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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第五章

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ゴブリンは団結します3

「だがその魔人とやらはどこ……」


「もちろんそれについても抜かりありません。大精霊がどこにいたのか、あるいはその魔人がどこにいるのかと言い換えてもいいかもしれませんね」


 当然魔人についても調べてある。


「その魔人が眠っているのはアルカズラト島の魔人収容所です」


「アルカズラト……」


「魔人収容所?」


 ドゥゼアも知らない場所だった。

 ユリディカは分かりやすく首を傾げたが、オルケとレビスも分かっていない。


 しかしデカーヌだけは渋い顔をしている。

 アルカズラト島の魔人収容所がどんなところなのか分かっているようだ。


 ただ知らずとも魔人収容所という言葉の意味はなんとなく察しはつく。


「魔人は人扱いもされますが、同時に魔物扱いもされます。基本的に悪いことをすれば魔物として処断されます。簡単に言えば殺されてしまいます」


 魔人の扱いはほとんどの国や場所で良くはない。

 何かがあれば魔人が悪いとして、魔物同様に倒されることだろう。


「ですがそうしない国やそうできない事情があることもあります。例えば敬虔なマルステシア教の国ですね」


「マルステシア教?」


「ええ、そこそこ大きな宗教ですよ。マルステシア教によると魔人も人扱いになるのです。ついでに死刑なんかも許されていないので、魔人の扱いには困るのです」


 マルステシア教は教義として厳しめの宗教である。

 一方で国教として掲げるような国もあるぐらいには影響力がある。


 マルステシア教は魔人を人と認めるように、とだいぶ昔にお達しを出した。

 さらにマルステシア教においては、死刑は殺人に等しく認められていない。


 となると、魔人が罪を犯してもマルステシア教の国では殺すことは許されないのである。

 だからといって魔人が受け入れられているわけでもない。


 捕らえて人と同じ収容所に入れると色々と問題があるのだ。


「そこで魔人収容所です。国内の人間用の刑務所には送らずお金を払って魔人収容所に送るのです」


「なるほどな。そんなところがあるのか」


 一種のビジネスでもある。

 アルカズラト島を所有する国にお金を払って魔人を引き取ってもらうのだ。


 こうすることで魔人を国内で殺すことなく、責任を追及しながら追い出すことができる。


「一度入れば出られないので実質的に死刑と変わりありませんが、殺さずに手を離れればそれでいいのでしょうね」


 他にも人として認められて周りの信頼を得ている魔人を殺せば、大なり小なり非難する人もいることにはいる。

 一般の人なら気にしないで終わりということもあるが、政治が絡めば面倒な問題にもなりうる。


 そのために自分で処理せず、収容所送りにして適正に処理したと問題を避けることもあるのだ。


「噂の魔人もかつて収容所送りにされたようです」


「そこで精霊と出会い、脱出させたのか」


「そのようです」


「しかし話を聞くほどに問題は多そうだな。そもそも、そこにいってどうすればいい?」


 なんとなく話を聞いたけれど、大精霊の望みは魔人を魔人の娘と会わせることである。

 しかし魔人の娘はもうすでに亡くなっていて、当の魔人も亡くなっているだろう。


 どう頑張っても引き合わせることなどできない。


「正確には大精霊のところに魔人の遺品を持ってきてほしいということらしいです。どうにもあるものを持っていたらしく、それを持っていけばいいようです」


「……あるもの、ねぇ」


「他にもこの計画を考えた理由があります。収容所の魔人を引き入れませんか?」


 話が長いな。

 そんな風にユリディカは思った。


 話が難しいな。

 そんな風にレビスは思った。


「……話が込み入りそうだな。後で俺が全部聞くからみんなは休め」


 話を聞いて思考を整理する必要もありそう。

 こうしたことに頭を悩ませて考えるのはドゥゼアの仕事であり、みんなを付き合わせることはない。


 明らかに話についていけていないみんなを解放することにしよう。

 ドゥゼアは小さいため息をついた。


 ひとまずみんながドゥゼアについてくることには決まった。

 意思の確認はできたのだからそれで十分だ。


「難しいことは俺が考える。お前らは黙ってついてくればいい」


 これまでと変わらない。

 ドゥゼアが考え、みんなで協力して乗り越える。


 これが今回でのゴブ生のやり方だ。


「壮大な計画……全部聞かせてもらおうか」

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