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女王と無限の武器  作者: アベワールド
第1章 霧島姉弟 VS 百眼男
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第四話「歴史」

 ――非公式に知的生命体同士の交流が盛んな世界――

 天の川銀河中心部より二万八千光年――オリオン腕内部――いわば銀河系の縁――太陽系第三惑星――私達の故郷地球――人類史・西暦20××年。

 この世界は未だ混沌の中にあり、人類は内側にカオスを抱えたまま、未知の脅威と対峙することになったのだ……


 ――人類と彼等とのファーストコンタクトがいつのことだったのか? 私には解らない。ことの始まりは紀元前にまで遡り、彼等への畏敬の念は多くの古代文献に、【神】又は【怪物】という形で記載されている。

 エイリアン/異星人……ここ地球における彼等の一般的な呼び名だ。


 ――二十世紀――

 撮影技術の誕生と共に、エイリアンの姿は記録されて行った……真実と捏造(ねつぞう)との間で彼等の姿は、見知らぬ隣人の様に得体が知れなかったり、近所のお兄さんの様にフレンドリーだったり、知恵を授ける賢者の様であったり、千差万別に(えが)かれていた……

 実際の所、コンセプトの全く異なる種族からのコンタクトは、人類の期待とは程遠いものだった。それは多くの場合一方的な行為であり、つまり往々にして暴力的なものであった……

 人は、人体実験の道具になり、実験が終わると捕食された。


 ――エイリアンは、自分の惑星で生き延びる為に獲得した能力を持っていた。彼等の惑星においてありふれたその能力は、地球上では異能力であり、神の如き能力だった……

 人類はそれを《超能力》と言った。


 ――時にエイリアンは、繁殖の道具としても人類を利用した。自身では生殖能力を失ったエイリアンが、人類という肉体(うつわ)を必要とした為だ。

 彼等は人類に自分の遺伝子を注入し、人体実験を繰り返した……こうして私達ミュータント、人間になれなかった場合はキメラが誕生して行ったのだ。


 ――人類史におけるミュータントの貢献は、決して少ないものでは無い。

 超能力を開放した彼等は奇跡を起こし、人類の文明を前進させたのだ。彼等は時に神として崇められ、時に魔女として虐待を受けた。

 そして現代においても、地球人と異星人とのコンタクトは繰り返されている。異能力を持つ我々ミュータントは異星人の監視を行い、彼等の力に対して力で応えるのだ。


 ―――エイリアンの超能力・身体能力は人類にとって脅威だ。しかし実際の所、エイリアンによる犯罪行為は散発的なものであり、UFOに乗って大軍勢で襲ってくることもなければ、政府機関に犯行声明が送り付けられて来ることも無かった。

 我々には想像も付かないコンセプトで、地球人類と向き合っているに違いない……


 ――散発的に侵攻してくるエイリアンに対して、軍隊を動かすのは得策ではない……神出鬼没であり、作戦が立案出来ないという理由もあるが、他国との闘いに軍隊が必要だったというのが実際の理由だ……国家にとって同胞の敵は、エイリアン以上に脅威だったという訳だ。そんな裏事情から政府は当初、エイリアン事件に対して警察官を任務に付かせた……しかし特殊能力を持つ彼等に対しては、有効な手段ではなかったのだ……結果、変死体の山を大量に築くこととなった……そのあまりの暴力性から政府は公表を恐れ、内密で調査と対策が検討されて行ったのだ。


 ――かくして政府は特殊能力を持つエイリアンに対して、彼等と同等の能力を持つ我々ミュータントに目を付けた。それまで差別や迫害に悩まされて来たミュータントは、人間と同等の権利、給料、そして討伐量として、報奨金を要求する代わりにこれを受諾した。公的には伏せられた形で、エイリアン事件専門の犯罪捜査官が誕生したのだ。

 正式呼称は《内閣特務捜査官》。

 陰でエイリアンハンター等と呼ばれ揶揄されている。


   エイリアンと人類史に関するレポート1 内閣特務捜査官 霧島亜里沙

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