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序章
むかしむかし、ずっとむかし…。
世界は穢れを知らず、光輝く意思で溢れていました。
その意思は時折風に流され水に流されてぶつかっては合わさり、ついに神になりました。
しかし、神は自分で立ち上がる事が出来ず、倒れて壊れてしまったのです。
散らばった六つの破片から、純白の羽を持った六人の天使が生まれました。
一人目の天使が言いました。”純白の羽で命を作ろう”と。
天使は世界のあちこちへと飛んで行き、”命”を作り始めました。
でも、六人目の天使は”命”を作りませんでした。
ある日、三人目の天使がどうしてと問いました。
すると六人目の天使は言いました。
ボクの羽が汚れているからだよ。
六人目の天使の羽は汚れていました。
神が倒れて破片になった時、一つだけ泥に浸かってしまったからでした。
汚れは消えませんでした。
だから”命”を作りませんでした。
”汚れた命”は作ってはいけない。そう思ったからです。
そこへ四人目の天使が来て言いました。
”・・・・・?”
その言葉に、六人目の天使は泣きました。