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スクールバトラー - 始まり -

作者: 幸仁あずき
掲載日:2009/09/22

 今日から高校だけど、ろくな奴居ねぇだろうな…

 やっぱ違う高校にしときゃあよかったか…

 いまさら後悔しても遅いか…

 仕方ない…

 俺は1-Dの教室を開けた。

 …なんだあいつ…

 教室に入って早々目に入ったのは一人の女子生徒だ。

 教室の真ん中でキョロキョロしている。

 ただの女子生徒には見えない。

 関わりたくない…無視しよう。

 俺は開いてる席に座った。

 やっぱりクラスの奴微妙だな…

 すると、どうだろう。

 さっきの女子生徒が近づいてくる。

 な…なんで来るんだ…?

「ちょっと、あんた。そこ私の席」

「…は?」

 鞄なんてどこにも見当たらないが…

「退けて」

「なんでだよ」

「私が決めたから」

 …なんなんだこいつは…

「あ、あのさ…」

 俺に話しかけてきた奴が居た。

「なんだよ?」

「さっさと避けておいたほうがいいと思う…」

「………?」

 なんなんだ?

「あんた早く避けなさいって言ってるでしょ?」

「………」

 この偉そうな奴…一体なんなんだ?

「…わかったよ…避けりゃあいいんだろ?」

「何よその口」

「は?」

 なんだよこいつ。人の口まで気にするのか?

「決めた。あんた退学ね」

「は!?」

 マジでなんなんだこいつ!?

「なんで俺が退学なんだよ!?」

「あんたが素直に避けないのと、私に対しての口の聞き方が悪いからよ」

「…あんた誰?」

「あんた知らないの?私は久々津綾羽。この学校に寄付してる久々津グループの者よ」

 く…ぐつ?寄付?

「私の家が寄付しなかったらこの学校潰れてるのよ?だから生徒一人退学させるのなんて簡単。先生だって気に入らなければすぐに首に出来るし。

まぁそれぐらい知っておいてからこの学校に来ることね」

 …退学か…そりゃあこいつなら出来るな。

 まぁ早く帰りたかったし、ちょうどいい。

「じゃ帰る」

「何言ってんのあんた」

「俺退学なんだろ?」

「それはそうだけど…」

「なんだよ?」

「退学じゃ面白くないじゃない…」

 …面白くないって…面白い面白くないの問題じゃねぇだろ…

「…そうね…」

 綾羽は深く考えて、そして言った。

「あんた私の執事になりなさい」

「は?なんだそりゃ。執事?なんでだよ」

「いいからなりなさい。メイドでもいいのよ?」

 めちゃくちゃだこいつ…

「もう本人の了承いらない。あんた私の執事決定ね」

「ちょ!?」

「あんた名前は?」

「…片岡俊」

「じゃシューね」

「…シュー?」

「俊だからシュー」

 ………

「じゃああんたの席隣ね」

 綾羽はさっきの席の隣を指した。

 そこにはすでに人が座っている。

「ってことであんた席ずれて?」

「…わかりました…」

 素直にずれるんだなやっぱり…




          ◇   ◇   ◇




「あ、シュー」

「あのさ、そのシュークリームみたいなあだな止めろよ」

「いいじゃない。美味しそう」

「俺はお前には食われたくない」

「まぁ、それは放っておいて、リンゴジュース買ってきて」

「は?パシリかよ」

「はい!行って来い!!」

 …むちゃくちゃだ…




          ◇   ◇   ◇




「ったく…なんで俺が…」

 俺は自動販売機に小銭を入れるとリンゴを押した。

「…はぁ…」

 昼以外自動販売機禁止だが…俺が仕留められるんじゃねぇのか?

「おい。自動販売機は昼からだぞ。何をしてる」

「………」

 やっぱり先公来た。

「これは訳がある」

「何の訳だ?」

「…久々津に頼まれた」

「久々津!?…そうか、今あったこと言うんじゃないぞ」

 先公はそう言って走っていった。

 久々津ってやっぱすげぇんだ…

「言うも何も名前知らねぇし…」




          ◇   ◇   ◇




 だいぶ遅くなったな…

「遅いシュー!!」

「…先公が来たからちょっと遅くなったんだよ」

「先生?誰よ」

「名前は知らん」

「そう。次そうゆうことあったら名前聞いておきなさい」

「………」

「リンゴジュース」

「ん」

 綾羽はプルトップに指をかけて開けると、美味しそうにコクコクと飲んだ。

「やっぱりジュースはリンゴよね」

「…ジュースって子供かよ」

「何か言った?」

「別に」

「そう。なんかお菓子食べたい。ポッキー」

「おい。購買はまだ開いてない」

「外行けばいいじゃない外」

「…はぁ…」

 休み時間もう終わる…

 俺は急いで近くのコンビニに行くと、ポッキーを買って戻った。

 さすがに元陸上の俺が早く行っても授業は始まっている。

 ガラガラッ!

