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絆の魔法 ~SEVEN COLORS EFFECT~  作者: 岸寄空路
第一章 ダーク&ハイ
7/37

知らない方が良い事もある

説明回です。

長ったらしい文章ですが読んで下さると嬉しいです。

「今日はレムリアと人間界の交流の歴史について復習するぞ」


 仲間達に説教されてから時間が経って現在四時間目の授業、午前中最後の授業だ。これが終われば昼休みということでクラスメイトの何人かの腹の虫が悲鳴を上げている。


「……今から約三十年前に人間界で海底遺跡が発見された。当時の人間達は『ムー大陸か? いやアトランティスかも?』といろいろ期待していたそうだ」


 生徒たちの腹の音をスルーして先生は授業を続ける。いやまあ、お腹空かせた女子もいると思うし気にしない方が良いと思うけど。しかし、この学園の生徒はどんだけ飢えているんだ……。


「調査を進めて行くうちに遺跡の中に空気の存在する不思議な空間が存在していた。そこに有ったのが異世界レムリアへのゲートだったんだ。ちなみに元々異世界にレムリアと言う名前は無く人間界で水没したと思われる大陸の名前から付けたそうだ。

ゲートを潜った先は同じような遺跡の中で外に出てみると人間達が神話やおとぎ話でしか見たことがない生物で溢れかえっており驚き過ぎて気絶した者もいたそうだ」


 先生の話を補足すると、人間が異世界で最初に遭遇したのはドラゴンだったそうだ。

 しかも何故か二体で、おまけにガチバトルしてるタイミングで。

 巨大なドラゴンが二体もいきなり現れ地形が変わりそうな勢いで戦闘しているのを見たら、そりゃ気絶したくもなるだろうな……。


「異世界への扉の存在は人間界にとって衝撃的で、当時は大騒ぎになり異世界の生物に恐怖し扉を破壊しろと言う意見を挙げる者もいたそうだ」


 まあ、最初に遭遇したのがドラゴンじゃそうなるよな……。

 むしろ問答無用で破壊しなかったのは、なんだかんだ言っても異世界に興味があったということだろう。


「人間達は話し合った結果、危険性を確認する為に軍隊を異世界に派遣し調査を行ったそうだ。その際、人間と同じ知能を持つ生物、今の六種族と出会ったわけだ」


 人間と六種族のファーストコンタクトは銃声で始まった。

 モンスターに何度か襲われ正気度が削られていた調査隊は、とにかく出会った生物に銃をぶっ放すという恐慌状態だった。

 しかし、放たれる銃弾の尽くを魔術で防ぎ、竜鱗でビクともせず、終いには信じられない反射神経で避けられて調査隊全員が膝を突いたそうだ。


「言語の違いが有り交流は困難かと思われていたが、人間界の神隠しと言う現象に遭いレムリアに転送されていた日本人の少年が居たことでスムーズに交流を行うことができたそうだ」


