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ワールド・ブレイク  作者: ケン
二学期
35/59

第三十四話

 巨大な火球を破壊し、一気に距離を詰めようとするが相手の足元に魔法陣が出現して一陣の風が吹いたかと思えば相手の体が宙へと浮かんでく。

 足元に風を発生させて宙に浮かんでいるのか……ヤバイな。俺、この魔法以外の魔法は使えないから宙に逃げられたらそれでおしまいだぞ。


「屑はこの名誉ある学園にはいらないんだよ!」

 上空に向けて手を上げた瞬間、いくつもの魔法陣が出現してそこから大小様々な火球が俺に向かって降り注いでくる。

 上空に居座られている以上、俺には何もできない……どうにかして奴を地上に引きずり降ろさねえと俺に勝ち目はない!

 降り注ぐ大小様々な火球を両手両足の四肢をふんだんに使って破壊していく。

 考えれば考えるほど相手を地上に引きずり落とす策は出てきはするがまたすぐに煙のようにふっと消滅してしまう。

 その時、ピリッとした魔力を感じ、その場から飛び退いた瞬間、そこ目がけて雷が空から降り注ぎ、凄まじい爆音とともにフィールドに穴をあける。

 フィールドの大小様々な瓦礫が周囲に飛び散る。

 …………そうか! あいつを地上に引きずり下ろす策はこれしかない! ただこれをやったら俺の足場まで不安定なものになってしまう……慎重に機会をうかがわねえと自分で自分の首を絞めかねない。

 直後、俺の左右に青い魔法陣が出現したかと思えばそこから膨大な量の水流が俺に向かって伸びてくるが両手でそれに触れ、一瞬だけ破壊すると同時に前に飛びのくと水流同士がぶつかり合い、膨大な量の水がフィールドに流れていく。

 水は外に流れることは無くフィールドに溜まり、俺の足首ほどの深さにまで一瞬で貯まった。

 ……終いにはフィールドを水に沈める気か? いや、でもそうしたら観客席まで水没することになるし、流石にそれはしないよな。エース様。


「っっ!」

 直後、魔法陣も展開されずに目の前から水球が俺めがけて放たれる。

 そういう事か! フィールドを水に浸すことで展開される魔法陣を隠すことで相手に気取られることなく魔法の一撃を叩きこもうってか。

 向かってくる球体が殴りつけて破壊した直後、地面を踏み抜く勢いで強く踏みつけた瞬間、フィールドに溜まっていた水だけが一瞬にして破壊される。

 いくら修行で破壊する対象を自由に選べるようになったって言っても空中に相手が浮いていると手も足も出ない……さっさとやるか。


「みたところ君、その魔法しか使えないんだ」

「まあな」

「言うんだ。そこは偽るところじゃないの?」

「偽ったって仕方ないだろ」

「ほんと君がおかしなやつだよ。屑を助けるとか言って……彼女を助けて君には何かメリットでもあるのかい!? デメリットしかないだろうに!」


 上空に巨大な火球が生成され、俺めがけて放たれてくるが両手でそれを抑えた瞬間、巨大な火球が一瞬で火の粉となって消滅する。


「メリット・デメリットの話しじゃねえよ。ただ単に友達を助けたいって話だ」

「この世界、メリット・デメリットも考えずに生きたら破滅するだけだよ!」


 相手が両手をこちらに向けた瞬間、フィールド全体を覆うようにして巨大な魔法陣が展開され、魔力が集まっていく。

 これを使わせてもらうか!

 魔法陣の輝きが最高潮にまでなったのを見計らい、足で強くフィールドを踏みつけた瞬間、フィールドに無数の亀裂が入ると同時に魔法陣が大きな爆発と爆音を伴って大爆発を起こし、フィールドが一瞬で破壊され、大小様々な瓦礫がそこら中に散らばる。

 それはもちろん上空にいる相手に向かっても飛んでいく。


「っっ! 君はなんて無茶なことを!」

「掴んだ!」


 爆発の衝撃を利用して飛んだけど流石に色々なところが痛いな……ま、結果オーライってことで。

 二人分を支え切るには魔法の威力が足らないのか少しずつ下がっていくが魔法陣が強く輝きを発した瞬間、強い風が吹き荒れ、そこで停止した。


「君は僕を追い詰めたと思っているだろうがそんなことは予想済みだよ……君は僕を追い詰めたんじゃない! 僕が君を追い詰めたんだよ!」

「うぉ!?」


 相手が急に回転をし始め、相手の足を掴んでいられず、そのまま手が離れて空高くにまで俺の体が吹き飛ばされる。

 っっ! 流石は属性クラスのエース様! 俺がやることをお見通しってわけか。俺はあの破壊魔法以外の魔法は使えず、空中に放り出されたら方向転換すらできない。

 この空中で俺に止めを刺す気か!

