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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第五章

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ゴブリンは決断します3

「ひとまずはこの先は部屋じゃなさそうということは分かったな」


 たださらにその先に何があるのか分からない。

 部屋でなくとも安全だとは限らないし、より大きな危険が待ち受けている可能性もある。


「一度帰ろう。何があるかわからない以上リスクが大きすぎる」


 そもそもドゥゼアの目的はカワーヌをデカーヌのところまで連れていって、一緒に遺跡から帰ってくることである。

 このまま先に進んで攻略してやる必要なんて全くないのだ。


 また遺跡を攻略したいというのなら構わないが、その時はカワーヌに約束を果たしてもらった後にドゥゼアたち以外を連れていってもらう。


「分かりました。従います」


 デカーヌはドゥゼアを雇っているわけでもない。

 だからといって命令を聞く義理もないがドゥゼアに置いていかれてはデカーヌにできることはない。


 人間の冒険者ももはや機能しなくなってしまったのでここで無理をするより戻って出る方が良いことはデカーヌも分かっていた。

 遺跡から戻ってきた人がいないと言われる中でここまでの情報を持って戻るだけでも褒められたものだろう。


「あの人間はどうする?」


 とりあえず帰ることでみんな同意した。

 しかし唯一生き残った人間の冒険者だけは穴の奥に引きこもったまま出てこない。


 ドゥゼアとしてはどうなっても構わない。

 デカーヌたちが来ればいいので人間の冒険者がここに残りたいというのならば置いていくだけである。


「ま、待ってください。ひとまず話をしてみますので」


 ドゥゼアが本当に置いていきそうな気配を感じたデカーヌは慌てて穴に入って人間の冒険者に話をしに行った。

 その間にドゥゼアは荷物をまとめ、床に転がる荷物の中から何か使えそうなものはないかと探す。


 死人の持ち物を漁るのは感心されないことであるけれど今のドゥゼアは魔物である。

 お高く止まった人の倫理観を守っていても仕方がない。


 それに死体が貴重品を持っていても利用なんてできないのだからドゥゼアが使った方が有益である。


「チッ……あんまりだな」


 アイアンゴーレムも倒せないのだ、そんなに過度な期待はしていない。

 高名な冒険者がわざわざ未知のリスクを冒して遺跡を攻略することもない。


 持ち物のランクとしては悪くなさそうだけどいいとこ中の上という感じである。

 加えて時間による劣化、そしてアイアンゴーレムの攻撃による損傷などで装備品で使えそうなものはなかった。


「おっ、これなんか良さそうだな」


 お金なんかは無事だったのでいただきつつ荷物を漁っているとカワーヌたちが持っているような明かりの魔道具があった。

 いじってみるとまだ使えたのでこちらももらっていくことにする。


「遅かったな」


「ええ、申し訳ありません」


 デカーヌが冒険者を連れて穴から出てきた。

 どうやら流石にこんなところに置いていかれるのは嫌らしく冒険者もついてくることにしたようだ。


「それじゃあ帰るか」


 わざわざ全ての荷物を漁っていくつもりもないので切り上げて遺跡を戻っていく。

 戻ってみると前の二つの部屋も明かりがついていて部屋の様子がよく分かった。


 壁や天井も崩れていないのに妙な岩の塊や土の塊が床に落ちていた。

 そこから前の部屋にはアイアンゴーレムではなくマッドゴーレムやストーンゴーレムがいたのだろうとドゥゼアは考えた。


 徐々に難易度を上げていく嫌らしい仕組みである。


「…………なんだってんだ」


「これじゃあ戻れませんね」


 もちろん問題もなく戻ってこれたのだが崖のところまで来て大問題が発生していた。

 なんと崖の一部が崩落していたのである。


 戻るための細い足場も一緒に崩れていて、その周りもまだ崩れそうな雰囲気が漂っている。

 普通にジャンプしても届かなそうな距離が崩壊しているのに細い足場では到底向こう側に渡ることはできない。


 帰れなくなった。


「進むしかないか」


 もはや帰るという選択肢がなくなってしまった。

 ため息をついたドゥゼアは決断した。


 この遺跡の先に進むしかないと。

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