 これは秘密だけど実はその日本人、俺の父親だったりする。

 異世界に転送されてよく生き残れたなと思うが親父は類稀なる幸運の持ち主だったおかげで助かっていたのだ。

 まず転送された場所が獣人達の集落だったのが最初の幸運。

 次にその集落に居た獣人は気性が穏やかなカピバラの獣人だったというのが二つ目の幸運。

 おまけに持前の馴れ馴れしさで言葉が通じないにも拘らず、親父はあっという間に獣人たちと仲良くなった。

 面白いこと大好きな親父は向こうの言語と魔術を必死で覚えて習得したそうだ。

 まあ、魔力が無くて大した事はできなかったが。

 その後、詳細は省くが親父はレムリアの交友関係を物凄い早さで広げていき各種族の王と言える存在とすら仲良くなった。

 我が父親ながら恐ろしさすら感じるぜ……。


「今の六種族と人間の仲は、その少年がいなければ成立しなかったと思われる。君達もこの学園初の人間のクラスメイトができたんだ、仲良くするんだぞ」


 家の親父は仲良くなり過ぎて他種族のおっさん達に『娘を貰う気はないか?』とか言われて、後日、嫉妬に狂った幼馴染(俺の母親)に折檻されたそうだ。

 おお、怖い怖い。


 キーンコーンカーンコーン


「今回の授業はここまで」


 以上、皆守勇人による知っても知らなくても得しない歴史の裏事情解説でした。


「起立。礼」


 礼と言い終わった瞬間、何人かの生徒は電光石火の如く教室を出て行った。


「はやっ!」


 あまりの速さに思わず声を上げてしまった。

 てか、どんだけ急いでんだよ……。


「この学園だと購買のパン()人気だからな」


 驚いている俺に竜二が苦笑しながら教えてくれた。

 なんでも異世界出身の奴らはパンなるものを食べたことが無いらしい。

 と言うより正確には発酵を利用した食品がレムリアにはないらしい。

 重曹のような物も無くパンのようにフワフワした食感の食べ物が珍しくて人気だそうだ。


「学食も人気だから早く行こうぜ」


 竜二の言葉に頷き俺と竜二達五人と共に食堂へ向かった。


 食堂には既に行列が出来上がっていた。


「沢山いるな……」


 驚嘆した俺にマナが補足する。


「これで実質半分なんだよね~」


 と言うのも実はこの学園には食堂が二つある。

 みんな自炊せずに食堂で食事する為に増設したそうだ。

 ちなみに俺達が居るのは第一食堂で新しくて綺麗な第二食堂よりは人気が低いらしい。

 誤差の範囲でしかないらしいが……。


「あのー、早く買わないと昼休みの時間無くなっちゃいますよ?」

「おっと、そうだな」


 リリーに言われ俺達は食券を買うために並ぼうとしたが――


「きゃっ」

「あ! すいません」


 途中で他の女生徒とぶつかった。


「大丈夫ですか?」


 相手の年齢がわからないので一応敬語で対応する。


「ッ!」

「?」


 女生徒の顔は前髪で隠れていてよくわからないが俺の顔を見て驚いたようだ。


「あの――」

「おーい、どうかしたか?」


 なかなか来ない俺に気付いて竜二が声を上げた。


「悪い! 今行く!」


 そう言い俺は再び女生徒に目を向けるが――


「あれ?」


 何時の間にかいなくなっていた。


「?」


 なんだったんだろう? でも何処かで見た様な……。

 疑問に思ったが俺は昼食を摂るために俺は竜二達の元に向かうのだった。









「……なんで、今更…………」











 みんなといろいろ話す約束をしていた俺は即決即断で日替わり定食に決めた。

 今日の日替わりはメンチカツだ。

 ちなみにリリーとマナは俺と同じ日替わり定食、竜二はカレー、アルはラーメン、ミアはうどんだ。

 どれも日本の学食の定番だ。

 余談だが実は人気が無いのは鶏の唐揚げだったりする。

 これは決して学食の唐揚げが不味いと言うわけではなく人気が無いのは正確には鶏肉なのだ。

 レムリアに居るある鳥の肉が美味くて他の鳥では代用できないのだ。

 その鳥の名は『コカトリス』というモンスターだ。コカトリスとは雄鶏にトカゲあるいは蛇を合わせた伝説の生物で石化の能力を持つ。

 それが何故人気なのかと言うとコカトリスと言うモンスターの生態について説明しよう。

 コカトリスはまず天敵と言える生物がいない。そのため日頃は食っちゃ寝して過ごしているが、決してただ太っている訳ではない。肉が美味いため他のモンスターによく襲われている。しかし、自分より強いモンスターは石化で撃退し、弱いモンスターなら嘴や爪を駆使して倒す。

