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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第三章

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ゴブリンは勇気を出した水の精霊と会話する2

「火とか雷とか他の属性の宝玉もありますが水は魔力の回復なんかを早めてくれるので人気が高いんですよ!」


「らしいが本当にもらっていいのか?」


「うん、ダンジョンどうにかしてくれるなら」


 いくらいいものであっても水の精霊にとっては使い道もない。

 使うこともなければ価値がないのとそんなに変わらない。


 お願いを聞いてくれるのならこれぐらいお安いものであるのだ。


「……分かった。

 とりあえずボスは倒せるように努力しよう」


「ほんと?」


「ああ。

 ただし期待はしすぎるな。


 消えないこともあるからな」


「うん、分かった」


 どうせある程度はやってみるつもりだった。

 上手くやれればダンジョンボスも倒すことだって不可能ではないかもしれない。


「あとは好きなだけ水飲んで。

 でもゴミはダメ」


「分かった、ありがとう」


「じゃあ、寝る。

 緊張して疲れた」


 だいぶ勇気を振り絞った。

 ドゥゼアも強い警戒をあらわにしていたし戦いになることだって考えられた。


 心臓がある生物ではないけれど胸が締め付けられるような緊張をしながら水の精霊はドゥゼアと話していた。

 水の精霊は水と同化して消えて行く。


 こうなってしまうと本当にそこにいたのか分からなくなるほどに気配は感じられなくなる。


「……なあ」


「なに?」


 ドゥゼアが水に声をかけてみると頭を少しだけ水面から出して水の精霊が応える。


「お前はダンジョンには……」


「ムリ」


「……そうか」


 一緒に来てくれるならありがたい。

 そう思ったのだけど水の精霊はすげなく断ってまた水になる。


 アイアンテールウィーゼルは完全に物理寄りな能力の持ち主である。

 魔法に対する防御方法がないと言っていい。


 魔法が使える味方が増えれば攻略が楽になると思ったのだが断られたので諦めるしかない。


「これはどうするかな」


 ドゥゼアはコロコロと手の上で水の宝玉を転がして遊ぶ。

 貴重なものだと理解はしたし、前払いの報酬として受け取ったけれどドゥゼアは魔法も使えないので使わない。


「レビス、手を出せ」


「ん?」


 お腹も満ちて、ドゥゼアに食べさせてもらって気分も満ち満ちて眠くなっていたレビス。

 ちょっとトロンとした目で言われるままに手を出した。


「これはお前が使え」


 コロンとレビスの手に水の宝玉を乗せる。


「ふえええええっ!?

 そこは私でしょう!?」


 あごが外れそうなほどに口を大きく開いてオルケが驚く。

 魔法が使えるのはユリディカかオルケ。


 ユリディカは自分単体で戦うこともあるので魔法を主な戦闘の方法として使うのはオルケの方になる。

 なので当然自分が水の宝玉をもらえると考えていた。


 自分じゃなくともユリディカだと思っていたのにまさかのレビスでとてもびっくりしている。


「レビスが能力に慣れるまでは魔力的な補助が必要だからな」


 えこひいき。

 そんなわけない。


 感情的な問題でレビスに水の宝玉をあげたのではない。

 レビスが新しく得た金属を操る能力も魔力を使う。


 しかしレビスは魔力そのものはあまり多く持っていない。

 そのために能力があっても使用が限定されてしまう。


 大体の場合こうした能力は使い慣れてくると少し魔力の消費も抑えられるし、抑えた扱い方というものも分かってくる。

 早めに能力に慣れるためにはやはり使うしかない。


 水の宝玉に魔力に関する補助的な能力があるのだとしたら今のところはとりあえずレビスに渡して能力を使ってもらうのが1番である。

 それでも魔力が足りなかったり慣れてきて魔力が持つようならオルケやユリディカに渡すことだってもちろんある。


 今すぐ効果の高いオルケに渡すばかりが将来にわたって有効かはまた違うのである。

 

「ぬ……ぬぬぅ……」


 ドゥゼアの説明を受けてオルケも納得せざるを得なかった。

 ここまできてオルケが魔力不足に陥ったこともない。


 必要なところに使うというのは正しい。


「なんか良いものあったらちゃんとお前にもやるから」


「分かってますぅ〜」


 ただ魔法使いとしては割と憧れの品であるので欲しかったのは正直な感想である。


「確かにレビスばっかりもらってずるい!」


 別の意味で悔しそうにしているのはユリディカ。

 槍やイヤリングを貰ったこともそうだし水の宝玉と色々とドゥゼアから貰って羨ましいとユリディカは思っている。


「……ユリディカにも似合うものがあればな」


「絶対だからね!」


 そうは言ったってアイテムを手に入れるのも楽なことじゃない。

 何か合うものがあれば当然プレゼントするけれどそうしたものが手に入るだろうかと少しだけドゥゼアは頭痛がするような思いであった。

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