第18話「実験-後編」
「……は⁉︎ ……今なんて言った⁉︎」
「試しにキスしてみて、何とも思わなかったら、それは恋愛感情じゃないんじゃない?」
コイツなんて事言い出すんだと、翔太は絶句した。昔から破天荒ではあったが、その思考回路は更に昔を上回っている気がした。
「す、するわけないだろ!」
華は何故か、この時恐ろしい程冷静だった。
「それは、単純に私に対する嫌悪から来る拒絶なの?それとも、好意があるからこそ嫌なの?」
そう言われて、どうしてこんなに嫌なのかと、翔太もハッと考えさせられた。好きじゃないから嫌なのか、好きだから嫌なのか……
確かに試してみたら、ハッキリするかもしれない――
翔太は華に向き直った。
「……本当に、いいの?」
その一言で、華は我に返った。
私また、とんでもない事やらかしたんじゃ……でも心の中のもう一人の自分が、キッと睨んでいる。「お前は、翔太との友情を信じてるんだろう?」と。
「……いいよ」
翔太は華の両肩を掴み、華に顔を近づけて来た。今気が付いたが、翔太の身長は自分より大分高くなっていた。昔は自分の方が高かったのにと――
「目、閉じろよ……」
その少し掠れた思ったより低い声に、華はどきりとした。
心臓が勝手に早鐘を打ってる。華はそれを制止しようと胸を押さえて、ぎゅっと目を瞑る。
唇に温かく柔らかな感触が降って来た。
華は堪らず薄目を開けると、そこには全く知らない幼馴染の顔があった。
こんな翔太を自分は知らない。
翔太は角度を変えて、もう一度、華に優しく口づけた。
そしてそっと、唇を離す――
「……どう?」
そう尋ねて来る熱っぽい翔太の表情を、華はまともに見られなった。
あの時の、光の言葉が蘇って来る。
『アンタが言う様に、彼をなんとも思わないなら、キスしても気持ち悪いか、どうって事ない事でしょう?』
華はとんでもない事をしてしまったと、改めて後悔した。
つづく
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