スクールバトラー - 始まり -
今日から高校だけど、ろくな奴居ねぇだろうな…
やっぱ違う高校にしときゃあよかったか…
いまさら後悔しても遅いか…
仕方ない…
俺は1-Dの教室を開けた。
…なんだあいつ…
教室に入って早々目に入ったのは一人の女子生徒だ。
教室の真ん中でキョロキョロしている。
ただの女子生徒には見えない。
関わりたくない…無視しよう。
俺は開いてる席に座った。
やっぱりクラスの奴微妙だな…
すると、どうだろう。
さっきの女子生徒が近づいてくる。
な…なんで来るんだ…?
「ちょっと、あんた。そこ私の席」
「…は?」
鞄なんてどこにも見当たらないが…
「退けて」
「なんでだよ」
「私が決めたから」
…なんなんだこいつは…
「あ、あのさ…」
俺に話しかけてきた奴が居た。
「なんだよ?」
「さっさと避けておいたほうがいいと思う…」
「………?」
なんなんだ?
「あんた早く避けなさいって言ってるでしょ?」
「………」
この偉そうな奴…一体なんなんだ?
「…わかったよ…避けりゃあいいんだろ?」
「何よその口」
「は?」
なんだよこいつ。人の口まで気にするのか?
「決めた。あんた退学ね」
「は!?」
マジでなんなんだこいつ!?
「なんで俺が退学なんだよ!?」
「あんたが素直に避けないのと、私に対しての口の聞き方が悪いからよ」
「…あんた誰?」
「あんた知らないの?私は久々津綾羽。この学校に寄付してる久々津グループの者よ」
く…ぐつ?寄付?
「私の家が寄付しなかったらこの学校潰れてるのよ?だから生徒一人退学させるのなんて簡単。先生だって気に入らなければすぐに首に出来るし。
まぁそれぐらい知っておいてからこの学校に来ることね」
…退学か…そりゃあこいつなら出来るな。
まぁ早く帰りたかったし、ちょうどいい。
「じゃ帰る」
「何言ってんのあんた」
「俺退学なんだろ?」
「それはそうだけど…」
「なんだよ?」
「退学じゃ面白くないじゃない…」
…面白くないって…面白い面白くないの問題じゃねぇだろ…
「…そうね…」
綾羽は深く考えて、そして言った。
「あんた私の執事になりなさい」
「は?なんだそりゃ。執事?なんでだよ」
「いいからなりなさい。メイドでもいいのよ?」
めちゃくちゃだこいつ…
「もう本人の了承いらない。あんた私の執事決定ね」
「ちょ!?」
「あんた名前は?」
「…片岡俊」
「じゃシューね」
「…シュー?」
「俊だからシュー」
………
「じゃああんたの席隣ね」
綾羽はさっきの席の隣を指した。
そこにはすでに人が座っている。
「ってことであんた席ずれて?」
「…わかりました…」
素直にずれるんだなやっぱり…
◇ ◇ ◇
「あ、シュー」
「あのさ、そのシュークリームみたいなあだな止めろよ」
「いいじゃない。美味しそう」
「俺はお前には食われたくない」
「まぁ、それは放っておいて、リンゴジュース買ってきて」
「は?パシリかよ」
「はい!行って来い!!」
…むちゃくちゃだ…
◇ ◇ ◇
「ったく…なんで俺が…」
俺は自動販売機に小銭を入れるとリンゴを押した。
「…はぁ…」
昼以外自動販売機禁止だが…俺が仕留められるんじゃねぇのか?
「おい。自動販売機は昼からだぞ。何をしてる」
「………」
やっぱり先公来た。
「これは訳がある」
「何の訳だ?」
「…久々津に頼まれた」
「久々津!?…そうか、今あったこと言うんじゃないぞ」
先公はそう言って走っていった。
久々津ってやっぱすげぇんだ…
「言うも何も名前知らねぇし…」
◇ ◇ ◇
だいぶ遅くなったな…
「遅いシュー!!」
「…先公が来たからちょっと遅くなったんだよ」
「先生?誰よ」
「名前は知らん」
「そう。次そうゆうことあったら名前聞いておきなさい」
「………」
「リンゴジュース」
「ん」
綾羽はプルトップに指をかけて開けると、美味しそうにコクコクと飲んだ。
「やっぱりジュースはリンゴよね」
「…ジュースって子供かよ」
「何か言った?」
「別に」
「そう。なんかお菓子食べたい。ポッキー」
「おい。購買はまだ開いてない」
「外行けばいいじゃない外」
「…はぁ…」
休み時間もう終わる…
俺は急いで近くのコンビニに行くと、ポッキーを買って戻った。
さすがに元陸上の俺が早く行っても授業は始まっている。
ガラガラッ!
