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港を目指す前に~ちょっとした出会い~

リリィさんと結婚したり、リリィさんに性的に襲われたりいろんなことがあってSランクになったりリリィさんに絞られたり、王様と仲良くなったりリリィさんに押し倒されたりと言った感じで過ごしてたけど、僕とリリィさん、そしてシャルの3人(2人と1匹)はとりあえず僕の故郷らしいクリアネス王国に向けて出発することにしました。

「だから、まずは春の大陸へ行く船を探して港を目指すわよ。」

「はーい。でも、そこまで歩き?急いでないし、慌ててないけどリリィさん疲れない?それと時間かかると思うよ?」

「そうね。とりあえずは移動手段を探すべきね。旅はかなり長期になるし長持ちするやつ・・・だから、一生モノを探すつもりで行かないとね。」

「馬か馬っぽい何かを探すってこと?」

「そうね。馬車の方に関しては私たちは正直2人と1匹だしなくても困らないし無駄にお金を使うことになるし。」

「そうだね。それなら、なんでフォレスト王国で探さなかったの?」

「確かにあそこにはあったわ。けど、長旅をするとなると合わない子ばっかりなのよ。」

「合わないの?」

「そうよ。常に移動し続けたり、環境が移動する場所によってコロコロ変わったりするからそう言う部分に強いのを探さなきゃならないのよ。」

「なるほど。」

色々と決める基準があるらしい。


「それよりも言って良い?」

「?どうぞ?」

「チェルニ・・あんた可愛すぎない?」

「はい?」

「いや、元々可愛かったけど、改めてみると元々着てた服も似合ってたけど、今見に着けてる服はさすが陛下ね。チェルニに似合うようにとことんデザインまで追求されてるわ。ホント可愛すぎる。」

そう言いながら僕を抱っこしてほおずりしてる。

良くわからないけど、僕に似合うようにデザインも完全にフルオーダーメイドで作ってくれてるってことらしい。

確かに動きやすいし、似合ってるならまぁ良いか。


男としては可愛いという台詞は褒め言葉なのか微妙なところだけど僕個人としては素直にうれしい。

だからお礼に言い返してあげよう。

「それを言うならリリィさんもすごい美人だよね。」

「そう?」

「そうだよ。おっぱい大きいし、お尻とか腰とか太ももとか全体のバランスが僕の好みど真ん中だし、その服だってリリィさんの見た目の清楚っぽい良さを上げててすごく良いと思う。」

「ありがとうね。それと、清楚っぽいってどういうことかしら?」

「?」

「何を不思議そうに可愛く首を傾げてるのよ。」

「毎日何回も僕を性的に襲っておいて何を言ってるの?」

「・・・」

「・・・」

「・・・はい。私はエッチ大好きな見た目だけ清楚な美少女です。」

肩を落としてうなだれた。

「うれしいけど、ほどほどにしてね?お外であんな姿のリリィさんを他の人に見られたくないから。」

「わかったわ。けど、だいぶ性欲のコントロールが出来るようになってきたわ。」

ちなみに、性欲をため込んで後回しにしたり、性欲を体力に変換させたり性欲を増やしたりするのはあるけど、自由に性欲を操るのはさっき確認したけどない。

なので、実戦形式で感覚をつかんだんだと思う・・それだけ数こなしてればねぇ?

例えるなら、自分がお酒を飲める上限を何度も飲み潰れて感覚をつかむのと同じだと思う。


でも、イチャイチャするのは別なのでお外でも定期的にチューされたり抱きしめ合ったりするのは続行らしい。

・・リリィさんって、エロいこと大好きと言うより僕依存症になってない?

「どんな環境でも平気で走るのが大好きで体力もあって言うことを素直に聞いてくれて足が速いやつかぁ・・そんなのどこかにいるのかしら?」

「最低でもどんな環境でも平気で体力がある部分は大事だよね?」

「そうなるわね。場合によっては野生でそれっぽいのを捕まえて育てるしかないわね。」

「お店とかにいなかったら確かにそれしかないよね。」

ちなみに、お料理はリリィさんではなく僕がやります。

リリィさんも出来るけど、料理長さんたちに色々教わったりしたおかげで僕の方が上手だったりするからという理由だよ。

後は、料理を含んだ家事はわりと好きだからかな?

