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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第三章

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ゴブリンはゴブリンと交渉します

 ということで次は半生と完全水抜きの間のを食べてみる。


「ただ水抜いただけならこれだな」


 風味的にもまだ日持ちしそうだし味的にも生には劣るがそれなりに食べられる。


「今度はこれだな」


 次は水を抜いた後暇を見つけては乾燥させたものを出す。

 半生のものを食べてみる。


「うーん、ダメ」


「あんまり変わらないね」


「同じ」


「表面だけ水抜いたせいでしょうかね?」


 半生自然乾燥は失敗だった。

 魔法で水を抜いたのだけど全体から平等に水を抜いたのではなく表面から絞り出すような感じであった。


 そのためか自然乾燥させても中の水は乾燥しないでほぼほぼ変わらなかった。

 傷み具合もほとんど変わらない。


 これなら出しておいた甲斐もない。

 次は間の肉を食べる。


「うん……まあこれぐらいなら」


「日持ちするなら悪くないかもしれませんね」


 間の肉はより水分が抜けたような感じがある。

 だけど自然に乾燥させたために旨みの抜けは少なく噛んでいるとそれなりにおいしくはある。


 常食にするには少し味気ないが保存食の多少日持ちするお肉としてあっても良さそうだ。

 干し肉が手に入らないなら自分である程度こうして作るしかない。


「……なんだかすごい見られてるね」


 試食会をしていると周りのゴブリンの視線がドゥゼアたちに突き刺さるように集まっていた。

 やはりというか食べ物がないのでドゥゼアたちが食べているものに目が釘付けになっている。


「気にするな」


 リーダーがいないから相手できないと言われている。

 この群れに関してあまり関わっていくつもりもないので変に恩を売る必要もない。


「カエッタゾ」


 お腹も満たされて眠くなってきたなと思っていると何匹かのゴブリンが帰ってきた。

 手にはウサギなどの小型の魔物を持っていて、ワッと群れのゴブリンたちが寄ってくる。


 ただどう見てもゴブリンの群れの規模からみると足りない。

 帰ってきたゴブリンたちがドゥゼアたちを見て驚いた顔をしている。


 案内してくれたゴブリンが説明をすると1匹のゴブリンがドゥゼアたちの方にやってきた。


「グガ、オ、オキャクダトキイタ。ナンノヨウダ」


 こいつかゴブリンの群れのリーダーのようである。

 ユリディカやオルケに少し怯えた顔を見せながらも群れのために逃げたりはしない。


「人間から奪ったものはあるか? あるなら食べ物と交換したい」


 ドゥゼアがゴブリンの巣を訪れたのはこれが目的だった。

 ゴブリンは使えそうだと思ったら倒した覚醒者の装備を巣まで持ち帰ることがある。


 あとは人間の肉も食べたりするので死体を持ち帰ってその時に身につけていたものをどこかにとりあえず捨てておいたりもするのだ。


「タベモノ?」


「おう、これだ」


 ドゥゼアは荷物の中から葉っぱの包みを取り出した。

 その中にあるのはオークの肉。


 狩りをして倒したオークの肉を半分取っておいたものである。

 

「コ、コレハ……」


「オークの肉だ。何かいいもんあればこれをお前らにやるよ」


 量としてはそんなにないがオークの肉はゴブリンにとって良質なエネルギーとなるのでこれで数日は命を繋ぐことができるだろう。


「グガ、ワカッタ。ミルトイイ。タダシチカヅイテイイノハオマエタチダケ」


 ゴブリンはドゥゼアとレビスを指差した。

 流石にユリディカとオルケはまだ信用ができない。


 それに住処の大きさもゴブリンサイズで大きくない。

 ユリディカが腕を振り回せば簡単に壊れてしまうだろう。


「えー……」


「我慢しろ。すぐ戻ってくるから」


 ユリディカは不満そうである。


「私の杖見るんですよね?」


「……良さそうなのあったら何本か持ってくるから」


 オルケも不満そう。

 目的のものとしてはオルケ用の魔法を補助してくれる杖なのでその実物を見て選べないのかと不満なのである。


 しかししょうがない。

 ゴブリンの気持ちも分かるのでドゥゼアとレビスだけでゴブリンの住処に向かう。


 杖がなくとも何か防具などあればレビスがそれを作る時の参考にしたいとも考えていた。


「ココ」


 話し振りを見るとリーダーであるゴブリンよりも案内してくれたゴブリンの方が知能は高そう。

 とりあえず話が通じればなんでもいいやと思っていると少し奥めにある家に通された。


 狭い家の中、元々冒険者の荷物だっただろうものが適当に置かれていた。


「オレタチツカワナイ。スキニミロ」


「ありがとう」


 中にはカバンごと放置されているものもある。

 オルケが増えてオルケ分のカバンも欲しいと思っていた。


 適当に中身も出しながらチェックするけれど特に使えそうなものはないのでカバンだけいただいていこうと思う。

 サラッと見た感じ少し古いものが多そうだった。


「武器こっち」


「そうだな」


 目的は杖。

 あんまり道具の方を精査していては時間がいくらあっても足りない。


 武器類がまとめられている一角にドゥゼアは目を向けた。

 そう言っても置いてあるものの量は多くない。


 使えそうなものはゴブリンたちが使うのでここにあるのはゴブリンが使わないものとなるからだ。


「えーと杖……」


 その中から杖を探す。

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