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やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜  作者: 犬型大
第一章

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ゴブリンはダンジョンを目指します2

 ちょうどよさそうだと思った。

 初心者用ダンジョンならチャンスはある。


 同時にだから巣に物が色々あったのかと納得した。

 ゴブリンの足ではそこそこ移動したように思えても人の足ならまだ巣に行こうと思えば行ける。


 ダンジョンのおかげで巣の周辺にも駆け出しの冒険者が多い。

 完全な初心者から一人前の間の半人前の間は調子に乗って油断する人も多い。


 ゴブリンぐらいなら簡単だろうと分かりやすく気を抜いてしまう。

 そのためにゴブリンにすらやられたのだ。


 ゴブリンも調子に乗ったのだろう。

 数も増え、被害が出過ぎて討伐されることになった。


 とりあえずゴブリンにやられる程度の冒険者しかいないのならダンジョンのレベルも高が知れている。


「去ったか……悪かったな」


「ん……もっとこうしていても、いい」


 とっさのことなのでレビスに覆いかぶさるような体勢だった。

 大きな声で話す冒険者たちが離れていったのでドゥゼアがレビスから離れる。


 苦しくはなかったかと心配したがレビスはなんだかニヤニヤとしていた。

 ドゥゼアの体は意外と引き締まっている。


 ゴブリンが故に筋肉が付きにくく見た目にも分かりにくいが骨と皮ばかりの筋張った痩身のゴブリンとは確かに違っている。

 他のゴブリンとは違う逞しい体に抱かれてレビスはドキドキしていたのであった。


 ドゥゼアとレビスは人に出会わないように警戒し、時々道を確認してダンジョンのあるグロヴァに向かう。

 ありがたいことに道に近いところは弱い魔物しか出ない。


 素材として使えない魔物も多くて魔石と呼ばれる魔物の体内にできる魔力の塊だけを取って死体を捨てていくこともある。

 そのために狩りをしなくてもそこらを探すと捨てられた魔物の死体を見つけることができて、食事には困ることがなかった。


 しかし人の姿が増えてきた。

 町が近くなってきたらしくドゥゼアとレビスは少し道から離れて進むことにした。


 だけど町の位置とダンジョンの位置を確認する必要はある。

 道から離れて進むといつまで経っても町を見つけられない可能性もある。


 リスクを恐れるばかりではいけない。


『へっへー!


 どーよ!』


 ドゥゼア、あるいはもうレビスでも狩れるホーンラビットを倒して自慢げにしている冒険者を見つけた。

 どう見ても駆け出し中の駆け出し。


 3人パーティーで戦士の男が2人と魔法使いの女が1人。

 ドゥゼアとレビスは距離を空けて注意しながらその冒険者たちを追跡し始めた。


 逃げられたりもしながら冒険者はホーンラビットを何匹か狩った。

 そして日が落ち始めたので狩りを終えて帰る。


 慎重について行くと冒険者たちは道に出た。

 結局道を辿って行くことになるのかと思っていたらその先に町が見えていた。


 おっ、と思うがここで焦るのはいけない。

 ドゥゼアはそのまま冒険者たちを見送り、道端の草の中に隠れる。


 日が落ちていき、辺りが暗くなる。

 

「よし、行こうか」


 すっかり夜になって人の往来もなくなった。

 ドゥゼアとレビスも動き出す。


 洞窟などを巣にすることも多いゴブリンは意外と暗くても見えるのだ。

 夜に寝る魔物でそんなにその能力は知られていないが月の出ている夜ならば制限も少なく活動できる。


 まずは少し道を離れてから町のほうに向かう。

 見張りはいるが特に塀などもない。


 町の手前にある看板の前まで行く。


『ダンジョンの町グロヴァへようこそ!』


 この町がグロヴァというダンジョンがある町であることは間違いない。

 グロヴァの町の周りをグルリと一周する。


『この先ダンジョン“デアイ”


 あくまでダンジョンなので注意して挑むべし』


 左回りに回っていって4分の3ほど行ったところでグロヴァから道が伸びていて注意書きの看板が立っていた。

 町の近くにあるだけで道がない場合や町中にダンジョンがあるタイプの都市形成をしている場合もあるのでそうだったらどうしようかと悩んでいたが道があった。


 いつでも隠れられるように少し道から外れてダンジョンを目指す。


「おっ、あそこだな」


 ダンジョンは見えないが道の脇に小さい小屋がいくつか並んでいるのが見えてきた。

 町の方でもダンジョンを押し出しているのでこうした光景が見えることはドゥゼアには分かっていた。


 この建物はお店である。

 簡易的な武器の修理を行うお店だったり食堂や食料を売っているお店などダンジョンに来た冒険者をターゲットにしたお店が並んでいる。


 ということはとそのまま進んでいくと並ぶお店の奥にダンジョンがあった。

 簡易的な柵で囲ってあり、ダンジョンであることを宣伝する看板が立ててある。


 盛り上がった土の塊にポッカリと穴が空いていて、その中に下に降りていく階段が見える。

 目的のダンジョンは見つけられた。


 早速攻略、なんてことはしない。

 ドゥゼアはまず並んでいるお店の方を見にいった。


 案内所と書いてある小屋を見つけて裏口に手をかけてみる。

 すると不用心なことに鍵がかかっていない。


 中に入るといくつかのパンフレットがあってダンジョンについての情報が書かれていた。

 1つそれを拝借して案内所を出る。


 何か武器はないかと次は武器屋に向かうけれどこちらの方は頑丈な鍵がかけてあった。

 ゴブリンの力では壊せそうにないので諦めて今度は食料を扱う店に向かう。


 こちらも鍵はかけてあるけど武器屋のものよりも小さい。

 壊せやしないかとナイフを差し込んで体重をかけてみる。


「う……くぅ……だっ!


 グッ!」


「大丈夫?」


「いで……大丈夫」


 バキンと鍵が壊れた。

 中に入ると食料が並んでいる。


 久々の生肉や虫以外の食べ物。

 ドゥゼアとレビスでむしゃむしゃと食べ物を食べて、店内にあった袋に食料を詰めていただいていく。


 恨むならちゃんとした鍵をつけなかったことを恨むんだな。


 そしてダンジョンの向こう側に回っていき、寝床を探す。

 意外とダンジョンの向こう側に人が来ることはないので大きな木を見つけてその上に何とか登って休むことにした。


「落ちんなよ?」


「……頑張る」


 準備は整った。

 明日はダンジョンに潜ってみることにしよう。

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