「ねぇ、チェルニ。」

「ん?」

お昼ご飯でスタミナ系なサンドイッチを食べ終わった後でさて移動しましょうかってところでリリィさんがお願いしてきた。

「確かに馬っぽいのは必要だけどね?」

「うん?」

「その前に、1つ欲しいものがあるの。」

「どこかで買えるの?」

「えぇ。歩いて10日くらい私たちの進路方向に大きな町があるんだけどそこの魔道具屋さんで1つ欲しいものがあるの。」

「そこ以外にないの?」

「ないらしいのよ。それで、お金を先にそっちに使いたいなぁって。」

「?欲しいなら買うけど何で僕に聞くの?」

「いやだって、私たちの旅資金の7割はチェルニが稼いだモノじゃないの。」

「リリィさんの場合は、僕がお金を稼ぐ間に旅に必要なモノとか情報とかそういうのを代わりにしてくれてたわけだし、僕たちは夫婦なんだから共有財産でしょ?」

「うん・・ありがと」

ちょっぴり嬉しそうに頬を赤く染めてるリリィさんにほっこり。

「ところで何が欲しいの?」

「シャルの言葉がわかるための魔道具よ」

「シャルの?」

「えぇ。あなたは何もなしでなぜか普通にわかってるみたいだけど普通の人間はにゃんこの言ってることはわからないのよ。最近はシャルの態度でなんとなく察することは出来るようになったけど細かく何言ってんのかはさっぱりよ。その都度チェルニに訳してもらうのも面倒だし。」

なるほど

「それなら良いですよ。それに、リリィさんを求めて群がるアホ軍団のおかげでお金が爆増したし。」

「あぁ・・・」

すごい遠い目をしてる。

「白金貨が1枚だけでも十分えぐかったのにあの数だったものねぇ。」

「追加情報を言うとなぜか僕に着せようといろんな人がくれたコスプレセットの一部もどこかで売る予定だからもっと増えるよ。」

「あぁ・・何種類もらったわけ?」

「えぇっと・・・ぎりぎり3桁いかないくらい?」

「・・・どこにもあほがいたか。」

「それと、途中で歌をいくつか作ったからその分もかな。」

「あら、良いわね。渡す前に聞かせて頂戴ね。」

「良いですよ。楽器は素人に毛が生えた程度なので歌だけになっちゃうけど。」

「構わないわ。それだけでも十分よ。」

「そう言えばリリィさん家で使われてたサイとアルマジロと馬が混ざった馬もどきってアレは?」

「あぁあれ?アレは、セバスの獣魔よ。」

「セバスさんの?」

「えぇ。若いころ世界中を旅してた頃からの相棒なんだそうよ。」

「あぁ、ギター片手にストリートライブをしてた頃の。」

「そうそう。だとしてもセバスがあんなに歌とギターがうまかったとは知らなかったわ。」

「かっこよかったよね。」

「確かに。さて、さっさと行くわよ。」

「はぁい。」



そんな感じで急ぎはしないものののんびりするつもりがリリィさんはないらしいのに加えて僕みたいに寄り道はしないしさせないそうなのでそこそこの速度で進んでる。

道中、魔物が出てきたけどリリィさんの実力を見てみたかったので戦ってもらったよ。

僕と違って攻撃手段は遠距離攻撃。

水を放って相手を貫いたり、杖で殴り殺したりしてたので十分強かった。

そんな感じだったせいなのかこんなのを覚えたみたい。


【投擲】

モノを投げる際に対象への命中率が向上する。

身体能力と相手を狙う冷静さと目の良さに威力は依存する。


【腕力強化】

腕の筋力が日々の鍛錬により鍛えられやすくなり、身体強化で他の部位よりも1.5倍強く出来る。



魔物はちなみにこんなのが出てきた。


ハントスパイダー

全長3メートルの巨大なクモで気配を殺して相手を死角から捕獲し捕食する

獲得アイテム:魔石、丈夫で伸びる糸


クレイゴーレム

土で出来たゴーレム

個体によってサイズや頑丈さが異なる

獲得アイテム:魔石、魔力の土


トゥルマウルフ

最低10体以上のチームで行動し、相手の強さ関係なく襲う狼

獲得アイテム:魔石、牙、稀に毛皮


ポイズンマッシュ

毒の胞子を辺り一面に飛ばし、しびれて動けない状態にしてから徐々に生命力を奪い取る1メートルの歩くキノコ

獲得アイテム:魔石、食用キノコ、稀に痺れ薬


フルーツイーター

果物に擬態して近づいた相手にかじりついて吸血する果物

果物の種類は個体によって異なり、歯はかなり鋭いので食いちぎることがある。

獲得アイテム:魔石、食用果物


アサルトボア

自分の視界を遮られると問答無用で突進してくる5メートルサイズのイノシシ

獲得アイテム:魔石、肉、稀に牙


ムーブプラント

時折動いてあらゆる生き物に絡みついて生命力を吸い殺す植物で薬草によく擬態している

植物の種類は個体によってさまざま

獲得アイテム:魔石、植物(薬草、毒草、山菜のいずれか)