「お前!授業は始まってる!何していたんだ!?」

「…外にポッキー買いに行ってた」

「外にポッキー!?そんなのは家に帰ってから出来るだろう!?それに先生に対して口答えとはなんだっ!!???」

 この先公声うぜぇ…

「先生」

「な、なんだ。久々津」

「…うるさいです。声のボリューム落としてください。それと、彼は私が頼んだから外に行ってただけです」

「そ、そうか…もう座っていいぞ…」

 すごい変わりようだ…

「遅かったじゃない」

「無茶言うな」

「…まぁいいわ」

 次の時間ポッキーの件は噂になっていた。

「ポッキーなんでいちごじゃないのよ!ポッキーはいちごでしょ?」

「そんなの知らねぇよ」

「チョコなんて…ポッキーじゃない…」




          ◇   ◇   ◇




 こうして綾羽の執事になって、一年が過ぎようとした。

「はぁ…寒い…」

「しゅ、シュー」

「なんだよ朝っぱらから」

「なんかそんなこと言われたら…やっぱり止めたくなる…」

「何が?」

「まぁいいわ。せっかくの物が無駄になるわ。はい」

 綾羽は俺に箱を渡してきた。

「義理だからね。これはまぁ、いろいろ私の為に働いてくれたし…」

 そうだ、忘れてた。今日はバレンタインデーだ。

「義理でこの大きさって…普通じゃねぇ…」

「何よ!いらないの!?せっかくあんたに誰もあげる奴がいないだろうなぁっと思」

「一度出してきたもんを引っ込めるなよ」

「あだ名がシューの人にぴったりのチョコシュークリームだから」

 なんか腹立つっ…

「4個入ってるから」

「これ本当に義理か?」

「そうよ」

 素で言いやがったこいつっ…

 金持ちはちげぇ…




          ◇   ◇   ◇




 よっしゃ。

 今年は奴と違うクラスだ。

 俺はまた2-Dで、奴は2-Bだ。

 隣ってすごい気になる…

「…2-Bか…」

 隣の黒ぶち眼鏡気の毒だな… 

 綾羽と同じクラスだし…




          ◇   ◇   ◇




 あ…こいつは…

 今年の執事げぼく

 …まさかあの時隣にいた奴が今年の餌食だとは思いもしなかったな…

 って言うか自動販売機でリンゴジュースってこれ絶対綾羽だろ…

「…なんだよお前」

 いつの間にかそいつは俺を見ていた。

「へぇ…気づいてたんだ?優秀だね…あんたが今年の綾羽の執事。確かにクソ眼鏡だよ。隣のクラスまで聞こえてた」

「で、お前はなんだ?」

 なんかかなり警戒をしてるな。

 なんでそんなに警戒してるのか…

「あんまり名乗りたくないけど、俺は去年の綾羽の下僕。片岡俊、よろしく」

 …こいつ今、噂通りこいつ普通だなって思ったな…

「お前か、去年の下僕」

「俺は去年綾羽と同じクラスで、ボーっとクラスの奴の微妙さを思っていたら、声掛けられたんだよ奴に」

「あっそ。そりゃあ、お気の毒にな」

 こいつ気の毒に思ってねぇ…

「あんたもだよ。あんたのクラスに聞いたが、教室のドア開けて目が合って、下僕になったんだろ?」

「あれは失敗だった」

 こいつも俺みたいに可哀想だ。

「アホだな」

 俺みたいに、さ。

「そう言えばあんた生徒会長だっけ?誰もやりたがらなくて、頭良いあんたにすぐ決まった生徒会長」

「そうだがなんだ?何しに声掛けてんだよ。おかげで綾羽にたっぷりと怒られる」

 …俺もよくあった。

 わかる…

「そりゃあ、お気の毒にな」

 まぁ気の毒には思わねぇが。

「じゃあなまた会おう」

 また会う。

 きっとこいつは綾羽に今の事言うんだよ。




           ◇   ◇   ◇




「お〜そ〜い!!!」

 教室に居ても聞こえてくる声で言った。

「仕方がねぇじゃねぇかよ。ちょっと話してたんだからよ」

「誰とよ?」

「お前が良く知ってる奴だよ」

「良く知ってるって…誰?」

「片岡俊」

 また面倒になる。

 まぁ…いいか。

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