 そのため肉は程よく引き締まり、丁度良く脂の乗った極上のものになる。

 その肉で作った唐揚げの美味さと言ったら……じゅるり。

 おっと思わず涎が。

 閑話はここら辺で終わろう。


「美味いな」

「結構レベル高いからなここの学食」


 竜二の言うとおりレベルが高いな。

 異世界の住人に少しでも人間界の印象を良くする為に三ツ星の料理人を呼んでいる、という噂があったが強ち出鱈目でもないかもな。


「そうなの?」


 ミアが首を傾げながら聞いてきた。

 この学園に来るまでレムリアに居たから基準がわからないのか。他の奴らも見ると同じように首を傾げている。

 どうやらこの話ができるのは竜二だけみたいだな。



***



「あのさ、気になっていたんだけどさ……」

「ん? なんだ?」


 食事を終えて昼休みの時間が思ってたより余ったのでみんなで雑談をしている時に唐突にミアが疑問に思っていたことを口にした。


「朝の竜二とのバトルで使っていた魔術って重力系魔術?」

「あ~あれね。そうだ重力系魔術だ」

「やっぱりそうなんだ……。よく習得できたわね?」


 そう思うのも仕方がない。

 重力系魔術は魔術の中でも難易度がかなり高い。

 重力は星に必ず存在するものだ。それを操るということは、他の自然現象すら掌握するに等しい。それ故に習得することは困難で魔力の消費量も凄まじい。

 実際、俺の魔術は重力の制御を小さい範囲のみで行っている。

 竜二との戦いで使った魔術を例に挙げると《グラヴィティ・チェンジ》は竜二と同じ横幅と高さ、奥行き十メートルの範囲を竜二の後方に向けて重力の方向を変えた。

 その範囲を竜二の位置に合わせるように設定するだけで魔術の発動に時間が掛かるために実戦で使いづらい魔術でもある。

 その代り魔力の消費は少ない。と言っても他の魔術より消費量は遥かに多いが。


 《グラヴィティ・フォール》の場合は適当な位置を中心に円形の範囲を設定して重力を倍加した。場所を固定し広い範囲で発動するので魔力は大目に消費するが発動の時間は短い。

 総括すると重力系魔術は細かく設定すると魔力量は少なく済むが発動まで時間が掛かる。

 大雑把に設定すると発動は早いが魔力の消費量は多いという一長一短な魔術だ。

 そのため魔術に聡いエルフでも習得する者は少ない。

 ああ、ちなみに《ウエイト・ゲイン》は自分自身にかかる重力を操作するので難易度も魔力消費量も少ない。


「俺も気になっていたことがあるんだが」

「……ん。なんだ」


 アルが返事してくれたので俺は疑問に思っていたことを口にする。


「俺が緑竜や竜二と戦っていた時、なんで先生が出て来なかったのかなって。確かドラゴン化とか先生が見ていない時は禁止じゃなかったか?」

「……あのルールは結界を破壊させないためにある」


 アル曰く、ドラゴン化や高ランク魔術のように強力なものになると結界にダメージを与える可能性があるため先生達が見張っている所でやれ、とのことらしい。

 つまりだ、俺と竜二の戦いはそもそも結界に届くような遠距離攻撃を行っていなかったら心配無かったとしても、緑竜はドラゴン化したのに気にもされていなかったという悲しい事実が発覚してしまった。まあ、ただ単に俺が速攻で倒したせいかもしれないが。


「それよりも気になることがあるんだけど……」


 俺とアルの会話が終わるとマナが恐る恐ると聞いてきた。

 なぜか他のみんなも『え! それ聞くの!?』といった顔をしている。


「勇人が持っている武器、素材に何を使っているの?」

「ヴァリアブル・ウエポンの素材か!」


 俺は思わずテンションが上がった。

 すっげぇ苦労して集めたからな! ぜひ語って聞かせたいと思っていたから丁度良い!


「えっとな、オリハルコンとミスリル銀、白竜の鱗に――」

「「「「「ストップ! ストォォォォップ!!」」」」」


 嬉々として語ろうとした俺は五人に全力で止められるのだった。




自分に飯テロな文章は書けないなと書いている途中で気付いてしまった…

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