「お前!授業は始まってる!何していたんだ!?」
「…外にポッキー買いに行ってた」
「外にポッキー!?そんなのは家に帰ってから出来るだろう!?それに先生に対して口答えとはなんだっ!!???」
この先公声うぜぇ…
「先生」
「な、なんだ。久々津」
「…うるさいです。声のボリューム落としてください。それと、彼は私が頼んだから外に行ってただけです」
「そ、そうか…もう座っていいぞ…」
すごい変わりようだ…
「遅かったじゃない」
「無茶言うな」
「…まぁいいわ」
次の時間ポッキーの件は噂になっていた。
「ポッキーなんでいちごじゃないのよ!ポッキーはいちごでしょ?」
「そんなの知らねぇよ」
「チョコなんて…ポッキーじゃない…」
◇ ◇ ◇
こうして綾羽の執事になって、一年が過ぎようとした。
「はぁ…寒い…」
「しゅ、シュー」
「なんだよ朝っぱらから」
「なんかそんなこと言われたら…やっぱり止めたくなる…」
「何が?」
「まぁいいわ。せっかくの物が無駄になるわ。はい」
綾羽は俺に箱を渡してきた。
「義理だからね。これはまぁ、いろいろ私の為に働いてくれたし…」
そうだ、忘れてた。今日はバレンタインデーだ。
「義理でこの大きさって…普通じゃねぇ…」
「何よ!いらないの!?せっかくあんたに誰もあげる奴がいないだろうなぁっと思」
「一度出してきたもんを引っ込めるなよ」
「あだ名がシューの人にぴったりのチョコシュークリームだから」
なんか腹立つっ…
「4個入ってるから」
「これ本当に義理か?」
「そうよ」
素で言いやがったこいつっ…
金持ちはちげぇ…
◇ ◇ ◇
よっしゃ。
今年は奴と違うクラスだ。
俺はまた2-Dで、奴は2-Bだ。
隣ってすごい気になる…
「…2-Bか…」
隣の黒ぶち眼鏡気の毒だな…
綾羽と同じクラスだし…
◇ ◇ ◇
あ…こいつは…
今年の執事。
…まさかあの時隣にいた奴が今年の餌食だとは思いもしなかったな…
って言うか自動販売機でリンゴジュースってこれ絶対綾羽だろ…
「…なんだよお前」
いつの間にかそいつは俺を見ていた。
「へぇ…気づいてたんだ?優秀だね…あんたが今年の綾羽の執事。確かにクソ眼鏡だよ。隣のクラスまで聞こえてた」
「で、お前はなんだ?」
なんかかなり警戒をしてるな。
なんでそんなに警戒してるのか…
「あんまり名乗りたくないけど、俺は去年の綾羽の下僕。片岡俊、よろしく」
…こいつ今、噂通りこいつ普通だなって思ったな…
「お前か、去年の下僕」
「俺は去年綾羽と同じクラスで、ボーっとクラスの奴の微妙さを思っていたら、声掛けられたんだよ奴に」
「あっそ。そりゃあ、お気の毒にな」
こいつ気の毒に思ってねぇ…
「あんたもだよ。あんたのクラスに聞いたが、教室のドア開けて目が合って、下僕になったんだろ?」
「あれは失敗だった」
こいつも俺みたいに可哀想だ。
「アホだな」
俺みたいに、さ。
「そう言えばあんた生徒会長だっけ?誰もやりたがらなくて、頭良いあんたにすぐ決まった生徒会長」
「そうだがなんだ?何しに声掛けてんだよ。おかげで綾羽にたっぷりと怒られる」
…俺もよくあった。
わかる…
「そりゃあ、お気の毒にな」
まぁ気の毒には思わねぇが。
「じゃあなまた会おう」
また会う。
きっとこいつは綾羽に今の事言うんだよ。
◇ ◇ ◇
「お〜そ〜い!!!」
教室に居ても聞こえてくる声で言った。
「仕方がねぇじゃねぇかよ。ちょっと話してたんだからよ」
「誰とよ?」
「お前が良く知ってる奴だよ」
「良く知ってるって…誰?」
「片岡俊」
また面倒になる。
まぁ…いいか。




