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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第四章

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ゴブリンはオウムに質問します1

「ふははははっ、ふっかーつ! 美味しそうなクモは……ん?」


 ドゥゼアたちが焚き火の準備なんかをしていると再び山の下の方から声が響いてきた。

 その直後に白い鳥が飛び上がって山の斜面を見るとバイジェルンの姿があった。


 ただしバイジェルンはその小さな体で必死にチユンの羽を持ち上げていた。

 まるで白旗上げているみたいだなとドゥゼアは横目でそれを見ている。


「て、敵でもエサでもないであるぅ!」


 必死に羽を振ってアピールしているバイジェルン。

 羽は盗んできたものでもなければ白旗のつもりでもない。


「むむむむ? あれはチユンの……おおっ?」


 白い鳥が混乱している。

 なぜたかがクモがチユンの羽を持っていて、しかもわざわざ自分にそれを見せてくるのか理解できていない。


「おい!」


「むむぅ?」


 どうにも視界に入ってなさそうなのでしょうがなくドゥゼアが声をかける。


「なんだ、ゴブリンとゴブリンと……ワーウルフと…………白いリザードマン?」


 なんだ、と言いはしたが非常に不思議な組み合わせ。

 ゴブリンとワーウルフとリザードマンなんて通常一緒にいない。


 たまたまあったにしても近くにいるような魔物たちではないのだ。

 それにオルケに至っては他のリザードマンと違う白い姿。


 初めてみるリザードマンだと鳥は思った。


「むむむむむむ?」


 鳥は大きく首を傾げる。

 よくみるとクモも側にいる。


「俺たちはチユンの友達だ」


 羽はチユンからもらったものだった。

 いきなり押しかけて情報をくれと言ってももらえるものではない。


 それにチユンの知り合いで紹介されたなんて話も口先だけで信じてもらえるはずもない。

 なのでチユンが気をきかせて羽をくれたのである。


 これを見せればチユンの紹介だと信じてもらえるはずだということだった。


「なに? あやつの?」


 疑わしいように鳥は目を細める。


「ああ、チユンから紹介されて、聞きたいことがあったからここに来たんだ」


「ふぅーん、なるほど」


「ぜひ少し話をさせてほしい」


「…………事情は理解した」


「じゃあ……」


「だが私は簡単には信じない!」


 くわっと鳥が目を開いた。

 チユンにしてもピヨにしても、さらにはこの鳥にしてもクセが強い。


 凶暴な種類を除けば臆病な性格な鳥系の魔物も多いのだが臆病でなくなるとこうやって変な性格になるのだろうかとドゥゼアは思った。


「信じてもらえなくても話ぐらいは……」


「待っていろ! チユンに聞いて参る!」


「あっ……おい……」


 信じる信じないは勝手である。

 空飛んでてもいいから少し質問出来ればいい。


 けれどドゥゼアが質問する前に白い鳥は飛んでいってしまった。


「……ったく人の話聞きやしない」


 ドゥゼアは深いため息をついた。

 確かにチユンに直接聞きに行くのは確実な方法。


 ドゥゼアたちの足で数日かかるような距離でも白い鳥が飛んでいけば1日そこらで着くだろう。


「い、いつまでこうしていればいいであるか?」


「……もういいぞ」


 多分直ぐには戻ってこない。

 今日はこのまま休んで次の日は山頂を目指してしまおう。


 プルプルしているバイジェルンから羽を受け取ってドゥゼアは丁寧にしまっておく。


「さて、飯にでもするか」


 ーーーーー


 よく食べ、よく休み、次の日は朝から山登り。

 湿気が多いためか朝方はやや霧がかった山をゆっくりと登っていく。


 前日暇な時間が長かったので木の枝を切って簡易的な杖を作った。

 ただ登っていくよりもこうしたちょっとした工夫があるだけでかなり楽になる。


 1日、前日の分も含めると1日半かけてようやく山の上に辿り着いた。

 白い鳥の巣っぽいものも見つけたがあまり近付くと怒るかもしれないので離れたところで野営の準備をした。


 山の斜面にも小さい魔物はいたけれど追いかけて白い鳥みたいに転がり落ちても危険なので乾燥させた肉を炙って食べることにした。

 山の上はよく日が当たるせいか比較的乾燥もしていてじっとり濡れずに地面で寝ることができた。

 

「あっ、来たよー!」


 遅い、と思っていた。

 いつ戻ってくるのかと待ち侘びていたらようやく白い鳥が戻ってくるのをユリディカが見つけた。


「チユンいるね」


「なんだと?」


 地面に座り目をつぶって心臓の力を全身に行き渡らせる訓練をしていたドゥゼアも目を開けて空を確認した。

 白い鳥が飛んでくるのが見え、その隣にはモッフリとしたチユンの姿もあった。


 先に最初にいた山の斜面を確認していたチユンたちはすぐにドゥゼアたちに気がついて山の頂上に飛んできた。


「ホーホー、久しぶりだな」


「久しぶりっていうほども時間も経っていないだろう」


「本当に知り合いか?」


「本当だとも。全く……疑り深い」


「むむむ、お前さんがそこまでいうのなら信じよう!」


 どうやら白い鳥がごちゃごちゃ言うのでチユンが直接動くことになったようであった。

 羽を渡しておけば信じてもらえると思ったのにいきなり飛んできてお前の友達を名乗る変な奴がいるぞと言うものだからチユンも呆れかえってしまった。


「ではそこのゴブリンが焼き肉を生み出したのだな?」

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