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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第五章

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ゴブリンは洞窟を越えます2

「他に道は?」


「聞いたところでは山を越えていくか、山を迂回するかのようです」


「山越えなんて無理だろう」


「そうですね……実際やる人なんていないようです」


 デカーヌも山を越えるのは自殺行為だと釘を刺された。

 実際にやろうとするなら相当な準備を必要とするらしい。


 それでも死ぬ可能性の方が高いのでデカーヌもドゥゼアに強く勧めるつもりはない。

 ただドゥゼアがやるっていうのならやるつもりではある。


「山を迂回するルートは?」


「この町から少し戻って大きく山脈を回っていくルートがあるようですがかなり遠回りで時間がかかるようです。時間はかかりますがこちらのルートの方が安全です」


「……バイジェルン!」


「ほれきた!」


「な、なんですか、それ?」


 サッとドゥゼアの肩に小さいクモが現れてデカーヌが驚く。


「こいつはバイジェルンだ。こいつも旅の仲間さ」


 実はバイジェルンもずっとそばにいた。

 遺跡を攻略している時もずっとドゥゼアのところだったり近くにいたのである。


「ふむ、バイジェルンである!」


「よ、よろしくお願いします」


 一応旅の仲間としてはバイジェルンの方が先輩になる。

 バイジェルンに対してデカーヌは頭を下げる。


「それで何をすればいいであるか?」


「話聞いてただろ? 山を越える他の方法がないか探してくれ」


 人には人の道がある。

 だが一方で魔物には魔物の道がある。


 人が通らない、知らない道でも魔物は知っていることがある。

 バイジェルンにはそうした道がないか探してもらおうと思った。


 少なくとも山を抜けるための洞窟が一つあったということは他にもそうした通れそうな場所がある可能性があるのだ。


「デカーヌは移動の経路や日数を調べておいてくれ」


「分かりました!」


 何も道がなければ迂回するしかない。

 しかしあまり時間を無駄にはできない。


 バイジェルンの調査を待ちつつ迂回ルートを進む準備もしておくことにした。


 ーーーーー


「パンパカパーン! 調べてきたであーる!」


 せっかくなのでと宿に泊まって待っているとバイジェルンが戻ってきた。

 相変わらず仕事が早い。


「どうだった?」


「他にルートがあるである」


「本当か?」


「人間が使っている洞窟は人間が通るルートの他にも広がっているである。そうしたルートを通れば向こう側に行けるはずであーる」


「道は分かるか?」


「案内してくれそうな魔物がいるである」


「よし、じゃあ洞窟を抜けていこう」


 デカーヌが調べた迂回ルートはかなり遠かった。

 目の前に見えている山脈も大きいのだ、それを迂回していくルートとなるとどうしても時間のかかるルートとなってしまうのだ。


 迂回ルートの方が道としては安全だろう。

 しかし時間もかかる上に魔物である以上道を歩いているだけでもバレてしまうリスクは出てくる。


 時間がかかればかかるほどリスクは大きくなる。

 最終的にはリスクとしては大きく変わらないのではないかとドゥゼアは思った。


 それなら早い方がいい。

 決めたなら行動も素早く行う。


 ドゥゼアたちはすぐに荷物をまとめると町を出発した。


「別の入り口があるである」


 町を出て歩いていくと山脈が目の前に迫ってくるようだった。

 人間たちが普段使っている洞窟の入り口は崩落のために封鎖されていて入れないようになっている。


 そのためにバイジェルンが別の入り口を調べてくれていた。

 道を外れて人間たちにバレないように山脈に向かう。


「ここか?」


「ここである」


 人間が使う入り口からかなり離れたところに別の入り口はあった。


「オルケ、ユリディカ、入れそうか?」


「うーん行けそう……ですかね」


「なんとか入れるかな」


 ただ入り口というにはあまりにも小さい。

 壁に空いた穴の向こうに洞窟が広がっているのだとバイジェルンは言う。


 ゴブリンのドゥゼアやコボルトのカワーヌならば問題がないが、人間にも近いような体の大きさがあるオルケやユリディカでは通るのがなかなか厳しそうな穴のサイズだった。


「先に俺が入って安全の確認を行う」


 バイジェルンが入ったところでは安全そうであるらしいが一応自分の目で確認しておく必要はある。

 腰をかがめるようにしてドゥゼアは穴の中に入っていく。


「中は広いな……」


 ドゥゼアは魔道具のランプをつけて周りを照らす。

 入り口は狭かったけれども中はオルケたちでも大丈夫そうなぐらいの広さがある。


「どうであるか?」


 ドゥゼアの肩にはバイジェルンも乗っている。


「大丈夫そうだな」


 敵対するようなものもいないし、そうした気配も今のところは感じない。


「みんな、大丈夫だ」


 穴を戻ってみんなを呼ぶ。


「荷物は……俺が持っていこう」


 穴の大きさを考えた時にドゥゼア、レビス、カワーヌ以外は四つん這いで入っていかねばならない。

 一応迂回ルートでも行けるぐらいの用意はしていたので荷物は多く、持ったまま穴の中に入っていくのは厳しい。


 だからまだ余裕のあるドゥゼアたちで中に運び込むことにした。


「ギ、ギリギリでした……」


「まあ通れたならいいだろ」


「尻尾削れるかと思いました……」


 まず先にドゥゼアたちが荷物を運び込み、その後でみんなで穴の中に入った。

 這うようにしていけば特に問題はなかったのだけど立派な尻尾を持つユリディカは穴の壁に尻尾が擦れていて少し不満そうな顔をしていた。

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