ゴブリンはオオコボルトも手に入れました
「カワーヌだけでなく私にも恩返しをさせてください」
「デ、デカーヌさん、ドッゴさん……」
ドゥゼアに対してデカーヌとドッゴが膝をついて頭を下げる。
カワーヌがドゥゼアに体を捧げる覚悟をして最終的にはカワーヌはドゥゼアのために商人として仲間になることを決めた。
カワーヌはそのことをデカーヌたちに伝えた。
デカーヌたちもドゥゼアがそうしたことをするつもりだと考えていたので驚いていた。
カワーヌが覚悟を決めて、それを受け入れるならと渋々送り出したのに全く予想外の話になって帰ってきた。
カワーヌとしてはデカーヌとドッゴに迷惑はかけられないと抜けるつもりだった。
デカーヌはすでに魔人商人として活動しているし軌道に乗り始めているので邪魔しちゃいけないと考えたのだ。
ドッゴもデカーヌを護衛した方がいい。
だが二人はそれならばとドゥゼアに従うことを選択した。
「命を救ってもらった大恩は私も同じ」
「二人の大切な友を救ってもらった恩は一生かかっても返したい」
もしかしたらカワーヌがそうしていなくても二人は同じ選択をしたかもしれないとドゥゼアは思った。
「俺がどんなことをしようとしているのか知らずにそんなことをしてもいいのか?」
「……ここまでの行動を見て分かる。ドゥゼアは意味のないことをしない。何をしようとしてるにしても私は力を貸そう」
「そこまで信頼してもらえるとはありがたいな」
正直なところカワーヌを盾にしてデカーヌたちも引き入れるつもりだった。
デカーヌたちの方から恩を返したいと言い出してくれるのならドゥゼアとしてはありがたい。
「ならば三人全員俺が貰い受けよう」
結構大変であったけれど国を起こす上でそのうち必要となる商人をここで手に入れられたのは大きい。
「ありがとうございます!」
「まあまだ働いてもらうのは先のことだがな」
ドゥゼアはフッと笑う。
「それよりも聞きたいことがある。あとは楽にしてくれ。そんなにかしこまることもない」
「聞きたいこと?」
デカーヌとドッゴが立ち上がる。
ドゥゼアに促されてドゥゼアが座るベッドの隣のベッドに腰掛けた。
「元々そのつもりで魔人商人を探していてカワーヌたちに辿り着いたんだ」
「なんでしょうか? 私に答えられることならなんでも答えます」
「未来を見ることができる魔人のことを知っているな?」
「未来を見る魔人……ペクリャーナさんのことですか?」
「俺は名前まで知らないがそのペクリャーナってやつだろうな」
本当の最初の目的は未来を見ることができる力がある魔人を探すことで、そのために魔人商人に聞いてみようとなったのが始まりだった。
道中大幅な遠回りをしたけれど最初の目的を果たす時が来た。
「ペクリャーナさんの場所なら分かります。もちろんご案内いたしますよ」
「じゃあ頼む。よし……これで次の目的地が決まったな。ちなみにどこにいるんだ?」
「ペクリャーナさんは……ここからですと…………北にある国にいらっしゃいます。もう少し細かいことは後で地図でも見てみないと」
「そうか。じゃあ細かいことを調べて準備を整えてくれるか?」
「ドゥゼア様のご命令とあらば」
「ふっ、頼んだ」
人の世界と交流できるデカーヌもドゥゼアの下に来ることになった。
買い物問題という大きなものがドゥゼアの中にはあったけれどもそこについても解決した。
戦いにおける戦力にはならなそうであるが、カワーヌたちの加入はドゥゼアにとって大きな意味を持つ。
未来を見る魔人であるペクリャーナという存在もデカーヌは知っていた。
ようやく前に進めそうでドゥゼアはニヤリと笑ったのだった。




