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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第三章

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ゴブリンはダンジョンのボスに挑みます5

「勝ったぞおおおおおっ!」


 どうにも体の熱さがおさまらなくてドゥゼアは吠えるように勝利の雄叫びを上げた。


「ウォーン!」


 珍しいドゥゼアの興奮に驚いていたけれどユリディカもドゥゼアに誘われるように遠吠えをし始めた。


「おー!」


「お、おー!」


 さらに珍しくレビスを両手を振り上げ、大きく声を上げる。

 なので何となくオルケもつられて声を出す。


 ボスアイアンテールウィーゼルがいた後には大きめな金属の塊と牙、魔石が落ちていた。


「……ただの鉄じゃないな」


 これまでアイアンテールウィーゼルが落としたのは名前の通り鉄であった。

 しかしボスアイアンテールウィーゼルが落とした金属は黒っぽくて手に持ってみるとずしっとした重みが手にかかる。


「なななな、なに!?」


 疲れたし少し休もうと思ったら急に地面が揺れ出した。

 立てなくなるほどではないがいきなりの出来事にみんながうろたえる。


「これはマズイな。

 走るぞ!


 疲れてるかもしれないがさっさとここを出るんだ!」


 ドゥゼアはボスのドロップ品を荷物に放り込むと走り出した。

 レビスはこうした時に判断が早くすぐさまドゥゼアに従って走り出し、ユリディカとオルケも一度顔を見合わせた後慌てて走り出した。


「邪魔だ!」


 ユリディカの強化も受けたドゥゼアは飛び出してきたアイアンテールウィーゼルを一撃で切り裂いた。

 ドロップ品は無視してひたすらダンジョンの出入り口を目指す。


「見えたぞ!」


 家のような不思議な出入り口。

 開いているドアをドゥゼアはそのまま駆け抜ける。


「ジー、おかえり……」


「みんな、いるか!」


 水の精霊の出迎えにも答える余裕はなく洞窟の中に戻ってきたドゥゼアは後ろを振り返ってみんなのことを確認する。

 

「…………オルケ!?」


 ユリディカとレビスはいる。

 しかしオルケの姿がない。


 途中までは一緒に走っていたのに。


「置いていかないでぇ!」


 ドゥゼアが慌ててダンジョンの中に入るとオルケが泣きながら走ってきていた。

 頭に葉っぱがついている。


 こいつ転んだな、とドゥゼアは思った。


「早く!」


 まあそんなに焦ることもなさそうだと思いながらドゥゼアはオルケを少しせかす。


「オルケ!」


「ひぃ〜!」


 何とかダンジョンを脱したオルケは洞窟の中でヘロヘロとへたり込んだ。


「どうしたの?」


「転んじゃった……」


 何で遅れたのだと疑問の表情を浮かべるレビスに息も絶え絶えに答えた。

 予想通りオルケは途中で転んでいた。

 

 それでアイアンテールウィーゼルに襲われなかったのは不幸中の幸いである。


「あっ、ダンジョンが!」


「おおっ!?」


 いきなり洞窟の壁や天井が崩れた。

 ガラガラと崩壊してダンジョンの入り口が岩で埋まってしまったのである。


 一瞬洞窟ごと崩壊するかと思ったけれどダンジョン周辺だけが崩壊しただけで済んだ。


「どういうこと?」


 ポカーンと口を開けて驚いているユリディカ。

 何が起きたのか理解できていなかった。


「ダンジョンが消えたんだ」


「ボス、倒した?」


「ああそうだ」


 いつもと違って水の精霊もちゃんと姿を表していた。

 ボスを倒したことによってダンジョンが崩壊して消えてしまったのだ。


 消えないタイプのダンジョンもあるけれどこちらのダンジョンは攻略してしまうと消えるタイプのダンジョンだったようである。


「お前の望み通りになったな」


「ふふ、ダンジョン消してくれてありがと」


「消えてくれてよかったよ」


 ようやく心臓も落ち着いてきた。

 ドゥゼアも地面にへたり込む。


 一気に熱が引いていくような感覚があって、体が少し重たく感じられる。


「なんだか……疲れた」


 そのまま手足を放り投げて大の字になって寝転がる。


「……私頑張った」


「そうだな」


 すすすとドゥゼアの横に丸くように寝転がるレビスはドゥゼアに顔を寄せて甘える。

 今回の功労者はレビスだ。


 金属を操る能力に目覚めて、能力を活かして色々とやってくれた。

 そのおかげで何とかダンジョンの攻略に成功した。


 コケが光る天井を眺めながらレビスの頭を撫でてやる。

 最初であった時には少し賢いメス程度にしか思っていなかったのにここまで使えるようになるとは完全に予想外であった。


「私も頑張ったもんねー!」


 レビスとは逆の側にユリディカもゴロリと寝転がる。

 そしてドゥゼアの手を取るとポフンと自分のお腹の上に置いた。


「はいはい」


「あひゃ〜」


 そのまま手を動かしてユリディカのお腹をわしゃわしゃする。

 気持ちよさそうにユリディカは声を漏らして尻尾を振る。


「あふん……」


 オルケは今回あまり役に立たなかった。

 最後に転んじゃったし今も疲れてドゥゼアのところまでは辿り着けない。


 ちょっとだけ悔しい。

 そう思ったオルケであった。


「……お疲れ様」


「おう」


「水、たくさん飲んで」


「…………ありがとうな」


 水の精霊が住まう魔力をたくさん含んだ水もかなりドゥゼアたちの助けにもなった。

 初めて少し微笑んだような顔をして水の精霊はまた水の中に戻っていった。


「ふう……とりあえず、みんなお疲れ様」

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