商業の街リエム
遅れました
大きな商店街。それがこの街、リエムに対する俺の第一印象だった。
10人が横に並んでもまだ空きがあるような一直線の太い道があり、それが街の中心となっていた。
さらにその道に面するように、数ある屋台や露店が並んでいる。
歩く場所にスペースがあるのに対し、その店の間はぴっちりと埋まっていた。
同様に横にもそれがあるので、この街は上から見ると十字によって、四つに分けられているように見えるはずだ。
時間帯は、ちょうど人が集まる時間らしく、多くの人が賑わっていた。
各々の屋台からは、肉をこんがりと焼いたときような音や甘さを含んだ白い湯気やらが出ている。
見た感じでは、自分とは変わりない人がいるようだ。それに売買が成立しているということは、貨幣が流通していると考えていいだろう。
「わぁ......見たことない食べ物がいっぱいですよ!」
アイラが目をキラキラと輝かせて、一つの屋台を見ては、こちらに報告してくる。
一方で、俺は強烈な視線を感じていた。
賑やかで、普段は動くことも難しくなり、人で奥が見えなくなると思われるこの時間帯。
そんな中で、俺たち二人の歩こうとしている道は、鮮明に奥の方が見え始めて来ている。
「こんな小さな女の子をあんな格好で歩かせるなんて...」「非常識だわ...」「さいってい...」
俺たちを目に収めた人は次々に脇道に逸れ、そんな言葉を呟いていく。
まぁ、つまり完全に避けられていた。
「違うんだ...これは服がないから仕方ないことなんだ...」
別に今からズボンを脱いで、履かせてもいいのだが、そうなると次は自分が変態になってしまう。
それよりは、そういう格好をさせている男とさせられている女の子という構図の方がダメージが少ないと思う。
まぁ、何を言っても言い訳にしかならないんだけど。
「?誰に言ってるんです?」
「妙に耳が良くて、この状況への理解が深い人かな...」
「私、耳いいですよ!あ、あと鼻も!」
耳と鼻を指差し、えっへんと胸を張るアイラ。
それに合わせて、背に合わない大きめの胸が上着をたくし上げ、下半身を露わにする。
周りからの視線が一層強くなるのを感じる。
「お、おい。見えてるって。せめて人の前くらいは隠してくれよ...」
「あぁ、すいませんっ。犬の時の感覚でつい...」
そういうとアイラは、服の裾を掴み、太もも近くまで引っ張る。
しかし、服は縮むように元の位置に戻ってしまう。
「うう、ダメですー...戻っちゃいますよー」
歩きながら、何回か繰り返していると、どうにか隠れるくらいには伸びた。
その代わり、首が伸びてしまい、アイラの鎖骨全体が見えるようになってしまったが、応急処置としては
十分だろう。......十分だと思いたい。
その後、そういう見世物だと勘違いした人が、眼福だと硬貨を手渡してくれた。
どこにでも欲に忠実で素直な人がいるもんだな、と思いながら、俺たちは大ざっぱだが街を一周し終えた。
さて、これから何をするべきか決めないとな...。
ごめんなさい。今後もよろしくお願いします。