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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第二章

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ゴブリンはワーウルフに感心しました4

 さらにはレビスの思わぬ力強さに戦士っぽい冒険者も困惑している。


「なんだか力が溢れてくる!」


 レビス自身もこの力がなんなのか分からないけれど槍を振る手がいつもよりも軽い。

 まだ人の力には敵わないけれど油断出来ないような圧力がある。


『しかもなんだよこのワーウルフ!


 なんで装備つけてんだよ!』


 しかもユリディカはすっかり体に馴染んだ鉤爪を武器に戦士っぽい冒険者に襲い掛かっている。

 ワーウルフは身体能力と爪や牙を使って戦う魔物である。


 ゴブリンやコボルトのように武器を扱うことをしないのが一般的だ。

 それに加えてユリディカが使っているのはまるでユリディカにあつらえられたかのような鉤爪。


 一体誰が魔物に武器を作ってやると言うのか戦士っぽい冒険者の頭の中はパニックだった。


『ギッ……く、そっ……』


 振り下ろされたユリディカの爪。

 剣とぶつかり火花を散らす。


 ユリディカの力が強くて剣がわずかに押されて戦士っぽい冒険者が顔を歪めた。

 しかし敵はユリディカだけではない。


 戦士っぽい冒険者はほんの一瞬意識からレビスを外してしまった。

 油断ならないと思っていたのにゴブリンだからと下に見る意識が戦いの中で自然とレビスを軽んじてユリディカの方にばかり集中してしまった。


 あるいはユリディカやレビスの戦いが上手かったのかもしれない。

 レビスも控えめに戦った。


 力が溢れるような感じはあるが無茶をせず相手の隙を狙い、ユリディカをフォローするように立ち回った。

 自然と相手の意識から消えるように動いた。


 大きな戦力であるユリディカを前面に押し出して戦うドゥゼアの教えを守っていた。

 その結果戦士っぽい冒険者はレビスの槍に脇腹を貫かれた。


 革の鎧の繋ぎ目を狙った技アリの突きであった。


『こんなところで……』


 ユリディカの爪が戦士っぽい冒険者に迫る。

 魔力のこもった爪は戦士っぽい冒険者の首をはね飛ばした。


『く、くそ……なんなんだよ……こんなの、聞いてねえぞ!』


 ドゥゼアと戦う盗賊っぽい冒険者は絶望したような表情を浮かべる。

 戦士っぽい冒険者はゴブリンの1匹倒しきれずにやられてしまった。


 自分が戦っているゴブリンだって盗賊っぽい冒険者の方が力も速さも勝っているのに仕留めきれない。

 何が起きているのか理解ができない。

 

 ドゥゼアは多少浅い切り傷はありながらも盗賊っぽいを上手く防いで耐えていた。

 レビスとユリディカならもう1人の戦士っぽい冒険者を倒してくれると信じていた。


 自分でも仕留めきれないゴブリンと仲間を倒したゴブリンとワーウルフに囲まれて盗賊っぽい冒険者は顔を青くした。

 だかがゴブリンにすら勝てる気がしなくなってナイフを持つ手が震え出す。


「……なるほど」


 レビスが力が溢れてくると言っていたわけが分かった。

 ドゥゼアも体に力が溢れ、短剣が軽く感じ始めた。


 これはおそらくユリディカの力だとすぐに理解した。

 だからといって調子に乗りはしない。


 ドゥゼア、レビス、ユリディカはしっかりと盗賊っぽい冒険者を攻め立てて誰も欠けることなく勝利を収めた。


「どんな時でも油断はいけないな」


 奇襲が成功したからなんとか倒せた。

 フルの状態で戦っていたらとても勝てない相手だったと思う。


「ドゥゼア」


「おい、なんだ?」


 ユリディカがドゥゼアを抱きかかえた。

 爪で傷つけないように気をつけながら優しく傷がついた頬をペロリと舐めた。


「むっ?


 ……おおっ!」


 頬の痛みが引いていき、ドゥゼアについた切り傷が癒えていく。

 ユリディカが受け継いだ癒しの力だ。


「まだよく分かんないけどなんだか出来そうな気がした!」


 むふーと鼻息がドゥゼアにかかる。

 傷口を舐めてやるのはケモノ系の魔物でよくやること。


 なんだかそれで治せそうな気がユリディカにはしていた。

 ただ絶対舐めなくても治せるとドゥゼアは思った。

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