 そんなことを考えていると落下していく俺に向かって相手が手を向けた瞬間、赤・青・黄に輝く魔方陣が一つに重なり、魔力がそこに集まっていく。

 連重魔法――――複数属性の属性使いが得意とする上級魔法でその威力は短髪で使う魔法をはるかに凌駕する強力な魔法だったはず。

 でも残念……今からあんたが放つ以上の威力を俺は経験してるんだ。

 夏季休暇の特訓の際、アリナさんが放った連重魔法は地形をゴッソリと変形させるのではなく消し去ったと言っても良いくらいに地形を消し飛ばした。

 重ねられていたとしてもそれは破壊できる。でも破壊した直後に三つ分の衝撃が俺に直撃するだろうな……俺もただじゃ済まない……でもそれがどうした! あんたを連れ戻すっていうのにこんなところで引き戻れるか! 

 俺が拳を握りしめたのを見て相手は驚きを露わにする。


「避ける気なしか! 諦めたのかな!?」

「諦めねえよ! アンナを救うって決めた以上、こんなところで止まってられねえんだよ!」

「分からない! 何故君は彼女を救おうとするんだ!? ただ友達だからと言うことで落ちぶれ貴族を救おうだなんて発する君の神経が分からないよ!」

「だろうな! 俺は貴族とか平民とかんなのどうでもいいんだよ! 俺の友達を助けたいと思ったら相手が貴族だろうが平民だろうが関係なく助ける! 誰に何と言われようがな! それが友達ってもんだ!」

「それはただの理想だよ! 君も直面した時、そうは言ってられなくなる! 人間だれしも自分の保身を真っ先に考える物なんだよ!」

「自分の保身なんか後でも考えられる! でもな! 友達を助けるか否かは今この瞬間にしか考えられねえんだよ!」

「消えろ!」


 直後、俺に向かって炎や水、雷ではなく魔力の塊ともいえる光り輝く巨大な球体が放たれ、凄まじい速度と衝撃を放ちながら進んで来る。

 向かってくる巨大な球体に拳を叩きいれた瞬間、全身に凄まじい衝撃が走り、肩のあたりに激痛が走り、思わず顔をしかめるがそれでももう片方の腕を叩きこむ。

 た、確かにすげえ威力だ! 属性クラスのエースって言われてるだけのことはある! でもなぁ! 俺は友達を救いたいんだよ! こんなところで負けてられねえんだよ!

 巨大な魔力の塊に指が食い込む。

 絶大な魔力の塊だろうがどんなもんだろうが俺は全てを破壊していく! たとえ世界を破壊することになったとしても俺は俺の信じる道を突き進んでいくだけ!


「ぬおらぁぁぁぁぁぁぁ!」

「っっ!」


 球体を掴み、無理やり左右に両腕を広げた瞬間、何かが砕け散るような音が周囲に響くと同時に巨大な球体が二つに分かれ、そのまま後ろへと飛んでいき、後方で大きな爆発を起こした。

 爆発の際に発生した衝撃により、俺の体が一気に押し出される。

 膜も何も破壊しねえ! ただ単にあいつに拳を叩きこむ!

 それをさせまいと目の前に魔法陣が展開されるがそれすらも俺は破壊し、近づいていく。


「な、何なんだ君は! いったい何なんだ!」

「トコヨユウジ! ただの人間だぁぁぁぁぁぁぁ!」


 相手の顔面を一発殴り飛ばした直後、相手の胸倉をつかんで無理やり引き寄せ、鼻頭にもう一発拳を叩きこみ、さらには頭突きを加える。

 が、相手が俺の顔を鷲掴みにするように広げて押さえつけてくる。


「アハハッハ! 凄いね! でも僕の勝ちだ! みなよ!」

 そこには俺が破壊したはずのフィールドとは違う真新しいフィールドがセットされていた。

「僕はたとえフィールドに叩き付けられようとも魔法で衝撃を緩和できるけど君はそれが出来ない! フィールドに叩き付けられて君の終わりだ!」

「そうだろうな……ただし、それが出来ればの話だけどな」

「何を言ってるんだか…………」

 呆れたようにそう言いながら相手がフィールドに向かって手を翳すが魔法陣は出現しない。

「な、何故……ま、まさか君の仕業か!?」

「あぁ。俺が触れてる間はずっとお前の魔力は体外に放出された物は破壊され、魔法を使えるほどの量じゃないぜ……ま、根性試しと行こうじゃねえか!」


 頭からフィールドに叩き付けられても魔力による不可視の膜が張られている模擬戦では死にはしないけど衝撃は従来通り伝わる。

 直後、俺の視界が真っ暗になった。


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