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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第五章

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ゴブリンはオオコボルトを探します1

 次の日、朝日が昇る前からドゥゼアたちは動き出した。

 しっかりと朝ごはんを食べて体力をつける。


「そ、それカッコいいですね!」


「えへへ、そーお?」


 カワーヌはユリディカを見て目を輝かせている。

 ユリディカが両手に装備したチクートがカワーヌの琴線に触れたらしい。


 魔物としての大きな枠で考えた時にタイプ的にはコボルトとワーウルフは同じ枠に入るだろう。

 カワーヌからして見るといくつか上位の存在みたいなユリディカがオシャレ装備を身につけているのだから憧れを持ってもおかしくない。


「そうした魔道具は買ったものなのか?」


 遺跡の中に入っていく。

 明かりなんてなく、日の光も入ってこないために遺跡の中は暗い。


 あまり奥に入って真っ暗になるとゴブリンでも見えなくなるほどなのでどうしても明かりが必要となる。

 カワーヌは荷物の中からカンテラを取り出すと明かりをつけた。


 油を燃やしてつけるものではなく、魔力によって明かりつく魔道具である。

 多くの人が松明を使ったり魔法でどうにかする中で魔道具は高価で使う人は少ない。


「これは貰い物です。僕たちに商売を教えてくれた魔人商人の方が独り立ちの贈り物としてくれたんです」


 カワーヌの魔力でも機能し、明るく光るカンテラはかなり質の良い魔道具に見えた。


「暗闇に身を置いていると魔物の自分が顔を覗かせる。寝る時以外は周りも、自分の心も明るくしておきなさい。そう言われました」


「哲学的な魔人商人だな」


 太っ腹なだけじゃなく深い考えを持った魔人商人であるとドゥゼアは感じた。

 暗闇にいると魔物としての自分が顔を覗かせるなどなかなか面白い話ではないかと思う。


「さて、そろそろ警戒だな」


 ドゥゼアたちが入ってきた穴は穴だった。

 遺跡というよりも洞窟のような場所であったのだ。


 奥に進んでくるとどうしてここが洞窟ではなく遺跡と呼ばれているのかようやく分かった。

 カワーヌが明かりで照らすようにカンテラを持ち上げる。


 穴を抜けてきた先には何か建物の入り口のようなものがドゥゼアたちを待ち受けていたのである。

 岩山に埋まっていて一部しか見えていないものの石造りの大きな建物のようだ。


 ここまでは帰ってきた人もいるので危険がないと知っていた。


「問題は中がどうなっているかだな」


 遺跡とされている建物の先はどうなっているのか分からない。

 入って行った者で帰ってきた人がいないからだ。


「俺が前に行く」


 この日のために大きめの盾を買ったドッゴが前に出る。

 一番残忍な方法としてはデカーヌが生きていれば生きていられるカワーヌを前に出すことになる。


 だがおそらくカワーヌはオルケにも勝てない。

 死なないけれど弱いカワーヌを一番前に出すのは酷い話になってしまう。


 カワーヌとデカーヌを守るのだとドッゴが自ら前に出ることを望んだので任せることにした。

 大きな盾で致命傷になりそうなところだけガードしておけば死にはしない。


 多少の怪我はユリディカの力で治すこともできる。


「……普通に家、だな」


 ドッゴに続いて中に入ってみてまず正面にあったのは大きな階段であった。


「肖像画……? 顔は分からないな」


 階段を登って踊り場があり、そこからさらに左右に階段が続いている。

 入って階段を登った正面の壁には大きな絵がかけられていた。


 人物画なことは分かるのだが絵はぼろぼろになっていてどんな人物が描かれていたものなのか判別できない。

 服装からして男性のようではある。


 へんぴな場所にあるから何の建物か疑問だったけれどこうした肖像画が飾ってあるということは普通の家なのかもしれない。


「家の中も普通だな」


 まずは階段を登らず一階から捜索を開始していく。


「でもここら辺にいる感じはしません……」


 デカーヌとつながっているカワーヌにはなんとなくデカーヌとの距離もわかる。

 遺跡の付近にいることは間違いないがこの家の中にいるような感じはしなかった。


 それなりに近くにはいるはずなのだけどそこまで近くはない変な感じなのだ。


「まあここに何かがあるとは思えないしな」


 あからさまに家である。

 今のところ脅威はなく、過去多くの遺跡に挑んだ人たちが何の変哲もない家で死んだとは考えにくい。


 デカーヌが近くにいないというカワーヌの感覚からも家には何か秘密があってどこかに繋がっているとドゥゼアは考えていた。


「なんだか気味が悪いね……」


 いくつかの部屋を回ってみた。

 何か分からないけれど妙な感じがあって気味が悪いとユリディカは感じていた。


「微妙な生活感のせいだろうな」


「微妙な生活感?」


 ユリディカが感じる気味の悪さの正体をドゥゼアは見抜いていた。

 部屋が中途半端に生活感を感じさせる綺麗さがあるのが違和感を覚える正体なのである。


「ベッドはあるけどマットレスはなく、大きな棚はあるのに中身はない。額縁はあるのに絵はなくて窓は開かない作りになっている」


 すごく中途半端に家具が置いてある。

 ベッドなら古くてもマットレスがあるはずだし、棚にも何か物が残っていてもおかしくない。

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