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魔法と奇跡  作者: 蒼狼
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会議と一戦




会長の補佐に就き1週間。

違反者の取り締まりが主な仕事だと聞いてたが、とくに何事もなく日が過ぎていった。


そして今日は委員会会議なるものがあるらしく、会長がそれに出席するため、俺も駆り出された。

残って事務処理よりは全然良いけど。



晴「しかし… 会議室ってこんな遠かったんだな……」



生徒会室で会長と合流してから会議室へ向かっているのだが… 遠すぎる。

もう10分は歩いてる。ウチの学院がけっこう広いことは知ってたけど…



蓮華「そうですね…。魔法の無断使用は禁止されているので転送魔法も使えませんし……。でも、こうやって歩いている時に会議の議題についてを要約できる良い時間でもあります」



そういう考え方ができるから優等生なんだろうな…。聞くところによるとペーパーテストの首席は会長らしいし。



晴「議題か…。今年の各委員会の活動目標と諸連絡だっけ」


蓮華「今回に関してはその諸連絡がメインなんですけどね。活動目標の提示は恒例行事のようなモノなので数分で終わります」



まぁ目標なんて立てたって意味ないしな。実際そういうのはその場の気分に左右されると思う。

そうして会長と話をしながら歩いていると、会議室の札がある部屋を見つけた。中からは話し声が聞こえる。

俺は引き戸を引き、会長が入室したのを確認してから俺も入って戸を閉めた。



「あら、珍しいわね。あなたが最後なんて」


蓮華「遅れたつもりはないのですが…」



中にはすでにけっこうな人数がいて、俺たちが最後だったようだ。

するとさっき会長に話しかけた女生徒が俺に気づき、歩いてきた。



「彼は?」


蓮華「会長補佐です」



会長が言った瞬間、周りがざわつき始めた。

支倉の言っていた通り、会長補佐という役職の評価よろしくないらしい。



「意外ね。あなたは補佐なんて任命しないと思っていたけれど」


蓮華「私もそう思っていました。…でも、どうしても彼の存在が生徒会には必要なんです」



生徒会には、ね…。別に期待していたわけじゃないが少しグサっとくる。



「そういえば、もう補佐以外に空いてる役職が無かったのね」


蓮華「はい。ですが私は彼を会長補佐に任命して良かったと思っています」



そう言って会長は笑った。

そして「会長」と立て札がある席に座る。俺は会長が座っている席の少し後ろへ行き、そこに立つ。……だけでいいと会長に言われた。

会長が座ると、中にいた生徒達が一斉に着席していく。



蓮華「それでは始めましょうか。……まずは各委員会、今年の目的・目標の提示をお願いします」



各委員会委員長が発表スラスラと発表していき、会長が言っていた通りものの数分で終わった。



蓮華「各委員、掲示した目標の通り、もしくはそれ以上の活躍を期待しています。では次にいきましょう」



一区切り終わらせ、会長はふぅ、と一息入れた。



蓮華「各地の魔法学院、または学院生が反魔法団体『シャングリラ』の構成員達の攻撃を受けていることは知っていると思います。幸い、この学院にはほとんど被害が及んでいません。しかし、極わずかながら危害を加えられているヴィンハイムの生徒がいることも確かです。……それ即ち、少なくとも『シャングリラ』の構成員がこの地域にいることを意味します」



『シャングリラ』…聞いたことはある。魔法の存在を良しとしない反魔法団体。

「人は魔法によって滅びる」という理念の下、各地の魔法研究機関や魔法学院への攻撃を続ける組織。

解せないのは連中も魔法を使って攻撃をしてくること。……そしてその魔法が各学院で生徒や教師が知りうる魔法ではないということ。つまり、連中が使っているのは魔法でも奇跡でもないということ。


会長は言葉を続ける。



蓮華「特に狙われやすいのは下校中…。ですので風紀委員の方には巡回ルートの広域化の対処を所望します」


「…わかった。人員もできるだけ増やしてみる」



風紀委員の立て札がある席に座っている女生徒が返事をした。

白くて長い髪の、いかにも風紀委員という感じの……ていうかあれ日本人ではないよな…?



蓮華「ありがとうございます。そして保健委員。あなた方には回復魔法の術式、発動方法などの講習会を開いてほしいのです。万が一の為にも」


保健委員委員長「わかりました。……日程や場所などはどうすれば」


蓮華「追ってこちらから連絡します」



そこまで言うと会長はふぅ、と息を吐いた。



蓮華「私からの連絡、請願は以上です。……他に何かある方はどうぞ」



シンと静まり返る室内。案の定、何もないようだ。



蓮華「無いようでしたらこれで終了にします。お疲れ様でした」



会長が言うと、それまでの会議の空気は消え、生徒達は雑談しながら出て行った。

……しかしその中で席から立ち上がったまま、俺の方をガン見してくる人間が1人。

さっきの風紀委員委員長だ。



蓮華「どうしました、グレフさん」


グレフ「蓮華、その男が会長補佐として違反者の取り締まりを行うと、そう言っていたな?」


蓮華「はい。それがなにか」


グレフ「その男… 黒組じゃないか。そんな男にできるのか?」


蓮華「……」



黙るなよ…。何か言い返してくれないと図星みたいじゃないか…。

けど無理もないか。会長は別に俺の身体能力を見たわけじゃない。俺の魔術師への躊躇の無さを見ただけだ。

……なら俺がすることは一つ。あの女はわかりやすい挑発をかけてきている。なら、それに乗ってあいつに勝つ。実力主義の風紀委員の委員長に勝てれば、会長も安心して俺にしごとを任せれるだろう。


そういうことで…



晴「試してみるか?」


グレフ「ほう…?」


蓮華「六興くん……、この学院の風紀委員の委員長というものがどういうものなのかはわかっているのですか?」


晴「ああ知ってる」


蓮華「……なら構いません」



会長はlまだ何か言いたそうだったが、委員長へと向き直った。



グレフ「松永、今すぐ剣道場へ行って剣術部に交渉してこい。……3分でいいから使わせろと」


松永「わかりました」



松永と呼ばれた男子生徒が走って出て行く。



グレフ「時間など与えん……。今からだ」


晴「構わない」



数分後、戻ってきた松永が剣術部からの許可をもらって帰ってきた。

そして俺達は剣道場へと赴いた。
















ご一読、ありがとうございました。

5/10(土)23時更新予定です。見ていただけると幸いです。

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