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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第四章

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ゴブリンは山に向かい鳥を探します2

 ドゥゼアが手を貸してやってオルケが立ち上がる。

 傾斜がキツくなって滑りやすいので気をつけて登らねばならない。


「ひぃ……結構大変……」


「疲れた……」


 乾いた平地を歩くのとは大きく違う。

 旅に慣れてきたユリディカやレビスも疲労が見えてきた。


 1日で登り切れるだろうと思っていたけれど無理をすると足を滑らせてケガなどの可能性も高くなる。

 少し平坦な場所を見つけたのでそこで休憩することにした。


「うーん」


 難しいところだなとドゥゼアは思った。

 1日で登れると考えていたけれど山は大きく地面の状況も悪い。


 ここまでで思ったほど登ってもこられなかった。

 まだ登っていくのか判断が微妙なのである。


 日の出ている時間なので登ってもいいのだがどこまで登れるか、登っていって休めそうな場所があるか分からないのだ。

 変に登っていって傾斜がよりキツくなれば休むこともできない上に暗くなっては登るのが辛くなる。


 今いる場所なら休むことは出来る。

 かなり早いが今日は切り上げてしまうという選択肢も考えられるものである。


「俺様が見てきてやろうか!」


 悩んでいるとピヨが飛び上がった。

 山頂までどれぐらいあるのかピヨに見てきてもらえばいい。


 そこそこ木は生えているけれど何となく距離感ぐらいは掴めるはずだ。

 上手く留まれそうなところがあればそこを目指してもいい。


「まーかーせーろー!」


 話し方は雑だけどピヨも意外といい奴。

 勢いよくドゥゼアの肩から飛び出したピヨは高く飛び上がる。


「ああ?」


「どうかしたか?」


「なんか走ってくるぞー」


「何だと?」


「ぎゃああああっ!」


 そうしていると聞こえてきた悲鳴。

 何となくちょっと前にもこんなことあった気がする。


 ドゥゼアたちが警戒していると山の上の方からバイジェルンが走ってきていた。

 そしてその後ろになんか白いものが見えた。


「鳥?」


「た、た、助けてぇである!」


 全体的に白いが頭の羽が真っ赤な不思議な鳥がバイジェルンを後ろから追いかけている。


「ユリディカ、強化だ!」


「え、えっ?」


「俺じゃない! バイジェルンにだ!」


「わ、分かった!」


 このままでは追いつかれる。

 ドゥゼアはユリディカにバイジェルンを強化する様に指示を出した。


「ごーはーんっ!」


「ふおおおおっ!」


「ひょ……だああああああっ!」


 一瞬鳥のくちばしが届きそうになったがユリディカの強化のおかげで間一髪バイジェルンが逃げ出せた。

 鳥は足をずるんと滑らせて転ぶ。


「避けろ!」


 山を下って走っていた鳥の勢いは強い。

 ゴロゴロと鳥が転がって落ちてきてドゥゼアたちは横に飛ぶようにして鳥をかわす。


「ふ、ふーであるぅ……」


 ドゥゼアの胸当ての中に素早く隠れたバイジェルンは荒く息をしている。

 鳥はそのまま山の斜面をすごい速度で転がり落ちていった。


「お前なぁ……」


「鳥は怖いであるね〜」


「……まあいいか」


「あれがボスが言ってたやつだぞ!」


「えっ? あれが?」


 あの鳥がチユンの言っていた鳥だったようでドゥゼアは思わず転がっていった方を見る。

 何本もの木を薙ぎ倒して落ちていった鳥の姿はもう見えていない。


「……今日はここで休もう」


 なんだか一瞬で気疲れしてしまった。

 鳥がどうするのか分からないしドゥゼアはこれ以上登るのはやめておくことにした。


「あれほっといていいの?」


「多分大丈夫だろ?」


 遠くから鳥の声がこだましている。

 体もデカいのだから多少転がったり木にぶつかったりしても痛いぐらいで済むはずだ。


 無事ならきっと上がってくるだろうし、無事じゃなくても今更山を降りて見に行く元気もない。


「ふぉおおおおっ! 痛いぞー!」


 ただ向こうは心配するまでもなく元気そうであるとドゥゼアは山の下を冷たく見下ろしながらため息をついたのであった。

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