村の掟
赤髪の男は僕を引きずりながら何か言っていた。
「お前達を、絶対に許しはしない…」
なんて言ってるかわからないけど、ブツブツ言ってる。目線は虚ろで、僕の足を持つ手に物凄く力が入っていて、痛い。
「白いゴブリン…白い生き物は神の使い。命を奪うと村に災いが及ぶ。すぐにでも八つ裂きにしてやりたいが」
ズルズル…
痛い、痛いよ。
背中や肩や頭に石がゴツゴツ当たるよ。
「色が白いだけでこんな臆病なゴブリン、殺したって何の災いもありやしないだろうが…一応村の掟だ。村長に話を通してから、問題ないならすぐにでも殺してやる」
ズルズル…ゴツ…ズルズル
痛いよぉ、離してよ。
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「ならぬ。代々伝わる村の掟だ。見た所まだ子供、お前の気持ちもわからぬではないが森に捨て返すのだ」
僕は木の柱にくくりつけられてその生き物達のやり取りを見てた。赤髪よりも年老いた生き物が何か言いつけてるみたいだ。
「ちっ、クソッタレ!だがな村長、こいつは、こいつらはアニーを…」
「トム、気持ちはわからんでもないが村の決まりだ。物騒な事を言うが、そいつは殺してはならんが他のゴブリンなら好きにしてかまわん」
「はっ!言われなくたってそーするさ。あいつの仇を…俺は討つ。討ち続けて生きていく。ただ、こいつもタダでは帰さねぇ。俺が面倒みてやるよ。殺さなきゃいいんだろ?」
「お、お前何を!?」
「親父、しばらく森のそばの小屋で寝泊まりするぜ。心配いらねぇ、ヤケになったりはしないさ」
赤髪は僕を柱にとめてる縄をほどくとまた足を掴んで引きずり始めた。
また、痛くなるよぉ…
「トム、待て!待つんだ!!」
バタン
大きな家から出ちゃった。
ズルズル…ゴツ
痛いよ。ねぇ、何処に行くの…??