プロローグ
「ついにこの時が着たか」
広い会場を前に、輝はそう呟いた。
「どうせ無理だって。5千人に1人だよ? 諦めなって」
面倒そうに諦めろと俺に言葉をぶつけてくるのは、俺の幼馴染である穂だ。
「夢がないこと言うなよ」
「輝はもっと現実見たほうがいいよ。私たちもう15歳だよ?」
2070年に宇宙人が地球へ到来して、当時の地球人と和平協定を結んで以降、世界中の人間に対して1つの義務が課せられた。
『15歳になったら魔法適正を確認すること』
2160年の今でもその義務は課せられ続けており、こうして俺と穂は人間の義務として、魔法適正の確認会場に来ている。
魔法適正の確認は1ヶ月に1回行われ、その月が誕生月の15歳の人間がすべてこの会場に集められる。
誕生月が同じで、近所だったこともあり、親に期待の目で見送られながら2人でこの会場に赴いた。
親同士が仲良かったこともあり、中学3年生になった今でもそれなりに仲良くしていると思ってる。
学校ではほとんど会話しなかったけどね!
「男はいくつになったって夢とロマンを追い求めるんだよ。
自分の手から火を出すとかマジかっけぇジャン!超やりてぇよ。」
「はいはい、そうですか。もうさっさと確認終わらして帰ろうよ。
幸恵と午後から買い物行く約束してるんだから。」
俺を置いて穂は会場の入り口へ足早に歩いていった。
立ち止まってても仕方ないので、俺は穂の後を追いかけた。
案内人の指示に従って、俺と穂は会場の中に入っていった。
外から見てわかるように、中は非常広かった。
その中央にある、馬鹿でかい機械が魔法適正を確認するものらしい。
「結構人がいるんだね」
「そりゃ、日本全国の15歳の人が1箇所に集められてるんだ。それなりに人はいるだろう」
パッと見2千人ほど人がいた。時間によって区切られているが、大体1日で1万人程度確認するらしい。
確認作業は手をかざすだけで終わるため、流れるように確認が終わっていく。
俺の前に順番待ちにしていた穂の番が来た。
「えっ?」
穂が手をかざした途端、機械が赤く輝きだした。
そして、1枚の用紙が穂の手のひらに落ちてきた。
隣にいた俺にはその文字が見えた。
『火』
穂には火の魔法適正があったことを機械が示した。
「おおおおおおお!」
「すげーーーーー!」
「マジかよ!ふざけんな!」
会場が大いに沸いた。穂を褒め称える声、うらやむ声、野次、罵倒、さまざまな声が会場を沸かせた。
「えっ?えっ?」
状況をまだ理解できない穂は係員に連れられて、奥に連れて行かれた。
目の前で幼馴染が魔法適正を認められたのを見て、俺は唖然とした。
そして同時に、俺もいけるかもと、根拠のない自信をもって、機械に手をかざした。
「おおおおおお!?」
穂とは色が違い、白く機械が輝きだした。
そして、1枚の用紙が、穂同様俺の手のひらにも落ちてきた。
その用紙にはこう書かれていた。
『光』
2070年以降、1人として人類には適正者が現れなかった『光』の魔法適正者に俺はなった。
初めて小説なるものを書きました。
続くかどうかもわかりませんが、がんばって書いていきます!