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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第一章

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ゴブリンは嫌われているようです4

 ゴブリンが探されているとしたら人に近い道沿いを進むのは危険である。

 仕方なくドゥゼアは人から離れて奥に進むことにした。


「このまま真っ直ぐ進んでいけ。


 後で追いつくから」


「ドゥゼア?」


「大丈夫。


 少し奴らを撹乱してくるだけだ。


 危なそうなら他のゴブリンは置いて逃げろ」


 ドゥゼアはレビスたちから離れていく。

 向かう方向はゴブリンの巣があった方である。


『いたぞ、そっちだ!』


『殺せ!』


 逃げ惑うゴブリンを追いかける冒険者の声が聞こえてドゥゼアは身を低くして隠れた。

 少し離れたところに冒険者の姿が見える。


 必死になって走るゴブリンを冒険者たちは執拗に追いかけている。

 普段ならゴブリンの1匹ぐらい見逃してもいいはずなのに決して逃すつもりがないように見えた。


『やれ!』


 ゴブリンがいくら逃げようとも本気で追いかけてくる冒険者から逃げるのは容易くない。

 追いつかれたゴブリンはそのまま背中から切り付けられて死んでしまった。


「むごいことをする……」


 ゴブリンに罪もないとは言わないがあそこまで追いかけて殺すことは必要なのだろうか。

 なぜゴブリンがあんな目に遭わなければならないのか。


 答えは出ない。

 答えてくれる相手もいない。


 ドゥゼアは背負っていた弓矢を手に取る。

 レビスがウルフとの戦いで使っていたものだ。


 ゴブリンを倒したばかりで油断している冒険者に向かって一矢。


『な……』


 しばらく扱っていなかったが感覚は忘れていなかった。

 ゴブリンを後ろから切った男の頭に矢が突き刺さって冒険者たちに動揺が走る。


 ドゥゼアはすぐさま背を向けて逃げ出す。


『ゴブリンだ!』


『あいつらは殺さねばならない!』


『追いかけろ!』


 やはり異常な集団だ。

 死んだ仲間を悼む暇もなくゴブリンを追いかけ出すとは。


 レビスたちが向かっている方向とは違う方向に逃げるドゥゼアは石を蹴飛ばしたり枝を折ったりしながら逃げる。


『あっちだ!』


 笛の音が鳴り響く。

 冒険者の1人が吹いた。


 そこまでしてゴブリンを追いかけたいのかとドゥゼアは舌打ちした。

 このままでは仲間たちが集まってきて包囲されてしまう。


 少し早いが仕方ない。

 ドゥゼアは枝や石を触れることをやめて勢いよく木に登った。


 ゴブリンはあまり木登りしない。

 力が弱いし木に登ってもすることがないのでしないのだ。


 だけれどこれまで肉や魔石を食べて体を強化して多少力が強くなった。

 木に登るくらいならなんてことはなく、ひょいひょいと登ることができる。


 そして木から木へと飛び移る。

 体重も軽いのであまり細い枝を選ばなきゃ上手く移動が出来た。


『いなくなった……』


『痕跡も途絶えたぞ!』


 これまで分かりやすく跡を残して逃げていた。

 いきなりなんの痕跡も無くなって冒険者たちは困惑する。


 このまま冒険者を振り切ってレビスたちと合流すればいい。

 痕跡がなくなれば予想で動くしかなくなり、ドゥゼアがミスリードしたい方向に行って探してくれるはず。


「ようやくまいた……」


 冒険者の声もしなくなって逃げ切れたと思ったら瞬間、ドゥゼアの方に矢が刺さった。

 痛みと矢の刺さった衝撃に木から落ちる。


「グゥッ!」


 のたうち回っていられる余裕などない。

 ドゥゼアはすぐさま立ち上がり周りを警戒するけれどすぐ近くに冒険者の姿はない。


 少し視野を遠くまで広げてみるとそいつがいた。

 白髪の大柄の男性。


 大きな弓を手に持っていて、こいつが矢を放った。

 ずいぶんと年がいっているように見え、白髪なのは元々ではなく年のせいだろう。


 かなり距離があるのに木の上を飛び回るドゥゼアに気がついて矢を当ててきた。

 危険な実力者だ。


 そしてなぜかドゥゼアを見るその目はひどく濁ったように燃えていた。

 深い恨みでもあるような目をしている。


 恐怖を感じてドゥゼアは一目散に逃げ出した。

 矢の刺さった肩が痛むことも忘れて逃げる。


 チラリと後ろを確認するとそのジジイは走って追いかけてきていた。

 ジジイの方が早くて段々と距離が詰まってきている。


 追いつかれれば殺される。

 こんな場所でいい作戦を思いつくはずもなくてドゥゼアは必死に足を動かした。


「ト、トロールだと!?」


 走っていると前の方で木が倒れる音がした。

 一瞬冒険者の仲間が先回りしているのかと思った木々の間からトロールという魔物の姿が見えた。


 コボルトが言っていたナワバリ意識のある強い魔物がトロールなのであった。

 そんなにナワバリを守ることに執着しないが視界に入る他のものに襲いかかるような低知能の魔物なので結果的にはナワバリ意識が強いように映るのだろう。


 危険、危ない、避けなきゃ。

 そう思った。


 だが同時にこれはチャンスだと思った。

 ジジイは相変わらずついてきている。


 もう隠れるのも不可能なぐらいまで距離を詰めている。

 だからトロールをジジイにぶつけようと咄嗟に考えた。


 トロールはドゥゼアに気がついていない。

 ゴブリンよりもはるかにデカいトロールの姿がしっかりと見える。


「悪いな!」


 ドゥゼアは短剣を抜くとトロールの足を切り付けながら横をすり抜けた。

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