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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第一章

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ゴブリンはゴブリンに会いに行きます3

 仕方ないので時間をかけてゆっくりとゴブリンリーダーの話を聞いていく。

 ただコボルトを拒否しているのではなく事情がある。


 もし解決可能なのであれば解決してコボルトに協力してもらいたい。

 ゴブリンリーダーも割と穏やかな方なので根気強く説明してくれる。


「つまりは人間がゴブリンを掃討しようとしている。


 そういうわけだな?」


「ソウ。


 ダカラスヲマモラネバナラナイ」


「話は理解した」


 人は魔物の言葉を分からない。

 けれど魔物の方は人の言葉を理解できる。


 言語でなくても意思疎通が出来るので人が発するものにも魔力があって意味は理解できるのだ。

 逆に人の方はそうする能力がなくて理解できないのだけど。


 今回はたまたまゴブリンが冒険者の話を聞いたことから始まった。

 どうやら冒険者たちはゴブリンの巣を探しているらしい。


 特に頻繁に人を襲っているわけでもないゴブリンなのであるのにどうしてか冒険者はゴブリンをこの地域から根絶させるつもりであるようだ。

 いつ冒険者が襲いかかって来るかわからないのでゴブリンは巣を離れずに守るためにコボルトを助けにいけないのだ。


 またコボルトに協力して疲弊したり派手に動いて見つかってしまうことも懸念されている。


「コボルトと一緒に戦えとは言わない」


 理解できる事情だった。

 真偽の程はともかくちゃんとした理由に基づいてコボルトの願いを断っていた。


 強制はできない。

 訳の分からない理由を述べてきたらもう一度ボコボコにして従わせるつもりだった。


 けれど今はコボルトもゴブリンも自分の巣を守るための戦いをしようというのだからどちらかに巣を捨てろなど言えないのである。


「とりあえず物はもらっていいんだな」


「スキニシロ」


 最低限溜め込んだ物の方は使ってもいいので今回はそれで十分だろう。


「……おかしいな」


「何が?」


 話を聞いてから疑問に思っていたことがある。

 溜め込んだ物を置いてある部屋に連れてきてもらってさらにその疑問が強まる。


「んー……このぐらいなら巣を探してゴブリンを全滅させる必要なんてないんだけどなと思ってな」


 このゴブリンの群れの規模としては小から中程度で決して大きな群れではない。

 この巣穴も隠れ家としては優秀であるがあんまり大きな場所ではない。


 ゴブリンたちの戦力としては弱い。

 そしてさらに溜め込まれている物の量を見るとそんなに多くもなかった。


 つまりは人に与えている被害も大きくはないということだ。

 被害が小さいということはそれだけゴブリンのせいだとは断定しづらくなる。


 当然他の魔物にやられることだってある。

 ゴブリンだけが悪いなどと言い切ることはできないのである。


 ならばなぜゴブリンに殲滅の白羽の矢が立ったのか。

 それがドゥゼアには分からないでいた。


 ドゥゼアの経験上群れの規模や溜め込まれた物の量からなんとなく人に目をつけられる危険な雰囲気が分かる。

 だがこの群れはまだまだそんな域に達していないのである。


 じゃあゴブリンがウソをついているのかという話になるがウソをつくのは高度な知能があってこそ。

 ウソをつく理由もなければ巧みにウソを考える知能もここのゴブリンにはなかった。


 もしかしたら誰か有力者の子供でも手にかけてしまった可能性はある。

 舐めた態度で冒険者やってる偉い奴の子供とか時々いる。


 偶然そうした冒険者を倒してしまってそれがゴブリンのせいだとバレて狙われている。

 無理矢理な理由付けだが筋が通るような理由が他には思いつかない。


 ほんのわずかに地域の危険度が下がるくらいでゴブリンの巣をわざわざ探して滅ぼす意味などほとんどないのだから。

 むしろその後にゴブリン以外の魔物が住み着くことを考えると後々危険になると言ったっていい。


「分からん。


 とりあえず今はコボルトのことを優先しよう」


 物の量は少ないのでどんな物があるか把握するのは容易い。

 こちらのゴブリンは武器だけでなく荷物もリュックごと持ってきていた。


 金持ちのものがないかも多少気にしながら荷物を漁ってみたけど金持ちっぽい良いものはなかった。

 だけどそのリュックはもらっていくことにした。


 食料品店でもらった袋だと持ち運びに不便さがあると思っていたところなのでちょうどいい。

 ポイポイと必要そうな物をリュックに詰めたり、ついてこさせたコボルトに持つように指示を出す。


 ゴブリンリーダーが惜しそうな顔をしているが今使っていない物はこの先使うこともないのがゴブリンというやつなのである。

 使えるものが使う方が絶対にいい。


「まあ期待はしてなかったがな」


 魔道具の1つでもないかと思ったけどそんなものもなかった。

 魔道具を持てるようなレベルの冒険者をゴブリンが倒すことなんてできやしないので期待はしていなかった。


「よし、急いで戻ってウルフに備えよう。


 同胞よ、協力に感謝する」


「ン、ガンバレ」


 ちょっとした疑問はありながらも今はそれについて悩んでもしょうがない。

 ドゥゼアたちは使えそうだと思った物をゴブリンたちからもらって巣に戻った。

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