会長は天然
翌日、早速始まった通常授業を乗り越え、生徒会室に向かう。
生徒会室は校舎の5階にあり、階段を登って目の前にあったのですぐにわかった。
戸の前まで来て1度立ち止まった。
……なんか緊張する。
少し息を吸って覚悟決めた後、扉に手をかけその戸を引いた。
晴「失礼します」
蓮華「待ってましたよ、六興くん」
中にはすでに会長を含め、4人の生徒がいた。
雪「え…? 新しい役員って晴のことだったの?」
雪が驚いた顔を見せる。
俺は雪が生徒会の役員だと知っていたからあれだけど…
京司「まさかお前が…」
支倉がここにいたことに驚いた。
成績はともかく、支倉は俺と同じ普通科のハズなのに。
蓮華「2人は知り合いなのですか?」
京司「知り合いも何も、友人ですよ」
蓮華「そうだったのですか。それならここにも早く慣れそうですね」
確かに4人中2人が知り合いなのは少し気が楽だ。会長も昨日話したからさして気まずい相手でもない。
問題は…
「………」
さっきからずっと好奇の視線を向けて来るアレ。会長と同じく小さくて可愛い女の子だ。
余談だがウチの学院は学年によってスリッパの色が違う。
3年が緑、2年が赤、1年が青。あの娘は赤だから2年だろう。
蓮華「大丈夫ですよ。六興くんは怖い人ではありません」
雪「どうだろ…」
晴「うるさいぞ、そこ」
怖い先輩だと思われたらどうする。
雪と双子で顔は似てるから顔が怖いなんてことはないハズだ。
……多分。
千加「日下部千加です…。え、えっと……」
晴「六興晴だ。そこのとややこしくなるから晴でいい」
そう言いながら雪を目で見た。
あいつみたいな人懐こい笑顔は俺にはできないが…。
千加「よ、よろしくお願いします…… 晴、さん…」
晴「ああ、よろしくな日下部」
蓮華「さて… そろそろ本題に入りましょう」
会長が長机の端の席に腰掛ける。
それに続き、他の役員も座っていったため、とりあえず空いてる席に座った。
蓮華「六興くんには空いていた会長補佐の役職に就いてもらいます」
雪「やっと決まったんだねー。相応しい人がいないーって言ってたけど」
蓮華「そうですね…。私もそう思っていました。しかし、魔法、魔術を必要とせずに十分な戦力となる彼になら、補佐が務まると思いました」
晴「会長補佐ってのは魔法お使ったらダメなのか?」
蓮華「そうではありません。……昨日も説明した通り、私達は魔法なしの戦力が欲しかったのです」
京司「会長はその辺気にする人だからな」
良いやつすぎて損してる感も否めないが…、それも会長の良いところなんだろうな。
京司「しかし、あの六興が会長補佐…ね…」
晴「何かおかしいのか」
ニヤニヤしている支倉を半眼で睨んでやる。
が、支倉も特に気にすることなく、
京司「いや、別に。ただお前、会長補佐って何やるか知ってるのか?」
晴「名前の通り、会長の補佐じゃないのか?」
京司「補佐っていえば聞こえはいいけど…… 実際は奴隷みたいなモンだよ。周りからは"首輪つき"なんて呼ばれてる」
蓮華「支倉くん。例えが酷過ぎます…」
確かにあの会長が人を奴隷扱いなんてしないとは思うが。
蓮華「でも確かに、そういう意識が学院中に広まっています。今までの人がそうでしたから。……ですから私は会長補佐は任命しないでおこうと思ってました」
晴「でも他に役職がなかった…と」
蓮華「はい……。六興くんには申し訳ないと思っています…。それでも私はキミの存在が必要なのです」
晴「まぁ……気にするな。普通科の生徒、しかも懲戒処分を受けただけに周囲からの陰口には慣れてる」
そう言うことは昨日の時点で言っておけよと思ったのは内緒。
けどまぁ、こう頼られるのは素直に嬉しい。それが俺の思い違いだったとしても。
蓮華「ありがとうございます…。今日は顔合わせがしたかっただけなので皆さんは帰ってもらって構いませんよ。六興くんは活動の説明をしたいので残ってもらことになりますが…」
晴「時間ならある。問題ない」
雪「じゃ、先に帰ってるねー晴」
京司「また明日な」
千加「さよう…なら…」
そして3人が出て、俺と会長の2人に。
蓮華「六興くんの仕事はただ一つ、昨日も言った通り違反者の取り締まり、必要となれば武力介入にあたります」
晴「……それだけか?」
そんなことなら風紀委員にでも任せておけばいいんじゃないか?
去年の暴力沙汰の時、俺を抑えてきたのは風紀委員だった。
蓮華「……実際のところ、やってもらうことというのがあまりないんです」
晴「ならなんで残した…」
蓮華「私の補佐をしてもらうにあたって、六興くんのことを知りたかったから…です」
笑顔でそんなこと言うな。勘違いしたらどうしてくれる。
でも補佐…か。
晴「なら、特に用事のない時は極力あんたの傍にいることにしよう。それなら何か用事があった時にすぐ対応できる」
それに会長ぐらい可愛いと近くにいれるだけで十分役得だ。
蓮華「そうですね。それが1番良いかもしれません。……六興くん、もう少しお話ししていきませんか…?」
晴「なぁ会長… それワザとか?」
蓮華「…?」
天然か…。
慣れるまではドキドキさせられっぱなしだろうな…。
そう思いながら、下校時刻ギリギリまで会長と話をしていた。
ご一読、ありがとうございました。
あと、遅れてしまい申し訳ありません。
5/8(水)23時、更新予定