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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第三章

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ゴブリンはダンジョンに向かいます2

「モテるオスは違うであるなぁ」


 バイジェルンはドゥゼアのモテ具合を見て感心している。


「お前はしゃべりすぎなんだ」


 本当はそんなにしゃべりすぎでモテないなんてことはない。

 バイジェルンも悪いやつじゃない。

 

 別にしゃべりすぎでも構わないけど多分モテない原因を考えるに弱いからだろう。

 魔物の世界でのモテる基準はやはり強いことである。


 だからバイジェルンがモテないのは弱いからである。

 情報収集としてはフットワークが軽くてドゥゼアたちにとってはお役立ちな能力の持ち主だがそれを魔物の間ではほとんど評価されない。


 口の上手さも魔物は評価しない。

 人の世界であったならそれを仕事にしたり口の上手さでモテることもあるだろうが魔物の世界では厳しいものがある。


 シンプルな基準が故に残酷さもある。

 ただドゥゼアが強いかと言われれば疑問である。


 ゴブリンの中では強いのでレビスはいいとしてユリディカと比べるとドゥゼアはどうなのか。

 まあ負ける気はしないとドゥゼアは思う。


 純粋な能力では敵わないが戦い方を心得ているドゥゼアが最後には勝てる。

 しかしそれは実際に戦ってみて分かる結果の話であり今の段階では能力でユリディカの方が強い。


 だからユリディカが弱いドゥゼアに好意を抱いているのは魔物の常識から少し外れた感覚である。


「あとは男らしさかもな」


「男らしさ……である?」


「弱くても諦めずに立ち向かうことってのは大事だからな」


 口でどうにもならない以上劣勢でも戦わねばならない。

 諦めずに戦い勝利をもぎ取ろうとする姿勢は生命力や生存力を感じさせてメスを惹きつけるのかもしれない。


 その点でバイジェルンは逃げるのが早い。

 戦いになるといつのまにかいなくなっている。


「でも最後に生きてるのはお前みたいなやつかもしれないけどな」


 太く長く生きられるのが1番だが細く長く生きていられそうなのはきっとバイジェルンの方である。

 何が良いかなんて分からない。


「そのうちお前にも良い相手が見つかるさ」


「そうであるかねぇ」


 バイジェルンにも好きになってくれる相手はどこかにいるはず。

 ドゥゼアは肩に乗る友に良い相手が見つかれば良いなと考えていた。


 ーーーーー


 遠くまで広がっている草原だったのだが歩いているうちに少しずつ変化してきた。

 黒っぽい岩肌が見えるようになってきた。


「ここか?」


「違うである」


 いつしか切り立った崖の下にドゥゼアたちはたどり着いていた。

 鈍い色をした崖の下はパックリと割れて開いていて洞窟のようになっている。


 てっきりここがダンジョンかと思ったけどバイジェルンは違うと言う。


「中であーる」


「中だと?」


 なんだかちょっとよく分からない。

 洞窟はダンジョンじゃないというがダンジョンは中だと言う。


「とりあえず入ってみるか」


 分からないが行ってみれば分かる。

 ドゥゼアたちは警戒しつつも洞窟の中に足を踏み入れた。


「はわわわわわ……」


「オルケ?」


「暗いぃ……」


 ドゥゼアとレビスとユリディカは暗闇に強い。

 けれどリザードマンであるオルケは暗闇に弱くて暗いとドゥゼアたちよりも視界が効かなくなる。


 暗いのが苦手なオルケはユリディカの腕に手を回している。

 そしてなぜなのかついでにドゥゼアの腕に尻尾も巻き付けていた。


「いや……意外と大丈夫そうだぞ」


 慎重に洞窟の奥に進んでみる。

 ダンジョンにあるような独特の雰囲気は感じられない。


「目を開けてみろ」


「ええ?」


 ユリディカの肩に顔をうずめるようにしてそろりそろりと歩いていたオルケはギュッと目をつぶっている。

 どうしてなのか見えないような暗闇に恐怖を感じるらしい。


「わぁ……」


 そーっと目を開けたオルケ。

 一瞬夜空でも見えているのかと思った。


 洞窟の中の壁や天井が光っている。


「コケだな」


 ドゥゼアは壁で光っているものをつまみ取ってみた。

 薄暗くて分かりにくいが指先ですりつぶしてみると青臭い香りがしている。


 魔力で光るコケである。

 見上げるとまるで夜空を駆ける星の川のように光るコケが生えていてそれなりの明るさがあった。


「どうだ?」


「これぐらいなら……なんとか」


 昼間の外のような明るさはもちろんないがオルケの目でも見えるぐらいに光量はある。


「……まあいいか」


 とりあえず見えるのでユリディカの腕から手を離す。

 しかしなぜなのかドゥゼアの腕に尻尾を巻きつけたままであった。


「ダンジョンじゃなさそうだよな」


 オルケが活動できるほどの明るさがあることは運が良かったけれどどうにもここはダンジョンじゃなさそうだ。

 ダンジョンには独特の雰囲気というものがある。


 魔力に満ちていて外とは違った感じがあるのだ。

 この洞窟も魔力が満ちている感じはあるがダンジョンの雰囲気ではない。


「まだここじゃないである」


「ここじゃない?

 ということは奥にでもあるのか?」


「そのとーりである」


「そうなのか……」


 あまり聞いたことがないダンジョンの立地だなとドゥゼアは思った。

 ダンジョンみたいな洞窟の奥にダンジョンがあるだなんてかなり不思議な場所である。

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