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世間知らずのお姫様と二人の罪人の逃亡記  作者: 近江 由
ライラック王国のお姫様~ライラック王国編~
16/353

訪問する王子 2

 


 夜の城には、出入り口と要所に数人の兵士が見張りに立っており、昼よりかは厳重ではない。

 ただ、それは内部の見張りだけで会って、城の外に対してはそれなりに厳重だ。


 今ミナミは、城の廊下を見張りの目をかいくぐって歩いている。

 うっかり光ってしまわないように慎重になるのも忘れてはいけない。


 昼に脱走劇を繰り広げていたミナミにとっては夜の廊下、ましてや警戒されていない状態ならば他人の目に付かないことは造作もない。


 人目のない厨房口から庭に出て、ミナミはホクトを探した。


「さっきは…あっちにいたから…」

 ミナミは足音を殺してゆっくりゆっくりと歩いた。


 ザッザッザと、ミナミの足音ではない音が聞こえ、慌てて近場の木の陰にミナミは隠れた。


 そっと覗くと、数人の兵士が誰かに向かって手を挙げている。


 あれは、城の内部の警備に付いている兵士達だ。

 結構な古株であるため、ミナミがいつも話している若い者達とは距離を置いている。


 誰に向かって手を振っているのだろうか…


 ミナミは、頼りない月明かりに照らされた人影に目を凝らした。



「待たせたね…」

 手を振られた人影は、ホクトだった。

 柔らかく微笑み、兵士たちを労った。


 ミナミは、何で彼が兵士たち労うのかわからなかった。

 確かに「お疲れ様」とか「ご苦労様」ならわかるが、「待たせたね」というのは、違う気がする。


 ホクトを見た瞬間飛びつこうかと思ったが、その違和感や彼の様子は、ミナミが飛び出すのを止めさせた。


「今日…来ているんだよね。死神は…」


「はい。」


「そして、父上とこれから話すんだよね…」


「はい。」


「知っているのは?」


「オリオン王子と数名の兵士だけです。」


「ちょうどいい…」

 ホクトはにやりと笑った。

 その笑顔はミナミの見たことのないものだった。


 ただ、今の会話だと、これから国王とその死神が話をするらしいというのがわかる。


 それを知って、確認してホクトは何がしたいのだろう…


 ミナミは好奇心ではなく、ホクトの行動を知らないといけないと思った。

 そうだ、知らないと…後悔すると。


 ミナミは歩き出したホクト達の後を慎重に追いかけた。


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