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ファンタジーな現代世界  作者: 冷奴
第1章 学園生活
2/5

初めての魔法

 俺は穂と同じように、係員に奥に連れて行かれた。

部屋に入ると、穂がうれしそうな顔で電話をしていた。


「…それでね、赤く光ってね紙が落ちてきたんだよ!

 あたし火の魔法適性あるんだって! 

 もう、ホントもうありえない! 帰ったらお祝いしてね! じゃねー!」


 帰ろうとか言ってた口が、魔法適正ができた途端これだ。まぁ、魔法適正を持った人間は国から高給取りが約束されているから、喜ぶのは無理もない。俺も少なからず浮かれてはいた。


「よう、浮かれてんな?」


 少し驚かせてやろうと想い、浮かれる心を抑え、俺は淡白にそう尋ねた。


「輝! 迎えに来てくれたの? でもごめんね!

 あたし今から魔法の説明受けないといけないから先帰ってていいよ。

 ああ、あと輝の夢を私が取っちゃったみたいで… なんかごめんね」


 穂は舌をペロッっと出して謝るようなポーズをとった。ちょっとドキッとしたが、浮かれすぎてる穂はちょっとウザかった。でも15歳になる俺は大人だ。この程度の煽りには乗らない。


「迎えにきたわけじゃないぜ。

 俺も魔法適性があったからここに連れてこられたんだよ」


 穂が連れて行かれた後、自分も手をかざした途端、あの機械が光り輝き、一枚の紙を手にしたことを伝えた。


「えっ! ホントに? やったじゃん輝!」


 同郷の好なのか、穂は俺も魔法適正があることについて、喜んでくれているようにみえた。誰だってそうかもしれないが、近い人間が同じ仲間であることがわかったら、何となくうれしいものだ。


「それで、属性は何だったの?」


 穂はワクワクした様子でそう尋ねてた。期待に答えるかのように溜めて答えた。


「聞いて驚け… 『光』だ」


 俺はドヤ顔でそう決めた。 


「え?」


 穂はキョトンとした顔をしていた。本来ありえるはずのない属性が聞こえたのだ。誰しもが一度は耳を疑いたくもなる。俺は聞き間違いを正すかのように再度答えた。


「『光』だ」


 子供を宥めるかのように、俺はゆっくりと答えた。


「…」


 とても驚くかと思いきや、穂は黙りこくって何かを考え始めた。まるで、「ドッキリを仕掛けられているのか? いやそんなはずはない。」嘘か本当かを悩んでいる。そんな顔をしていた。


 悩んだ末の答えが出たのか、穂は口をあけた。


「輝、嘘つくならもっともましな嘘つきなよ」


 出した答えは俺が嘘をついているということだった。


「いやいや、まじなんだって。この紙見てみろよ」


 これを出せばはっきりとするだろうと思い、あの機械から受け取った紙を穂に見せた。


「え? うそ? ありえないでしょ!」

 

信じざるを得ない状況に、穂は驚いた顔をしていた。俺はこれが見たいがためにこの茶番劇を繰り広げたんだ。やった甲斐があったってもんだ。俺は頬の筋肉が緩くなったのを感じた。


「いやほんと、キモイわー」


 何故か(けな)された。


「え、キモいってひどくね?」


「あ、いや貶してるんじゃなくて、褒めてるんだよ。

 キモかっこいいとか流行ってるじゃん! そのキモだって」


 どうやら褒められていたらしいが、何というかうれしい感じはしない。このキモかっこいい流行らしたやつと、俺はきっと理解し合えないと悟った。


 俺と穂がそんな下らないやり取りをしていると、ガラガラと扉の開く音がした。


「おーおー、予言どおり今月は適正者がぎょーさんおるな! ほなはじめよか」


 赤髪ロングの美人が教室に入ってきた。


「さっさと説明終わらして家で1杯やりたいから、はよ席ついてくれるか」


 中身はオッサンっぽかった。

 独り言なのか、「はぁ… 何でうちが休日に仕事せなならんねん」とぼやいているのが聞こえた。よく観察すると、髪もぼさぼさで整えておらず、残念な美人だった。


「とりあえず自己紹介だけしとこか。

 うちの名前は風見翔子(かざみしょうこ)。この学校で教師をしている者や」


 翔子の(ぐち)によると、毎月の魔法についての説明はこの学校の教師が行っているらしい。去年までは一番若い教師が全て行っていたが、教頭が「それではかわいそうだ」という一言から、当番制になったようだ。


 翔子は、時間もったいないし、ちゃっちゃと説明していくで。と説明を始めた。


「君らには今日からこのリングをつけてもらうで。

 このリングは君らに魔法の力を与えてくれるものになっとってな、

 一度つけると外れない仕組みになっとるんや。

 無理やり取ると二度と魔法が使えなくなるから、気つけてな」


 翔子はそう説明すると、俺と穂に黒いリングを手渡した。直径は15センチぐらいで、どこの部位につけてもぶかぶかで取れそうだった。


 利き手の手首につけろと翔子はいうので、俺は右手首につけたところ、リングが見る見る小さくなり、俺の手首のと同じ大きさになった。着けている違和感はなく、非常に不思議なものだった。


