入学準備①
初めて戦闘部分を書きましたが、難しいですね。
語彙不足で臨場感が出ておらず申し訳ないですが、少しずつ勉強して臨場感出せるようにしていきたいです。
純粋に魔法が使えることが嬉しく、意味もなく魔力尽きるまで毎日使い続けた。そのおかげか、1週間たつと新しい魔法が使えるようになった。そして、2週間経ったところで、また新たに魔法が使えるようになった。
かつて入学時に天才と呼ばれた人間がレベル5だったとして、俺はその領域一歩手前まで3週間できてしまった。
「やはり、俺は天才だったようだな」
俺が魔法にあこがれたのは、とある100年以上前に作られたレトロゲームだった。俺の親父はレトロゲーム好きで、100年以上前のゲームを集めるのが趣味だった。親父が俺に貸してくれたドラゴンクエストというゲームに、俺は見事にはまってしまい、そして主人公という存在に恋焦がれた。
今世界で流行っているゲームは、どれもこれも皆が主人公のゲームだ。1人だけが特別なんていったゲームは廃れていった。親父は2080年ごろから流行り始めた、フルダイブ型の機械ができてからゲームがつまらなくなったと、ゲームの歴史を熱く語ってた。
「さて、今日も修行に行きますか」
俺の魔法の修行は決まって夜だ。理由はいたって簡単だ。昼ライトを照らしたところでよくわからないし、面白くないからだ。目的なく歩くのも面白みにかけるので、俺の修行は決まって近くのコンビニに魔法を使いつつ赴き、毎週の少年誌を立ち読みに行くことだった。
書籍のほとんどが今や電子書籍ではあるが、俺や親父のような物好きがいるせいか、データでない本は、未だに消えずに発行され続けている。
「やはり月曜日はジャンプに限る」
友情、努力、勝利。この法則は100年以上前から受け継いでいると、現社長は語っていたな。何故こんなに面白い作品が評価されず、隅に追いやられているのか俺には理解できなかった。
「おっと、早く帰らないと親父に怒られるな」
駄賃を払ってくれる代わりにジャンプを買ってこい、という親父の命に従い、俺はドローンのいるレジに向かった。
「500エンデンス」
親父からもらった1000円を使い、俺は500円とジャンプを手に入れた。
「さて、帰るか」
レベル4の魔法を使い、俺は夜道を照らしつつ、帰路を歩いた。
レベル4までの魔法は、翔子が言うように、使い物にならにならないものばかりだった。俺の使えるようになった魔法は基本的に撮影機能に特化したものばかりだった。
レベル1:ライト(1秒)
レベル2:写真撮影(撮影、保存、削除)
レベル3:写真投影(手から画像出力)
レベル4:ライト持続使用
レベル4の魔法は大体3時間ほど使い続けられるが、使い終わるとその日は何も魔法が使えなくなる。魔力の回復は睡眠すると回復するようになっており、朝起きたときに回復したのをなんとなく体で感じる。
「しっかし、明日寮生活か。ちょっと不安だけど、楽しみではあるな」
国立魔法学園は全寮制だ。親元を離れることに不安を感じつつも、やはり期待が大きい。
「あれ?」
俺は知った通りを歩いていたはずなのに、なぜか見知らぬ裏路地に来ていた。何か嫌な予感がした…
その予感が的中したのか、黒いフードをかぶった男がこちらに歩いてきた。
じっとりと嫌な汗が体にへばりつくのを感じた。本能的に危険であると体は俺に知らせた。
「お前が光の適正者か?」
酷く低い声で俺にそう尋ねた。
「そう…だとしたらお前はどうするんだ?」
「……付いて来てもらおうか?」
一瞬だけ視線を自分の後ろに移し、逃げ道を確認したが、壁に囲まれ逃げ道は存在しなかった。
「……嫌だといったら?」
「力づくでも連れて行くさ!」
男が一瞬で視界から消えた。
「なっ!」
気づけば男は目の前にいて、こぶしを俺のみぞおち狙って振りかぶっているのが見えた。
俺はとっさに買ってきたジャンプでガードをした。ジャンプは犠牲となりバラバラに散ったが、そのおかげで俺は何とか一撃を回避した。
「あっぶねー!」
何となくでは感じていたが、レベルが上がれば基礎能力が上がるということをこの瞬間に理解した。1ヶ月前の俺であれば、一瞬で意識を失っていただろう。
「………」
表情こそ伺えないが、何故避けられた?といった様子で、フードの男は己の拳を不思議そうに眺めていた。そして、何かを理解したのか、俺のほうに向き直った。
「次は容赦せん」
やばいやばいやばいやばいやばい。次ぎの一撃きたら絶対に倒れてしまう。何とかしなければと、必死に考えるが、俺の魔法では太刀打ちできない。何よりダメージ1つ入らないだろう。
俺が策はないかと考えている内に、男が地面を蹴ったのが見えた。
来る…。咄嗟に俺は男に向かって魔法を撃った。
「フラッシュ!」
「む!?」
目くらましになったのか、俺の位置からずれて、男は壁を殴った。
壁は崩壊していた。
俺と男の位置が逆転し、逃げ道ができた。土煙に囲まれた男を確認する間もなく、俺は逃げた。
「ハッハッハッハッハ!」
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。俺の本能がそう叫び、とにかく走った。
心臓の音が酷くうるさく感じたが、とにかく走った。
「はぁ…ここまでくれば……」
角を曲がると、通路の奥で裏路地を抜けることを示すかのように、街頭の光が見えた。
俺はその光を見て安心したのか、緊張を緩めてしまった。
ドンッ!
重低音とともに、俺は背中に激しい痛みと衝撃を感じ、俺は地面に倒れた。