入学準備③
2日間連続投稿です。執筆スピードが上がりました!
社畜なんで土日しかアップできませんが、楽しんでみて頂ければ幸いです!
「ん…」
朝の日差しがカーテンの隙間からこぼれており、眩しくて目が覚めた。
「ここは…」
周りを見渡すと、知らない部屋のベッドの上にいた。
一面が白く、清潔感が漂うため、何となく病院だと思った。
手をぐっぱーしてみて、昨日起きたことが夢ではないことを実感する。
「確かあのときに背中を焼かれて…」
そう思い、背中に手を伸ばしてみる。
痛みはなく、当たった筈の場所をぺたぺた触って見るものの、火傷のあとのようなものは感じ取れなかった。
「あれは夢だったのか…?」
この治安のいい日本で、人に攫われるなんてことはほぼありえなく、
誘拐事件なんてのはニュースで見たことがない。
「そうだ、魔法だ!」
少なくともあの場が真実であることは魔法が物語ってるはず。
そう思い俺は魔法を唱えた。
「ポテンシャルアップ!」
ぶわっと自分の周りの空気が押し上げられる。
そう、あの時使った魔法がそのまま使えるようになっていた。
つまり、あの出来事は真実であり、逃げ切った俺は魔力不足で倒れて、そのあと病院に運ばれたのだろう。
「しかし何で俺が狙われたんだ?」
考えても思い当たることはない。
そんなに人に恨みを買うようなことは…たぶんしてない。
「強いて言うなら、光魔法を使えるレアな人間であるだけか…そんなに光魔法ってすげぇのか?」
そんなことを考えていると、コンコンと扉のたたく音がした後、入り口のドアが開けられる。
「失礼します」
入ってきたのは白衣のナースだった。
「輝さん…起きてる!早く先生呼ばないと!」
入ってきたナースはバタバタと出て行き、廊下を駆ける音がした。
「なんだなんだ?俺が起きてる事がそんなにおかしいのか?」
状況が飲み込めないが、ひとまず用が足したくなったのでトイレを探しに外へ出る。
部屋の外へ出ると、すぐ目の前にトイレあったので、入って用を足すことにした。
「ふぅー」
すっきりして部屋に戻ると、大人が何名かぞろぞろと俺の病室に集まっていた。
俺の母親がおり、白衣を着た先生らしき人もいれば、刑事っぽい人もいて何やら話し込んでいた。
「輝!あんたどこいってたの!帰ってこないと思ったら病院にいるわ、起きたらいないわで…」
そうまくし立てるのは俺の母だ。
他意はないのだが、言っていることは全て事実であり、怒るのも無理はないだろう。
「まぁまぁお母さん落ち着いて。
輝君、とりあえず落ち着いて話がしたいからベットで横になってくれるかな?」
そう言うのは白衣の女医らしき人だ。
大きなお胸につい目がいってしまったが、耳が長いのを見ると長耳人だった。
長耳人は光魔法の回復を使える人が多くおり、魔法が普及して以降大きな病院では先生としてよく見かけるようになった。
「はい」
美人の先生に言われたら従うしかない。男の性みたいなものだろう。
言われたとおりに俺はベットで横になる。
「一先ず輝君の健康状態をチェックするわ」
「アナライズ!」
魔法を使い、俺の健康状態を調べ始めた。
特に体に何かを感じるわけではないが、大人の女性にガン見されつづけるのは少しばかりむず痒い。
「うん、背中の傷もきれいさっぱり治ってるようだし、健康状態は問題なさそうね」
ニコッと笑いかけてくれる女医さん。
赤縁めがねが似合っており、素敵だと思った。
「さて、ここからはこちらが話を聞かせてもらいますか」
女医さんを見て幸せな気分に浸っていると、上下茶色のスーツで身をまとったおっさんが声をかけてきて現実に戻された。
「私は朝倉と申します。昨日の廃ビルが消失した事件について、調べているんですが…」
目星をつけているかのように、ちらっと俺の様子を伺いながら話を続ける。
「なんでも、廃ビルから光の速さで飛び出してきた少年がいると聞きましてね…何か手がかりがあるのではないかと思って、輝君を尋ねに来たわけですよ」
そういうと、警察手帳を見せてきた。
確かに警察手帳の役職には「警部」と記載されていた。
「早速本題に入らせてもらいますが、昨日君は夜何をしていたんだね?」
おそらく昨日のメテオの犯人を捜しているのだろう。
犯人にされても困るので、昨日起きた出来事を事細かに話すことにした。
「実は…」
そういって俺は、昨日起きた事件の全容を内容を話し始めた。