良い感じで換金用のものと食料が手に入ってよかったよかった。

「チェルニがいるとすごく楽ね。」

「そう?」

「あなたが前戦で暴れてくれると私は安心して狙い打てるもの。それに私が当てやすく調整もしてくれるし。」

「そんなの出来るのは、そいつが大したことないからだよ。」

「まぁ、あんな物体を単独で倒してるんなら当然よね。」

あんな物体っていうのは、昔倒したでっかい蛇・・じゃなかったドラゴンのことだったはず。

他にも似たようなヤバい物体を倒したことあるけど黙っていよーっと。

「何か隠してるわね?」

「・・・」

「僕知りませんって感じで視線をそらさないの。・・・黙ってるっていうならこの場で全裸にして襲うわよ?」

「・・・」

ガチな目になってて、本気で脱がされそうになったので勘弁して報告ゲロりしました。


えぇっと、あれと同レベルだと確か5つ。

全身に刃物と鱗を纏わせた虎っぽいやつと、

すっごくでっかくて爪もヤバくて羽をえげつない速度と数を放ってくるいかつい顔した鳥と、

でっかいお城みたいなのに擬態してたゴーレムっぽいやつと、

頭が3つあるすごくでっかい狼みたいなのと、

口から炎と氷と雷と毒をぶっ放すぶにぶにした姿かたちがゲルっぽいやつ


「そんなのが5つです。・・ホントにそれと同レベルだったのはそのくらいです。」

だからこんな周りに何もないお外で性的に食べないでください。

露出趣味も、見られる趣味もないです。

「はぁ・・・やっぱりあんたヤバいわ。」

聞いた話だとどれもSSSランクかSSランクらしい。

それぞれ、

ドラグニルタイガー

ドラゴンの鱗と鋭い刃を全身に宿した5メートルサイズの虎

とにかく動きが早く、わずかに触れるだけでも相手を切り裂き、頑丈な鱗を持つ


タイラントバード

全身の羽を無尽蔵に弾丸のように放つ全長50メートルの鳥

空を飛ぶ速度は非常に早く、鋭い爪とくちばしによって紙のように切り裂き、貫く


キャッスルゴーレム

城になりすまし、その中にうっかり入りこんだものを捕食し、自身の糧とする超巨大ゴーレム

捕食した数に合わせて攻撃力と防御力が高く、一度城に成りすますとそんじょ其処らの相手には決してバレない隠密性を持つ


ジャイアントケルベロス

3つの頭を持つ60メートルサイズの狼

非常に獰猛で爪と牙には毒があり、それぞれの頭によって痺れ、溶解、幻覚の3種の毒を持ち、爪には怪我と状態異常を治療を阻害する効果を持つ


ブレススライム

炎、氷、雷、溶解液を辺り一面にほぼ無尽蔵にブレスのように発射する100メートルサイズのゲル状の生物

体を形成しているゲルを全体の1%以下まで全身を散り散りにしなければ決して死なず、再生してしまう。





どれもヤバい生物だったらしい。

「にゃう」

「え?そうなの?」

「にゃう」

「これなんだ・・」

「シャルがくれたその巾着袋は何?」

「さっき言った5体の生物を倒した報酬金だって。僕がもらわずに放置するから全部を換金した値段分をシャルにコッソリ渡してたみたい。」

「にゃう」

「あ、あのでっかい蛇の残りのお値段分も入ってるって」

「・・・見るのが怖いけどいくら入ってるか見ましょうか。」

結果、黒い金貨が6枚と白い金貨が70枚くらい入ってました。

後端数がいっぱい。

ちなみに、そのシャルが持ってる巾着袋はシャルがいつも首からぶら下げてるすっごい伸縮自在なお財布でお金だけならどれだけでも収まる一品です。

ちなみに、その袋自体の大きさは、シャルの瞳のサイズくらいしかないくらいちっちゃいけど、口部分もすっごい伸びる。

「・・・」

リリィさん絶句。

「ねぇ、この黒いのの価値って?」

「・・白金貨100枚でその黒いやつよ。黒金貨っていうの。」

「・・うわぁ。リリィさん、かなりいい性能の魔道具が買えそうだね!」

「そうね!お金のことは気にしなくてよさそうね!ついでに、お料理用とか野営用とかでこれまで買ってなかったけど便利そうなものも色々と仕入れてもよさそうね。」

細かい部分はスルーと言う意味を込めて開き直ってみたらリリィさんものってくれた。

「と言うより、ホントあんたの過去が気になるわ。そこまで強い理由を・・あとなんで超大国の第一王子がこんなところをにゃんこと放浪してたのか。」

「そんなに気になる?」

「当然よ。私の愛する旦那様のことは何でも知りたいもの。」

「なるほど・・そう言われるとちょっと自分の記憶探し・・頑張ってみようかな。」

「ホント!?」

「うん」

「約束だからね!」

「うん。」

すごくリリィさんは嬉しそうだ。

「だとしても、リリィさんって貴族令嬢だけど何でも1人で出来るのって珍しいんだよね?」

「第一王子のあんたに言われたくないけど、確かに珍しいわね。大抵は着替えから朝起こしてもらうところまで全部メイドたちがお世話するモノ。料理なんて厨房に行くことすらないでしょうね。」

