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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第四章

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ゴブリンは男ゴブリンと戦います1

 無事にダンジョンを閉じたドゥゼアたちはチユンの巣に招待された。

 チユンが周辺の魔物を狩り取ってきたり、ロケットスパローたちが小さい果物や木の実なんかを取ってきてくれてもてなしてくれる。


「ホーホー、好きに食べるといい。焼いたりするといいと思うぞ」


「それは自分が焼いて食べたいだけだろ?」


「焼いてくれるか?」


「その方が素直でいいぞ」


 焚き火をしてチユンが取ってきてくれた魔物の肉を焼いていく。

 今回は枝に刺した串焼きである。


「思っていたよりも軽いな」


 串焼きのお世話はすっかり慣れてきたレビスやオルケに任せてドゥゼアはトウの具合を確かめる。

 ギャナリの記憶を見てからというものカジオが静かになってしまったので細かいことは分からない。


 けれどカジオのトウは非常に軽くてドゥゼアでも取り回しが出来る重さであった。

 試しに枝を切ってみるとスパッと力少なく切り落とせてしまった。


 そこらのナイフなんかとは比べ物にならない切れ味である。

 うっかり指で触ろうものなら指が無くなってしまうことだろう。


 この軽さならメインの武器としても使える。

 ただカジオがどう思うかはあるのでカジオの許可次第なところはある。


 抜き身で持ち歩くのは危険すぎる。

 後でレビスに金属で鞘を作ってもらおうと思った。


 そのうちちゃんとした鞘が必要になるかもしれないが今はとりあえず周りを傷つけないようにレビス鞘でも十分だろう。


「ゴブリンたちも呼んだのか」


 気分が良くなってトウを振って遊んでいるとゴブリンたちがロケットスパローに連れられてやってきた。

 基本的に巣には近づかない約束であるがチユンから招待したのならいいだろう。


 チユンが取ってきた獲物もたくさんある。

 この際なのでゴブリンたちにもう一つ焚き火を作ってもらう。


 木の枝を集めてきたりとドゥゼアの教えを守って準備をする。

 そして器用に火打ち石を使って焚き火に火をつけた。


 なかなか上手いものである。

 枝に肉を刺してある程度火から離して地面に突き刺す。


 あまり火に近いとすぐに焼け焦げてしまうのでじっくり焼いた方が結果的に焼くのに成功する。


「焼けた」


「ホー! ありがとう、ゴブリンのお嬢さん」


「レビス」


「ホーホー、レビスだったな。ありがとう、レビス」


「ん」


 レビスが焼きあがったお肉をいくつかチユンの前に置いてやる。

 ダラリとよだれを垂らすチユンはもはや肉しか見ていない。


 チユンだけでなく他のロケットスパローにも肉をあげてみると食べる。


「はっはー、美味いな!」


 ダンジョンの中でドゥゼアに話しかけたロケットスパローも美味しそうに焼いた肉を食べている。

 聞いた話によるとドゥゼアたちが来る前にダンジョンを調査したロケットスパローもこの個体らしい。


 確かにちょっとワイルドな感じがある。

 だいぶお肉も焼けてきたのでトウを振り回すことをやめてドゥゼアも肉を食べる。


「ドゥゼア」


「なんだ?」


 大体お肉を食べてのんびりし始めたところで案内などをしてくれていたゴブリンがドゥゼアに話しかけた。

 手先も器用で家づくりにも貢献していたし、リーダーシップもある。


 このゴブリンがいればしばらくは群れは安定するだろうとドゥゼアは考えていた。


「オレトタタカッテホシイ」


「ほう?」


 思わぬ言葉にドゥゼアもダラリとした体勢を正す。


「なぜだ?」


「レビス、ツガイニシタイ」


 ゴブリンは男の顔をしていた。

 オスゴブリンたちがレビスのことをチラチラと見ていたのは知っていた。


 ゴブリンの中でもレビスはかなり良いメスである。

 このゴブリンが特に熱い視線を送っていたこともドゥゼアは気づいていた。


 まさかこんな決意をしてくるとは予想外であったけれど。


「戦うのはいいがレビスはモノじゃない。大事なのはレビスの意思であって俺と戦うかどうかじゃない」


「レビスガイッタ。ドゥゼアヨリヨワイオスニキョウミナイ」


「あ? そうなのか」


 旅の中でレビスが1人になったタイミングでゴブリンはレビスに群れに残らないかと声をかけていた。

 しかしもちろんレビスにはドゥゼアの側を離れるつもりなどない。


 なのでドゥゼアのことを引き合いに出して断った。

 多少知恵がついてきたが故に角が立たないような言い方を考えた断り方かもしれない。


 たとえドゥゼアより強いオスでもついていくつもりなどないが単純に嫌だというよりは考えた。

 けれどその言い方ではドゥゼアに勝てればチャンスがあるとも捉えられてしまう。


 ゴブリンはドゥゼアと戦い、レビスの気を引こうとしているのである。

 真っ当に決闘を挑んでくるあたりは好感は持てる。


「分かった。相手してやる。だが勝敗に関係なくどうするかはレビス次第だ」


「……ワカッタ」


 ドゥゼアが立ち上がる。

 獅子王の心臓の影響でドゥゼアはゴブリンでありながら他の普通の個体よりも一回り大きい。


 大勢でガヤガヤとしている時にはあまり気にならないのだがこうして対面するとドゥゼアの圧力にゴブリンは圧倒される。


「素手でやろう」


 ドゥゼアは横に置いてあるトウには手を伸ばさない。

 ゴブリンのボロボロの武器とだと不公平すぎるし男の勝負ならやはり拳だ。

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