表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】遠くて近きは幼なじみ  作者: カムナ リオ
第二章
12/23

第12話「情欲の延長線にある」

「うわっ! いたのか⁉︎ ……翔太、お前電気も点けけないで、何やってるんだよ」


「あ……兄貴」


 翔太は、居間のソファから気怠そうにむくっと体を起こした。


「なんだ? 具合悪いのか?」

「違う……大丈夫……。あ、ごめん、飯の支度してない。今からやるよ」


 翔太は視点の定まらない眼差しで、台所を見遣った。


「いや、いいって。……腹減ったしさ、もう、ピザでも取ろうぜ」


 そう言うと、兄の陽太(ようた)はスマホのピザ屋のアプリを立ち上げた。



***


「マジ、美味そう‼︎ ピザ屋のピザはやっぱ至高だよな!」


 そう言いながらピザを切り分けると、陽太はピザを口にめいいっぱいに頰ばった。


「……」


 陽太は、翔太が先程から一口もピザに手を付けないどころか、一言も口を開かない事が、流石に気になった。


「……なんか、あった?」

「……」

「……」

「……俺、腹減ってないから、もう部屋行くわ……」


 そうこの場を逃げようとする翔太に、陽太は更にピザに手を伸ばしながら、質問した。


「お前さ、華ちゃんと付き合ってるの?」


 翔太は、その質問にギョッと振り向いた。


「……な、なんで……」

「金曜の朝方、華ちゃんがウチから飛び出して来るの見たんだよね」

 


(見られてた⁉︎)


 翔太は、心臓が凍りつきそうになった。


「オレあの日、始発で朝方帰って来たの。で、もうすぐ家着くわーと思ったら、家から女の子、飛び出して来るじゃん? マジびびったわ。よく見たら華ちゃんじゃん、あれ? と思ってさ……」


 その頃自分は眠っていて、兄の帰宅に全く気が付かなかった。翔太はゾッとしたが、兄はピザを食べながらニヤニヤと続けた。


「お前の今日のその感じ、何? フラれたの?」

「そんなんじゃないって‼︎」


 翔太が珍しく声を荒らげたので、陽太はピザを食べるのをやめて、冷ややかに目を細めた。


「付き合ってるにしても、してないにしても、いい加減な事してんなよ。あの時、近所の他の誰かに見られてたら、噂になんぞ」


 先程までの、陽気で穏やかな風態の陽太はもういなかった。冷厳な顔をした兄だった。


「ご近所で噂になってさ……傷が付くの女の子の華ちゃんだろ? そんな事も、分からない訳じゃないじゃないだろ」


 その厳しい眼差しの兄の前で、翔太は何も言えなくなった。


 あの日――なんで、華のメッセージに返信してしまったんだろう?


 なんで、家に上げてしまったんだろう?

 それに加えて、さっきまた別れ際傷つけて、もしあの日ウチから出て行く華が、兄以外の誰かに見られてたらと思うと、ゾッとした。


 何処までも、華を傷つけてしまう自分が本当に嫌だった。


「……って、まあオレが偉そうに、言えた事じゃないけど。父さんには黙っててやるから、来週の家事当番替わってよ」


 弟にそう強請る陽太は、いつものおちゃらけた兄だった。


「まあ、とにかくちゃんと避妊しろよ」

「……は⁉︎ だから、そんなんじゃないって!」

「でも、お前、華ちゃんの事好きなんじゃないの?」


 翔太はその言葉を聞いて、うっとなった。


 違う――


「そんな、綺麗な感情じゃない……」


 項垂れる翔太を見遣って、陽太はウーロン茶のペットボトルを手に取った。


「恋愛感情が綺麗だと思ってるなんて、まだまだガキだな」


 そう告げると、陽太は呆れながらハハっと笑った。



つづく

「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの⁉︎」

と思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろんかまいません。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