ゴブリンはオウムに質問します3
おそらくドゥゼアが見ていた時はドゥゼアを見習ってゆっくりと焼いていたのだけどまだまだ不慣れなゴブリンはとりあえず肉を焼こうとだけしてしまったのだ。
「ホーホー、なるほど」
チユンは感心したようにうなずく。
あとは経験も多少はある。
肉が焼け具合を見抜くのもある程度経験が必要になる。
あまり焼きすぎてもいけないし、生すぎても焼き肉っぽさは失われてしまう。
そうしたところはドゥゼアの腕前が関わっているところがあることはある。
「今度からはぜひともチユンのところを訪れるようにした方がいいな!」
キバタンはバクバクと肉を食べている。
少し前までバイジェルンを追いかけていたとは思えないほどだ。
「俺たちも食べるか」
せっかく持ってきてもらったのだからドゥゼアたちも焼き肉を食べる。
塩とか果実を潰してソースにするとか鉄板で焼くとか、もっと工夫のしようはあるけれどそこまで求められてはゴブリンも可哀想なので秘密にしておく。
自分たちで食べる分を確保しながらもチユンとキバタンの分も焼いていく。
「……けぷ」
鳥らしくもなくキバタンは翼を広げて地面に横になる。
どうやらご満足いただけたようである。
モフっとしていたチユンもさらに丸くなったような感じがある。
押せば山を転がり落ちていきそうである。
「そういえば用事は済ませたのか?」
「いや、まだだ」
「用事?」
「ああ、キバタンに聞きたいことがあってな」
「おお、そういえばそんなことを聞いたな。何でも答えよう。つがいはいないぞ」
んなこと聞かねえよ。
ドゥゼアは若干イラッとしながらも大きく息を吐き出して我慢する。
魔物というやつはどいつもこいつも人の話を聞かないような奴ばかりである。
レビスやユリディカのような聞き分けのいい魔物の方が珍しい。
キバタンみたいな一方的な相手もよくあること。
「獣人の……国? 集落や獣人の住処みたいなものを探しているんだ」
獣人を探しているというが単に獣人であれば誰でもいいのではない。
カジオの子供を探しているといえばそうなのであるがカジオの子供の名前も知らない。
それどころか性別や容姿に関するヒントすらない。
ひとまずアゴンの言葉を信じるのならカジオの子供は普通に育てられているはずだ。
となると獣人の集団、国や集落のようなものがあるものだと仮定している。
「ん? 獣人だと? 何だってそんなもの探しているのか」
「理由はなんだっていいだろ?」
キバタンの疑問も理解できないものではないがわざわざ説明する必要もない。
カジオのことを説明するのも面倒である。
「むむ、まあそうだな。獣人……獣人……ああ、そうだ、思い出した」
「獣人を見たことがあるのか?」
キバタンが何かを思い出したように翼を打ち鳴らした。
「昔一度追いかけ回されたことがある。あいつら下から槍を投げてきて諦めなくて死ぬかと思った。以来そこらへんを飛ぶのは避けていたな」
「そこがどこだか教えてくれるか?」
「構わん。いや、案内してやろう」
どこと言われても説明するのが大変なことにキバタンは気がついた。
それならその場所近くまで直接案内する方が楽だろうと思った。
ついでに焼き肉が食べられるならいうこともない。
「ただ今はお腹いっぱいだから無理だ」
「もちろんだ」
なんだかんだ肉を焼いていたら日も暮れた。
器用に翼をたたんで先の方で頭を支えて横になるキバタンとすぐに出発するつもりはドゥゼアにもない。
「そこは遠いか?」
「むむ、ここからだと……ドゥゼアの足では距離があるかもな」
「そうか……まあしょうがないか」
飛べるというのは人の体であっても魔物の体であっても羨ましいものである。
飛べたら地上を走るより圧倒的に移動が楽になる。
まあどんな想像をしてもドゥゼアはゴブリンでしかないので空は飛べない。
「とりあえず明日に備えて早めに寝るか……」
獣人を見つけられそうな目処は立った。
小難しいことは問題にぶつかってから考えればいい。
腹も満たされてまだ残っていた山登りの疲れから眠くなってきたドゥゼアはユリディカのお腹をまくらに寝始めた。




