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【完結】遠くて近きは幼なじみ  作者: カムナ リオ
第一章
3/23

第3話「嵐の夜」

『今から行く』のパワーワードが衝撃すぎて、翔太は混乱していた。


 まさかそんな事と思いつつ、自分のよく知る昔の華なら、やりかねないと思った。翔太は慌てて自室から飛び出して、一階の玄関に向かった。


 玄関のドアを開けた瞬間、もの凄い風と雨が吹き込んで来た。空に稲光が走ってる。

 翔太は慌てて、着けていたへッドホンを外した。外がこんなになってるなんて、気が付かなかった。


(……ちょっと、待て! あいつ、この雨の中来る気なの⁉︎)


 そうだと、翔太はハッと気が付いた。

 華に『今外に出るな』とメッセージを打とうと思った時――


 目の前の道から、人影が傘もささずにもの凄い勢いで走って来た。


 普段学校で見かける制服姿とは、かけ離れているが間違いなく仁科 華だった。


 華は浅川家の軒先に飛び込むと、息を切らせながら眼鏡を外し、着ていたパーカーの裾でレンズの雨粒を拭いた。


(……あ、眼鏡)


 華は学校では、眼鏡なんて掛けていなかった。

 小さな頃も掛けていた記憶がない。

 こいつ目が悪くなったんだなーと、ぼんやり思っていた翔太に、華は眼鏡を掛け直すと、冷静だが早めの口調で切り出した。


「ここでいいから、翔……浅川君の家のwifiのIDとパス教えて」


 華は軒先の下でしゃがみ込みながら、懐から出した携帯ゲーム機の、ネット設定をしようとしていた。


(……こいつ、何やってんだ?)


 翔太は訳が分からなすぎて、暫くボーと華を眺めていたが、もの凄い雷の轟音が辺りに響くと、突風と雨が二人に吹き付けて来た。


「ちょっ、とにかく家入れ!」


 翔太は華の腕を掴むと、急いで家の中に駆け込んだ。


 

***


 ゲームのダウンロードを、祈りながら見守っているずぶ濡れの華の頭に、バスタオルを掛けて、翔太は呆れた様に華を嗜めた。


「ゲームのダウンロードって……お前、馬鹿じゃないの⁉︎」

「……だって、家のwifi壊れちゃったんだもん」

「だって、じゃねえよ!」

「でも、翔……浅川君の家のネット回線、借りられて助かったよ。ダメだったら、二駅先のファミレス行こうと思ってたし」


 そこまで聞いて、翔太は更に呆れと怒りが湧き上がって来た。


「……この雷と雨の中⁉︎ どうかしてるだろ⁉︎ ……てか、あのファミレス2時で閉まるだろ。ダウンロード終わんないよ」

「え?」

「これ、レジハンのデータだろ? 俺落とすのに1時間くらい掛かったし……」


 それを聞いた華が、食い気味に翔太に迫った。

 翔太は、あまりの華の勢いに後ずさった。


「浅川君もレジハンやるの⁉︎」

「やるけど……今日は落としただけ」

「一緒にやろうよ‼︎」


 キラキラと顔を寄せて迫って来る華は、翔太に拒否権を与えなかった。



つづく

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