をついた。


 ミナミには見えないが、ルーイが苛立っていることはよくわかる。

 保証できる。


 モニエルに対してルーイは無反応だ。

 いや、何も言っていないだけでルーイはモニエルを睨んでいる。


「…あの、モニエルさん…その、本が欲しいなって…。あと魔力についても」

 ミナミは不穏な空気を察してモニエルに笑顔で言った。


 モニエルはミナミの持っている本をチラリと見て溜息をついた。


「…教育を受けている姫様の年頃なら、その本がちょうどいいと思うけど、もしかして、バカだった?魔力に関しても君の場合は自制心でしょ?」

 モニエルはミナミの後ろのルーイに一切目を向けずに言った。


「えっと…」

 モニエルの言葉はミナミの心にとても響いた。


 彼の言う通り、つい最近までサボっていたミナミは、王家の教育を受けている身としてはおバカなのだ。

 ただ、魔力に関しての自制心とはわからなかった。


 モニエルはミナミの様子を見て呆れたようにため息をついた。

 彼はミナミから本を取り上げた。


 後ろのルーイが何やら構えたらしく、モニエルは小声で「無駄に動くなよ雑魚」と言った。


 モニエルはミナミから取り上げた本のページをペラペラとめくり、とあるページに指を挟んでミナミに差し出した。


「地図でも見ていればいいと思う。文章じゃなくて…真ん中らへんにあるから、それを中心に読んだらいいよ。」

 モニエルはミナミにページがわかるように本を渡した。


「…あ、ありがとうございます。」

 ミナミは予想もしていなかった彼の行動に少しだけ呆然とした。


「だから、大人しくしていてよ。後ろの雑魚兵士もね…」

 モニエルはミナミと、それ以上にルーイに冷たい視線を向けて言った。



「そうもいかなくなった…」

 廊下に出て扉を閉めようとしたモニエルを制止するように声がかかった。


 声の主はアロウだ。


「アロウさん…どうし…」

 ミナミが言いかけた時、アロウは廊下にモニエルを置いたまま部屋に入ってきた。

 扉を閉めて、ミナミを部屋の中に押し込んだ。



 椅子にミナミを座らせると、アロウは立っているルーイを見て廊下の方を指さした。


「ルーイ君。君にお客さんだよ。」

 どうやらミナミは外に出ずに、ルーイだけ廊下の外に出るように言っているようだ。


 警戒もあるが、渋るルーイにアロウは溜息をついた。


「…これを持ってきた人です。」

 アロウは、なにやら小袋を見せながら言った。


「…それは…」

 その小袋を見て、ルーイは少しだけ安心したように頷いた。



マルコム:

主人公。茶色の髪と瞳をしている。整った顔立ちで人目を引くが、右頬に深い切り傷のあとがある。槍使いで顔に似合わず怪力。身体能力が高く、武器を使わなくても強い。

追われている身であるため「モニエル」と名乗り、本名は伏せている。


シューラ:

主人公。白い髪と赤い目、牙のような八重歯が特徴的。日の光に弱く、フードを被っていることが多い。長い刀を使う。マルコムよりも繊細な戦い方をする。

追われている身であるため「イシュ」と名乗り、本名は伏せている。マルコムと二人の時だけ本名で呼び合う。



ミナミ:

たぶんヒロイン。ライラック王国王家の末っ子。王に溺愛されている。国王殺害を目撃してしまい、追われる身になる。好奇心旺盛で天真爛漫。お転婆と名高い。汚いものを知らずに生きてきた。


ルーイ:

ライラック王国の兵士。ミナミの幼馴染。市民階級であるが、いつかミナミと並ぶために将軍を目指し剣や勉強に励んでいる。オリオンの命と自らの意志により、ミナミの逃亡の手助けをする。


フロレンス(リラン・ブロック・デ・フロレンス):

帝国の公爵家の若い青年。赤い長髪を一つに束ねており、帝国の赤い死神と呼ばれる青年。まだ若いが、ライラック王国の対応の頭。ミナミの逃亡を助ける。


オリオン:

ライラック王国第一王子。ミナミの兄。王位継承権第一位。ミナミの逃亡の手助けをオリオンに命ずる。


エミール:

帝国騎士団副団長。リランの付き人。リランよりもかなり年上。


アロウ:

ライラック王国で表では武器屋、裏では宿屋を営業する男。裏の情報を城に流していた。国王の古い友人でマルコムとシューラの雇い主。


ホクト:

ライラック王国第二王子。ミナミの兄。王位継承権第二位。父である国王を手にかける。



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