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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第四章

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ゴブリンは町中に潜入します3

 他の獣人にドゥゼアたちは気づかれることもなく歩き回って本屋を見つけた。

 店舗の大きさとしてはこぢんまりとしているがしっかりと本が陳列されている。


 店の一部しか本がないような店に比べればかなり立派な書店であると言っていい。


『地図かい?』


『はい。この国のものがあれば買いたいんです』


『地図だな……ちょっと待ってろ』


 カジアは店主に話しかけて地図があるかを聞く。

 やたらとガタイのいいウサギの店主は特にドゥゼアたちに疑問を持つことがなく、いくつかの地図を持ってきてくれた。


『これは家なんかに飾る観賞用だ。これは細かな道なんかも書き込んであるが……個人で持っていくにはデカいかもな。冒険者なんかが使うのかこの簡易版だな』


 国の形を大雑把に描いた地図と絵画の間のようなものからテーブルいっぱいを埋め尽くすような大きくて詳細な地図なんてものもある。

 店主がお薦めしてくれたのは手頃なサイズの地図だった。


 冒険者なんかが使うようなもので主要な道しか描かれていないが、町についてはおおよそ網羅している。

 決して安くはないけれどこの国を移動しようと思えばこの地図一枚あれば事足りる。


『まいどあり』


 本来なら多少交渉の余地もあるかもしれない。

 けれど今はそんなことしていられないので言い値の額を払って地図を買った。


「ひとまずこれで最低限の用事は済ませることができたな」


 地図は手に入ったので後はいつ町から逃げても大丈夫。

 ただせっかく町に潜入したのだし買い物をしていく。


 事前に買い物メモをカジアには渡してある。

 買おうと思っているメインは食料品だが服なんかもできれば買いたい。


 少し周りの気温も下がってきたのでそろそろ寒い季節に突入しそうな気配がしていた。

 防寒の意味でもいくらか服があるとこの先役立つかもしれないと思っていた。


『待ちやがれ!』


 急な大声が聞こえてきてドゥゼアは頭を下げて顔を隠す。

 けれどその声はドゥゼアたちにかけられたものではなかった。


 ドゥゼアたちがいるのは市場の入り口なのだが市場の逆側からネズミの獣人が走ってきていた。

 その後ろを同じく犬の獣人たちが追いかけている。


 人を押し倒し追っ手を妨害するように走るネズミの獣人だったが犬の獣人の方が足が速く、ちょうどドゥゼアたちの横で捕まって組み伏せられてしまった。


『この国は終わりだ!』


 手を縄で縛られながらネズミの獣人は叫ぶ。


『強き者の牙は抜かれ、俺たちは首輪をつけられたケモノも同然になってしまった! 今立ち上がらねば俺たち獣人の未来はない!』


『うるさい! 国家転覆を狙う外道が!』


『違う! 今この国を狙っているのは人間の方だ! こうしている間にも獣人の力は衰えていっているのだ! 同族よ、今こそ……』


『いい加減その口を閉じろ!』


 なお叫び続けるネズミの獣人を犬の獣人が殴りつけて黙らせる。


「なんだか、この国もただ平和とはいかなそうだな」


 ぐったりとしたネズミの獣人は引きずられるように連れて行かれた。

 何が起きているのか分からず、あまりの出来事にドゥゼアたちのみならず周りの獣人たちも呆然としていた。


 どこにでも陰謀論者や過激な思想を持つ人はいる。

 あまり気にしてもしょうがないのでさっさと気分を切り替えてドゥゼアたちは買い物を続ける。


 インパクトの大きな出来事があったおかげかドゥゼアたちに注目するような人はいない。

 干し肉などの日持ちをするものを中心に購入し、塩も値は張ったが多めに買っておいた。


 買ったものはユリディカが持っているリュックの中に適当に詰め込んでいく。

 市場の中には地面に商品を広げた露店もある。


 その中には服を売っているところもあった。

 どの服がいいとかカジアに意思を伝えるのは難しくかなり苦労したけれど、とりあえず何着か服も買っておいた。


 着られそうにないなら捨ててもいいし、多少のリメイクだって視野に入れての購入だった。

 カジア用に厚手のローブも買う。


 夜寝る時に身につけて寝れば布団代わりになる。


『偉いね。おばあちゃんとお買い物かい?』


『は、はい。そうです』


「おば……」


『ふふふふ、いいねぇ』


 ユリディカのことも腰の曲がった老人だと市場の人も好意的に見てくれた。

 おばあちゃんと呼ばれたことにユリディカが声を出そうとして、ドゥゼアが慌てて尻尾を引っ張って止めた。


 一通り買い物をして荷物もパンパンになった。

 レビスたちのことも心配であるしそろそろ戻ることにした。


『聞いたか、獣王様の話』


『ああ、体調が優れられないようだな』


『ドゥゼア、少し待ってくれ』


 ふと聞こえた噂話。

 ドゥゼアも気になったのでカジオの言う通りに足を止める。


 そのままでは少し不自然なので近くの露店で食べるものでも買ってくるようにとカジアにお金を渡す。


『まだこの国も浅いと言うのに……今獣王様に倒れられたらどうするのだ』


『まだ獣王様の子供も幼いのだろう? そうなるとバルデアラン様が国を主導なさるだろうか』


『噂では後継者を探してるって言うぞ』


『後継者?』


『噂でしかないし、何のことかは細かく知らないが王位を継ぐのにふさわしい血筋の者がいるらしくて今獣王様はそれを探しているらしい』


『そんな人がいるのかね? ……大戦の時にいらっしゃった獅子王様のようなお方がいれば』


「何か問題を抱えているようだな」


 カジアが串焼きを買ってきた。

 何も渡したお金全部で買ってくることもないのにと思ったが子供だから仕方がない。

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