パーフェクトワールド
泣き声を指揮することも
ままならずに歩き出しました
人さし指で書いた手紙は
誰かの不在を通り過ぎたあと
透きとおっていきました
割れそうなぐらい青い空に
欠けたものを
埋めようとするから
冷たい色に見えたのかもしれません
引き潮は置き去りにした
一滴を拾わずとも
遠くで深くあろうとしました
私も落とした涙を
そのままに
進みたかったのかもしれません
欠落の中でみた世界は
私という傍観者を経てひとつとなり
また私も
見られている
どこかで
誰かの欠落のなかで
ぴたりと嵌るピース
奮い立たせるような強い言葉よりも
囁きで立ち上がれると知ったとき
世界は風で満ちていました
産声のあとの
かなしみに
泣きつづけるなら
私もいつか風になり
その耳元でそっと囁こう
欠きながらも
欠くことのできない
それは
あなただと