「魔法ってのは誰かに教えてもらうものじゃなく、

 ある日突然思い出したかのように使えるようになるんや。

 また、レベルという概念があってな、

 1つレベルが上がるごとに新しく魔法が使えるようになるんやで」


 翔子は続けて説明した。

 

「つまり、新しい魔法を覚えたということはレベルが1つ上がったということになるんや」


 翔子が思い出したかのように使えるようになると言っているように、リングをつけてから俺の奥底で何かが使えるようになった感覚があった。


「ほんじゃ、魔法が使えるようになるはずやから、各自使ってみ」


 俺は体の奥底にある力を呼び覚ますように、目を閉じ念じた。体の中央から、力がリングのある右手首に流れるのを感じた。リングを通ると、流れてきた力が別の力に変換され、その力は右手に集中した。俺は右手を前にかざして叫んだ。


「フラッシュ!」


 右手から光が放たれた。俺はレーザのような力をイメージして打ったのだが、実際は懐中電灯程度の光が、1秒ほど右手から放たれただけだった。強大な力を期待した分、落胆した。


 穂はどうなっていると思い、穂をみると、右手からライター程度の火を出しているだけだった。俺とおんなじ様なものだった。


「使えねー」


 あまりの使えなさに、俺はそうぼやいた。


「ははははは! 何を期待したか知らへんけど、レベル1はみんなその程度のものだからしゃあないわ」


 翔子は落胆している俺をみてゲラゲラ笑った。


「しかし、君本当に光の魔法適正者だったんやな。

 係員から聞いたときは、嘘やとおもっとったわ」


 翔子は笑っていたのと打って変わって、真面目な顔をした。

 

「出る杭は打たれるって言葉があるように、

 君はこれからの学校生活で、辛いことが待ち受けているやろうな。

 教師としてある程度助けたるけど、がんばって自分で乗り越えるんやで」


 どこか遠い目をしつつ、翔子は俺にそう言った。


「さて、2人とも魔法つかえたみたいやし、

 もう少し詳しく魔法の説明をしていくで」


 レベルが低い魔法ってのは人間が作った道具レベルのものしか使えない。風の適正者のレベル1魔法は大抵扇風機程度の風を起こすだけだし、土の適正者のレベル1魔法は土を生成するだけのようだ。レベル4までは同じような魔法しか使えないが、レベル5になると、現代の機械を超える魔法が使えるようになるらしい。


「百聞は一見にしかず。かなり弱めたレベル5魔法を打ったるで。

 飛ばされんように壁にしがみついとき」


 そういうと翔子は念じ始めた。翔子の両手に力が集まっているのを感じた。


「いくで、そーれっと!」


 そう翔子が言った瞬間、教室中に風の魔法が放たれた。レベル5の風魔法はいわば暴風だった。机はことごとく倒れ、椅子は飛ばされ、壁や倒れた机に激突していた。壁にしがみつかなくても、とりあえず立っていることはできたが、風に向かって歩くことができる気はしなかった。台風の中継をしているニュースキャスターの気持ちがよくわかった。


 穂は大丈夫かと心配になり、反対側の壁にいる穂を見てみると、壁にしがみつき、セミのようになっていた。とりあえずは大丈夫そうだった。ただ、風でスカートが捲れて、聖域(パンツ)がモロに見えていた。


 聖域(パンツ)を見た途端、俺は新たに力が使えるようになったのを感じた。レベル1で使ったのと同じ要領で、力を1点に集約させ、カメラをとる時のようなポーズを取り、俺はこう叫んだ。


「トミタケフラッシュ!」


 俺は頭のデータフラッシュに書き込んだ。永久保存しておこう。


 この一瞬を与えてくれた教師に感謝しつつ、写真のポーズを解いた。そうしたら、穂が赤い顔をして、体をプルプルさせながらこちらを睨んでいるのに気がついた。


「死ね」


 写真を撮るときに、風は収まっており、聖域(パンツ)見られていたことがばれていたらしい。翔子は「役得やったろ?」といっているのか、こちらにウィンクしていた。穂の機嫌を損ねてしまったものの、永久保存できたので、今回は感謝しておこう。


「今お前らがさっき体で感じたように、レベルの高い魔法っていうのは非常に強大や。

 特にレベル5以降の魔法は人を殺めるだけの力を持っているんや。

 今回はうちが力を弱めたから飛ばされなかったものの、弱めていなければ君らは飛ばされ、

 壁に当たって重体やったろうな」


 魔法を使ってけばレベルは自然と上がってく。レベルが上がって魔法を使うことはいいが、レベル5以降は人には絶対に向けて打たないこと。翔子はそう説明した。


「過去入学までにレベル5まで上がってきた天才がおったが、

 大抵はレベル2で止まるだろうから、よほどのことがない限り、入学前に問題にはならへんけどな。

 特に君らは入学までにあと2ヶ月しか時間がないから、良くてレベル3ってところやな」


 翔子の話によると、高校卒業時点で、過去最高はレベル14で、人間が到達した最高レベルは20ということだ。


「レベル4までは入学までに力を使って修行するとええで。ほな、4月に学校でまた会おか」


翔子はそういって、教室を去っていった。

自分が遅筆だということがわかりました。

とりあえず、誤字とかあるかもしれないですが投稿です。

自分で読み直して、誤字脱字を随時修正していきます。ストーリー変わってたらごめんね。

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