転生なんてない
目の前に雷が落ちた。
「あなたは昨日願いましたね。眠る前に」
声がした。
「望み通り死ねそうですね。あなたの人生は順風満帆で無かったのと察しました。あなたは昨日本当に強く願いましたね」
タダシは笑いながら言った。
「よくある転生アニメの展開だな。俺にそんな展開はいらないよ、誰だか知らないけどさ」タダシは捻くれていた。
「私はあなたが願った神です。AIでもありません。あなた捻くれ具合は素晴らしいです。主役の素質があります。でも気づいていないのです。どうしますか生きますか?死にますか?」
「名前は神なんですか?俺は散歩していたから雷に打たれたんだ。これでよかったんだ。もういいよさようなら、あと選択を迫られるのもよくある展開だよね」タダシはよく喋る。
神は、名前はないと言った。
「ここで死を選ぶ感じあなたは、やはり素質があります。どうせ死ぬならいい気分になってから死にませんか?あなたは諦めているんだ。自分は有名になりたかったけどその才能が無かったと。だから人と比べて捻くれてしまったのでしょう」
タダシには、声だけが聞こえている。
「親とか先生とかみたいなこと言わないでくれ。この時間は何だ?眩しいんだけど、早く楽にさせろよ。俺は頑張って疲れて休んだら無力になってお金が底をついてしまっただけなんだ、自分でも分かっているんだ、甘ったれの意気地なしの醜い男だと」タダシは泣き言を言った。
タダシそれでも毎日髭は剃っているし、歯も磨いている。まだ自分に期待しているのかしれない。
「長話は嫌いです。どうしますか?」
急に名が無い神が冷たい態度を取った。
「俺も長話は嫌いだ。分かった。でももういいんだ、死ぬよ」
「タダシそこは生きるだろう、普通に考えて分かるだろう、面白くないなー」
名が無い神は笑った。
「おい。なんだよ。俺はもう死ぬで決まりでいいだろう。転生して頑張って生きて、人生変わりましたみたいな展開はもういいって、みんなもう飽きてるよ、頑張って生きて、はいダメでしたさようならそれでいいんだよ。あとなんで名前知ってんだよ」
「神だからね」名が無い神はドヤ顔をする。
「タダシよ、こっちも説教してる気分になってきたよ。もう黙るから、雷に打たれて死ぬ人生でいいかい?」
名が無い神は、少し声を低くして問う。
「あー死ぬよ。未来は真っ暗なんだ。今日は、たまたま散歩したい気分だったんだ。まさか雷に打たれるなんて思いもしなかった。でもこれでいい。これを望んだ」
ブレーカーが落ちたような音がして、タダシの前は真っ暗になった。
名が無い神は最後にこう言った。「最後にこれを観ながら逝きなさい」
タダシは闇の中、
どこか遠くて近いような知らない顔の人の叫びを聞いた。




