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世間知らずのお姫様と二人の罪人の逃亡記  作者: 近江 由
二人の青年
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一粒の魔力から

追加要素によって追加したプロローグです。

世界観がかなり変わっていると思います。

 

 一粒の魔力から始まったと言われるこの世界。

 その説が正しいと裏付けるように、この世界の万物は魔力を持っている。

 やがて魔力は光、闇、火、水、風、草、土、雷を主なものとした様々な種類に分かれ、そして生まれる生き物も様々な種類に分かれた。

 魔力を有した獣や、不可思議な巨大生物。そして我々人間もその種類の一つだった。

 やがて魔力を有した獣は魔獣と言われ、家畜となり人に飼われる種類もあれば、人に危害を加えるものになり

 不可思議な巨大生物は、人の手が及ばないほどの力を持ち、世界各地にひっそりと存在する。

 また、人に似ているが人とは異なる種族も存在する。


 そんな雑多なこの世界は、四つの大陸といくつかの島で成り立っている。

 そのうちの一つの島は人と異なる種族が社会を形成しており、人を寄せ付けない。そこは魔境と呼ばれ、我々人が関わる事は無い。よって人が関わるのは三つの大陸だ。

 そして、定まった場所で人間が生まれれば営みが生まれ社会が構成される。

 さらに争いが生まれ、社会の破壊と再生を繰り返し様々な国が生まれ、世界が徐々に形を作る。


 だが、その破壊と再生に終止符を打とうとする存在が現れる。

 彼は自らが団長を務める強力な騎士団を有し、魔術に秀でた人材を豊富に持つ帝国の一人の公爵だった。


 彼が掲げたのは「人の世の統一」。

 それは、世界の人たちを帝国や帝国騎士団の支配の下に置くことだった。

 ただ、その男は公爵家とは言え王族ではなかった。

 辿れば王族であったとしても、彼は王の血脈に連ならない。そのため、公爵の声は、最初は夢物語のように言われ嘲笑されていた。


 しかし、公爵が、彼らが一つの大陸を統一したことに加え、彼が人間離れした力を持つことが明らかになったことで、夢物語が現実味を持った。

 海を挟んだ者たちも明日は我が身。

 その公爵と、仲間たちの騎士団、そしてその帝国に脅えた。


 世界統一を掲げ、最強の騎士団を率いる公爵は、その真っ黒な髪と人間離れした力から「帝国の黒い死神」と呼ばれる。

 強靭な体。人間離れした力と卓越した剣術。そしてどんな魔術師よりも膨大な魔力。

 彼の二つ名はまさに死神というのがふさわしかった。


 さらに騎士団にはもう一人死神という二つ名を持つものがいた。

 彼は真っ赤な長髪から「帝国の赤い死神」と呼ばれる。

 赤い死神は黒い死神ほど強靭な体や人間離れした力は持っていなかったが、人間では考えられないほど多くの魔力の種類を有し、恐ろしく身軽で素早く、誰よりも優れた隠密能力を持っており、卓越した剣術を持っていた。彼もまた二つ名が死神というのにふさわしいものだった。


 そんな死神たちが率いる帝国は、残り二つの大陸の制覇にかかる前に、いくつかの大きな島を有する諸島群の国に目を付けた。

 その諸島群には世界の港と呼ばれる貿易の中継地点の国ライラック王国があった。

 ライラック王国の王族は少し変わっていた。


 人の持つ魔力には様々な種類がある中、ライラック王国の王族はやや珍しい癒しの種類に特化した血筋だった。

 大昔を辿れば奇跡を起こした聖人や聖女などと呼ばれるものにたどり着くような一族だ。

 よって、他の国の王族とは一線を画されていた。


 しかし、帝国の死神はそんな不可侵とも思われる王族が治める国に手を伸ばそうとしていた。

 周りは死神を止めた。

 あまりにも性急だと。

 もう少し周りを固めてから行くべきだと止めた。

 他の大陸を制覇してからでも遅くないとも言われた。

 だが、死神は事を急ぐようにライラック王国に手を伸ばした。


 ただ、帝国の黒い死神は不可侵を破ろうとするような男ではなかった。

 では、なぜそのような方針に移ったのか。

 それは簡単である。


 私情だ。


 彼や、彼の率いる帝国騎士団にとっての因縁の存在がライラック王国に向かったという情報が入ったのだ。

 そう。

 確実ではない情報だが、たったそれだけの理由だ。


 そして因縁の存在は、国を追われた二人の罪人の青年だった。



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