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【完結】遠くて近きは幼なじみ  作者: カムナ リオ
第一章
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第8話「謝罪」

「……今日は、ありがとうね。楽しかったよ」

「……いや、俺も……」


 翔太は、そこまで言って言葉に詰まった。華は伏せ目がちに言葉を続けた。


「……小学生の頃の事……ごめんね。意地張ってないでちゃんと、すぐに謝れば良かった……」


 翔太は喧嘩別れした時の事が、鮮明に思い出されて、積を切った様に言葉が溢れた。


 違う……違うよーー


「違う……華は何にも悪くない。俺のせいだ。ごめん華……」


 俺の方こそ、ずっと謝らないとと思ってた。


「今、華って」

「あ……」


 翔太は慌てて口を手を抑えたが、もう遅かった。

 そう呼んでくれた方が嬉しいよと、まさに花が咲いた様に華は微笑んだ。


「明日業者さん来るから、wifi直ると思う」

「……そっか。良かったな」

「それじゃあね……」


 お邪魔しましたと出て行こうとする華を、待ってと翔太は呼び止めた。


 どうしても翔太は聞きたい事があった。

 何でどうしても聞きたかったのか、自分でも分からない――

 先程のメッセージの事だ。


「何で……あんな事、聞いて来たの?」

「あんな事って?」

「……彼女いるのかって」


 あーっと、華はバツが悪そうに視線を逸らした。


「いや、だって、彼女いたら、部屋遊びに行くの悪いかなって……」


 え?お前そんな気遣い出来たのかと、華の意外な答えに、翔太は正直驚いた。


「昨日夜中に押しかけといて……今更かよ」

「だから、それは謝ったじゃん!」


 頬を膨らませてムキになる華が可笑しくて、ハハハと翔太は自然と笑いが溢れた。

 釣られて華も笑う。気がつけば、お互い笑い合っていた。


 それじゃまた学校でと、玄関を出て行く華を見送りながら、翔太は自分が少し悲しい気分になっている事に気がついた。


「彼女いるの?」と聞かれた時、自分は心の何処かでもっと別の何か期待をしていた。


 それに気がついて、翔太は自分が嫌になった。

 ずっと離れていて、自分の中にあった醜くて汚いものが浄化された気でいたが、全然変わってない。


 むしろ――


 昨日の夜、ベッドに寝転んで眠っている華に、キスしようとした事が思い出されて、そんな自分が心底嫌になった。


 何も知らなかった、純粋だったあの頃に戻りたい――でも、もうそれは無理な事は分かっていた。


 翔太は、二度と華にこの扉を開けない様にしようと、自宅の玄関の鍵をガチャリと閉めた。



つづく

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