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ワールド・ブレイク  作者: ケン
二学期
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第三十八話

 リアン先輩と共に王都を歩くこと十分ほどで騎士隊本部のような場所に到着し、身分証明をした後、本部の中へと案内され、ある部屋に案内される。

 その部屋には俺らと同じようにどこかの学園代表としてやってきたであろう計十名の男女が座っており、前には甲冑を身に纏っている男性が立っている。

 で、この中に一年生は俺だけなんだろうな。


「全員集まったな。では説明を始める」


 男性がそう言いながら何もない壁の方にお辞儀をした瞬間、そこに女王陛下の顔がアップで映され、周りの奴がそれを見るや否や立ち上がる。

 い、いきなり立つなよ。遅れたじゃねえか。


『皆さんごきげんよう。ビブリオ王国女王、エリス・ウィザードです。この度は四王会議における護衛の任を受けていただき、感謝いたします。今回の四王会議において護衛任務は非常に危険なものになるでしょう。近年、軍事力を拡大し続けているバーン帝国を支援する者たちによる暴動がここ王都で起きてもおかしくはありません。王都にも帝国支援者はいますから……もし、命の危機を感じた場合は騎士隊に任せ、貴方達は避難してくださっても構いません』


 女王陛下の言っていることに衝撃を受けているのか、それとも驚いているのか他の奴らは画面を見たまま固まったかのように少しも動こうとしない。

 四王会議の護衛任務って聞いていたからある程度は危険は覚悟していたけどな……帝国支援者による暴動が起きるかもしれないのか。


『では明日からの話しをしましょう。明日より四王会議が始まります。貴方方には四王会議が行われる王宮周辺の護衛を任せたいのです。王宮内部は騎士隊に護衛させますので貴方方には主に王宮に侵入しようとするもの、もしくは王宮の近くで声を上げているものなどに対しての護衛をお任せします。なお、相手が実力行使に出た場合に限り、魔法の使用を許可します。それ以外はなるべく穏便に済ませてください。それでは皆さん、お願いいたします』


 女王陛下が軽く頭を下げた瞬間、壁に移っていた姿が消え去った。

 いったいどんな魔法で映し出してたんだ……なんか逆に気になるな。


「ではこれより皆様を四王会議中の宿泊施設へとご案内いたします」


 騎士の人がそう言い、部屋の外へと出ていったので俺達も後を追って部屋の外へと出る。

 やっぱり男の数が多いか……女の人は三人……この女の人も強いんだろうな……まあ、これっきりの出会いだろうし戦う事は無いだろうけどな……でも一期一会とか言うしな……まぁ、良いか。

 本部の建物の外へ出て少し歩いた先にそこそこ大きな宿らしき建物が見えてくる。


「皆様にはここへ宿泊してもらいます。なお、お食事などは全てこちらで負担いたしますのでどうぞご自由になさってください。ここから貴方方のお部屋の階は三階になっております。それでは」


 騎士の人の足元に魔法陣が展開し、そのまま光に包まれてどこかへと転移していった。

 誰も一言もしゃべらないまま建物内へと入り、階段で三階へと向かうと個室でも用意してくれていたのか扉に一人ずつ名前が書かれている。

 凄いな……個室を準備してくれるのか。

 俺の名前が書かれている部屋へ入ると学園の寮部屋とあまり変わらない広々としている。

 カーテンを開け、窓の外を見て見るとぽつぽつと明かりが出ており、何人かの人たちが道を歩いている。

 学園の周辺には何もないから真っ暗だけどやっぱり王都だけあって夜でも人は外に出てるし、明かりもたくさんあるんだな……向こうの世界じゃ完全に真っ暗な世界なんてないだろって思うくらいに明かりが煌々としていたからな。

 カーテンを閉め、ベッドに横になって何もない天井を見上げる。

 ……今頃、イリナとかは何やってんだろうな……ミウォル先輩は透視魔法で盗撮してるだろうけどイリナは……真面目なあいつのことだから勉強してんだろうな……アンナ、お前は今どこにいるんだ。

 今もフレイヤ・プロメテウスを殺すためにあいつを探し回ってるのか…………。

「シャワー浴びて寝るか」








 ――――――☆―――――――

 朝早くから俺達の護衛任務は始まったけど想像していた物とは違って今、結構驚きを隠せない状態に陥っている。

 もっと大勢の人が押しかけてくるのを裁くのかと思っていたら大勢の人が来るどころかほとんど人々は通り過ぎていき、来るとしても不思議そうな目をしながらこっちによって来る小さい子供だけだ。

 リアン先輩曰く、四王会議は議題の数によって会議の日数が変動するらしく、前回は議題が二つあったから二日ちょっとで終わり、今回予想されているのは三日から四日ほどらしい。

 四王会議が長引けば長引くほど逆にそれだけ話し合う事があるのかと思い出し、人々が興味を抱くらしいけど最初の二日間くらいはほとんど関心を持たないとのこと。

 まぁ、戦争らしい戦争も起きていない平和な時代が続いているという事もあるし、同盟関係も良好な状態が続いているから安心しきっているらしい。

 まあ、最近は帝国の軍備拡大で少し不安を抱いている人もいるらしいけど大多数の人達は少しの不安も抱かずに普通に暮らしているらしい。

 四王会議が終了するとなった時には会議の終了の様子が映像として映し出され、今回の会議で決まったことなどをそれぞれの王が報告するとのこと。

 だからそれまでは本当に暇で休憩中は王都観光に行くやつもチラホラいる。


「ここで何してるの?」

「仕事。で、君は?」

「友達と遊びに行くところ。王宮前に集合にしてるの」


 …………ま、まあ王都は似たような建物が一杯るし、その中でも王宮は一際煌びやかに作られているから目印としてはうってつけだろうけどそれって良いのか?

 王宮が待ち合わせ場所にされてるっていうのも中々ないと思うけど。


「魔法学園の人?」

「そうだぞ。一年生だけどな」

「ふ~ん。私も魔法学園に通ってるんだよ~」

 そう言いながら指を上に向けると先の方に小さな炎がポッとつく。

「おぉ。属性魔法か」

「うん。お兄ちゃんは?」

「俺? 見たい?」


 そう尋ねると女の子は何故か首を左右に振り、友人の魔力でも感じたのかそのまま走り去っていった。

 …………俺は幼女にさえ興味を抱かれないんだから同年代、もしくは年上の女の子に興味を抱かれないのも無理はないか。

 デモが起きるどころか超平和に見えるんだけどな……このまま何も起きずに平和に四王会議が終わってほしいんだけどな。

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