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空蝉  作者: その辺の人
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空蝉ニ

例えるならば私は何なのであろうか。いや、そんなものはどうでもいい。ほら、担任が教師に入って来た。今日もまた、ただ真っ白で淡白な学校生活が幕を開ける。

誤解を招かない内に言っておくが私は学校生活は満喫している。1人でいるだから満喫していないというのは余りにも滑稽な価値観である。この価値観が横行しているのか。この価値観を持っている人はきっと自分の何も無さが嫌で群れに留まろうとする或いはそこに辿り着こうとしているのであろう。なんとも涙無しでは語れない事であろうか。その無駄な努力をしようという心はどこから来るのか。理解し難いものである。

それについては彼らも何故私は努力しないのか不思議なのだろう。

私は今の自分が好きなのだ。無理をせず、決して誰かと深く関わらず、何となく日常を送る。そういうの大好きなのだ。

大人はきっと今からしっかり未来を見据えないといけないぞというのであろう。価値観が違い過ぎる。いつ私が成功者になりたいと言ったか教えて欲しいものである。

成功者が幸せという価値観もまたおかしくて滑稽である。人間とはお互いに助け合いながら生きていくのだという彼ら特有の決め台詞は見る影もなく何処かに散り去って、競争社会をより激しくしている。彼らもまた周りに見栄を張って生きている。この世界にはこれが正解というものはなく、ただ正解にされているものがあるだけである。

だが大衆が正解にされているだけであることに気付かずに必死に勝ち組になろうと足掻いて成れずに人生の終わる。

ならば最初から負け組である事を認めてしまった方が人生は気楽なのである。

もっと言うと人間は自己を失うべきだ。自己を持つが故に醜く争う。これ以上文明を発展させる意味もないだろう。

この退屈極まりない授業というのは何故6回もあるのか。まだ4回目である。しっかりと数えていないため正解な数字は知った事ではないが。よくただ勉強するだけではなく、集団行動を学ぶ為に学校に行くのだという者がいるが、であれば私は自宅でいい。そもそもこの程度の問題であればわざわざここまで来て学習する価値など皆無である。

では何故私が学校に行くのか、何故高校に進学したのか?

理由は単純明晰だ。周りの目があるからである。実力があろうと、若いという理由だけで彼らは若者に対して劣っているというレッテルを貼る。中卒などだと尚更であろう。そうする事によって自分の優位性を保とうとする。

人間とはなんとも面倒くさいものである。考え始めたのがいつであったかなど覚えていないが、少なくとも24時間の間にアンチ蝉から蝉崇拝に変わってしまった。

蝉はいいものである。ただ泣鳴いているだけでいい。もしかしたら其処には深い理由があるのかもしれない。しかしそれは俺にはなんの関係もない話である。

このままだと私が世界を否定する俺かっけえ系厨二病と思われてしまいそうで甚だ遺憾である。

なので明るい話をしようと思う。と言ったところで明るい話が出てくるわけでもない。

学校が終わった。今日も実に淡々とした日であった。なんと素敵な日々であるだろうか。

淡々としているとはつまり特に何もないのである。此れほど良いものがあるであろうか。ただ生きているだけで良いのでる。なんと素敵であろうか。

目標が無ければというものがいるがそれは自分の生きる意味を見いだせていないが故に焦ってそう思うのである。自分が何故今ここにいるのか。それに意味をつける行為に意味など皆無である。生きている。それだけでよいではないか。私にはあの様な行動は理解出来ない。

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