入学準備②
1年越しで復帰しました。とりあえず頑張って書いていこうと思います。
(自分で言うのもなんですが、何となく1年前より上達している気がします。)
衝撃を受けた影響で、息が出来ず倒れこんだ。
背中が非常に熱く、服が焦げている感じがしたため、炎の魔法を打たれたことを理解した。
コツコツコツと、足音が徐々に近づいてきた。
「何を打つかと構えたが、ただの子供だましか。世話のかかるやつだ」
時間がたつにつれ、多少動ける様になったが、あいつから逃げようとすれば同じ手を打たれるだけで、逃げる術はもうなかった。
「何が目的なんだ…俺を殺してどうするつもりだ」
相手の目的が何か分かれば、糸口が見えてくる可能性があるはずと考えた俺は、対話を試みることにした。
「殺しはしない。ただあるお方の所に連れて行くだけだよ。すぐに楽になる…」
「誘拐かよ…」
対話の余地なんて全くありはしなかった。
万策尽きたと諦めようとしたときに、体の奥底から新しい力がわいてくることを感じた。
そう、俺は今この時に新しい魔法を習得したのだった。
次失敗すると何されるか定かではないため、もう失敗は出来ない。
新しい魔法はどんな効果であるか念じて探ろうとしていた。そんなことをしている間に、足音が止まり目の前に男が立っていた。
「急に大人しくなったな。こちらは手間が省けて嬉しいよ」
ローブの下で口元がニヤついたのが見えた。
男は俺に向かって手をかざし、魔法を唱え始めた。
「じゃあな、良い子は早く寝るんだな」
もう、なりふり構っていられる状況ではなかった。
効果が何かも分からないまま、俺は新しい魔法を唱えた。
「ポテンシャルアップ!」
そう唱えると、俺は体全体の力が高まったことを感じた。
即座にこの魔法は能力アップであることを理解した。
「むう!」
新しい魔法を唱えたことで、男は身構えたがもう遅かった。
全身全霊をこめて俺は男を殴った。
「おらっ!」
殴った手から衝撃波が発生し、男は吹き飛び、壁にたたき付けられ倒れこんだ。
完全に立場が逆転した。
「マジ…俺すげぇ…」
今までの魔法はゴミばっかりだったが、レベル5の魔法はかなり実用的だった。
ゴフッと血を吐き捨てながら、男はプルプルしながら立ち上がった。
「舐めたまねしやがって…絶対に殺す!」
そういうと、男は詠唱を唱え始めた。
巨大な魔方陣が展開され、空に描かれていく。
「焦土の神よ!我が呼びかけに答え、この地を焦土へと返せ!」
この詠唱はテレビで見たことがあった。
レベル20へ到達した学者が披露していた魔法の詠唱で、流星を降らせる炎の上級魔法だった。
落とした範囲百メートルぐらいの建物が全て消し去られ、平地となっていたのを覚えている。
この魔法の卑怯なところは、詠唱者本人には全く危害を加えられないところだ。
「落ちよ!メテオインパクト!」
こんな狭い空間に流星を降らされたらひとたまりもない。
「だあああああああああああああああああ!」
ドーン!と巨大な音と共に背中のほうで流星が落ちた音が聞こえたが、なりふり構わず俺は走り去った。
ポテンシャルアップのおかげで、俺は100メートルを1秒足らずで駆け抜け、メテオインパクトの範囲から逃れることができた。
「やばすぎだろあれ!」
路地裏を駆け抜けた先は大通りだった。
ざわざわと爆発源のほうを指差し、何事かと皆スマホを片手に駆け寄っていくのが見えた。
「あっ…」
魔力が尽きるのを感じて、俺はそこで意識が途絶えた。