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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第一章

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ゴブリンはゴブリンに会いに行きます2

「邪魔するよ」


 小さく声をかけるとドゥゼアはゴブリンの巣穴に入っていく。


「ナニモノ!」


「シンニュウシャ、テキ!」


「1番強いやつを出せ……」


「ギャッ!」


「グワッ!」


 入るなり現れた2匹のゴブリン。

 一応武器を持っているのでそれなりに群れとしての力はありそうだと思いながら思い切り2匹を殴り飛ばす。


 ゴブリンの悲鳴を聞きつけて他のゴブリンが奥から飛び出してくる。


「ナニゴト!」


「テキ?」


「お前らじゃ話にならん!


 強いやつを出せ!」


 次々とゴブリンを殴り倒していくドゥゼアはご乱心しているのではない。

 最も効果的な交渉は何かを考えた結果こうなった。


 魔物の原則は強いものが偉いのである。

 命奪われてもそれは弱いものが悪いのであって、仮にいたぶられたとしてもそれは誰にも文句など言えない。


 対等であることで話を聞いてもらえはするかもしれない。

 けれどそれでは相手の善意に任せるだけになるし知能の高くないゴブリンに対等な立場で交渉事を持ち込んでも上手くいかないことの方が多い。


 誰の立場が上かを分からせる。

 魔物としての交渉術がある。


「カッコいい……」


「アレガ?」


 ゴブリン相手に無双するドゥゼアをレビスは熱を込めた目で見ている。

 コボルトエースは助けを求めにきた相手にあんなことをしていいのかと驚愕しているがドゥゼアの方が明らかに強いので止めにも入れない。


 コボルトだってゴブリンとそんなに変わらない。

 強いものが群の中でのリーダーとなるのであそこまで強いなら自分ももっと周りの尊敬を集められるとコボルトエースはふと思った。


 そう考えると多数のゴブリン相手に全く反撃も許さず戦うドゥゼアの圧倒的強さはすごい。

 ヤバいことしていると思っていたのが一瞬にしてその姿に魅了されつつあった。


 基本的に知恵を巡らせて足りない力を補って戦わねばならないので何も考えずに無双できるゴブリン相手だとドゥゼアもちょっと楽しい。

 だけど殺したり再起不能にしたりはしない。


 殴り倒してとりあえず一時的に戦闘不能にしているだけである。


「キサマ、ナニモノダ!」


 ドゥゼアが暴れていると一際体の大きなゴブリンが出てきた。


「おっ、お前がリーダーか?」


「ムレヲウバイキニキタカ」


「んなつもりはないけどちょっと用事があってな」


 ゴブリンリーダーは持っている剣をドゥゼアに向けた。

 確か自分の群れではないゴブリンがいきなり来て、いきなり暴れ回っていたら群れのリーダーの座を奪いに来たのだと思ってもおかしくない。


 ゴブリンリーダーがドゥゼアに切りかかる。

 速いがそれは他のゴブリンに比べればという話。


 サッと振り下ろされた剣をかわしてゴブリンリーダーの手を取る。


「グアアアア!」


 そして一気に関節を決める。

 魔物どころか人でもあまりやらない方法だけれど一部の拳闘士などが人型の魔物に対してやることもある。


 有効な相手の方が少ないのでやれる人の方が少ないけれどゴブリンは人に体の構造が近いので関節技も有効である。

 あと少し力を入れれば折れるところまで関節技を決められてゴブリンリーダーは苦痛の声を上げる。


「おらっ!」


 このまま折ってもいいのだけどもしかしたらこの先味方として戦う可能性もあるので後々に残るダメージは与えないでおく。

 その代わりに顔面に膝を入れる。


 そこそこ容赦のない攻撃だけどこれぐらいならすぐに治る。


「マ、マケタ」


「ツヨイ……」


 群れで1番強いゴブリンが簡単に倒されてしまった。

 オスのゴブリンたちは畏怖の目でドゥゼアを見ていて、メスのゴブリンたちは突如として現れた強いゴブリンに熱い視線を向けている。


 ちなみにレビスによるとドゥゼアはゴブリンの中でもイケてる顔をしているらしい。

 未だにゴブリンの美醜感覚に慣れていないドゥゼアには分からない話ではあるけどレビスが褒めてくれるならそうなのだろう。


「ググ……ムレハオマエノモノ」


「いらん。


 とりあえず話を聞いてくれるか」


「ムムム?


 ワカッタ。

 ツヨキモノニシタガウ……」


 この先も旅を続けるつもりなので群れを持つつもりはない。

 魔法を使えるような賢いゴブリンでもいれば話は違うが適当な群れを率いるつもりは今のところないのである。


 そのうち集団を率いて安定の生活はしたいけれど。

 そうしてドゥゼアは今回の襲撃、もとい訪問の目的を告げた。


「ツヨキモノスキニモッテイクトイイ」


 これまで溜め込んだ物については話が早かった。

 力関係を見せつけたのでゴブリンたちはドゥゼアにある程度従うことになって溜め込んだ物は好きにしていいとすぐに許可を得られた。


「トモニハタタカエナイ」


 けれど助けることについては大いに渋られた。

 強制はしないので出来ないというならそれに従うけれど理由は気になった。


「ニンゲン、ゴブリンヲネラッテイル」


「人間がゴブリンを?


 それは普通のことだろ」


 当然魔物と人は敵対関係にある。

 だから人がゴブリンを狙い、逆にゴブリンを狙うのは自然なことである。


「チガウ。


 スヲサガシテイル。


 ゼンメツサセルツモリ」


「どういうことだ?」


 イマイチ話が飲み込めなくて説明を促す。

 こういう時知能が低めだとなかなか話が進まなくて困る。

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