「そうなんだ・・。まともにそういう部分を見たのってリリィさん以外の貴族ってみたことないからメイドさんたちからの情報しか知らないから。」

「あぁ、そういうこと。だとしても、おかしいわね。」

「何が?」

「あんたのステータスよ。」

「僕の?」

「そうよ。それだけ強いのに何でステータスがそんなに低いのかよ。スキルは1つ1つは強さとか熟練度みたいな数値化がされないからぱっと見がわからないから、そっちがすごく強いからどうにかなったって可能性はあるけど、それだけヤバいやつらと単独で勝っちゃうならその程度の数値はありえないのよ。」

「でも、SSSランクって冒険者の人たちはそのくらい出来るでしょ?」

「ゼロではないと思うけど難しいと思うわ。少なくとも五体満足で勝てるかどうかは微妙だと思う。」

「なんで?」

「一般的に、SランクとAランクの差は、Aランクの人が20人分でSランク1人分の強さって言われているわ。その上に行くにつれて、その人数差がSSだと30人、SSSだと50人って言われるの。」

「そんな感じなんだ。」

「でも、SSSランクの魔物と、SSSランクの冒険者の強さが同じランクだからイコールかって言われるとそうじゃないのよ。」

「そうだったの?」

「そうよ。同じランクの魔物を倒すには同じランクだと5人前後は必要なのが一般的よ。だから時々見たと思うけど、Cランクくらいの魔物を10人くらいでちまちま倒してたのがいたでしょ?」

「うん。装備もまだ着られてるけど、そこそこの強さって感じの人たちが。」

「彼らは、BランクになりたてのCランクくらいの実力者たちなのよ。」

「・・・そうだったんだ。じゃあ・・僕は?」

「そう。そんなSSSランクのを1人で五体満足で倒せてるのよ。それも最低6体は。わかった?あの陛下が絶句してた理由。」

すごくテンション高めのおじさまが絶句してたのは確かだったけど、なんでそこまで驚いてるんだろって思ったけどリリィさんの説明で分かった気がした。

「そうだったんだ・・。でももっと謎なのはそんなの相手にたっぷり使われたこの木刀がヒビすらないってことだよね。」

「はぁ~~そっちも謎よ。どこでそんな謎な木刀を手に入れたのか。・・・チェルニのご両親に問い詰めさせてもらうわ。」

「あはは。」

「まぁ、でも私としては旦那様がすごく強くて頼りになるってわかったからすごく頼もしくて誇らしいわ。」

「うん、リリィさんの期待を超えるようにこれからも頑張るね。」

「私も、チェルニに見限られないように頑張るわ。」

「見限る気はないけど・・。」

「気分的な問題よ。いつまでもおんぶにだっこはいやなの。」

「気持ちはすごくわかる・・じゃあ、シャルと1つ特訓してみる?」

「シャルと?・・あのビームを相手にしろって言われたら絶対に嫌よ?」

「そんな危険なことしませんよ。さっき言った魔物5体の数体はシャルのビームで穴だらけになったんですから。」

「・・・・シャルのビームどんだけヤバいのよ。それで?シャルと何をすればいいの?」

「鬼ごっこです。」

「つまり捕まえろと?」

「そういうことです。動きが速いとかじゃなくてシャルは相手の動きを読んで避けることがすごく上手なので先読みとか反射神経、目を鍛えるのにはぴったりだよ。僕もよくシャルと遊びながらそうして鍛えてたから。」

「なるほど・・ある意味でのチェルニの師匠はシャルだったわけね。じゃあ、シャルよろしく」

「にゃう」

「寝てるときとご飯の時とブラッシングの時以外だったらいつでも来いだって」

「上等よ。」

それから、休憩時間にシャルを追いかけるリリィさんの姿をよく見かけるようになりました。

シャルは楽しげだけど、リリィさんはすごく遊ばれてる。

でも、目的の町に着くころには捕まえることは出来なくても軽く指が掠るくらいにはなってたのでレベルアップはされてるみたい。

「はぁ・・中々捕まらないわね。・・ホント速いんじゃなくて避けるのがうまいって言ってた意味をよく理解したわ。チェルニの回避能力の高さの原点を知ったわ。・・だとしても私、強くなってるのかしら?」

「わかりにくいよね。けど、最初はかすりもしなかったのが掠るようになってる時点でかなりのものだよ。」

「それもそうね。」

その特訓の成果は、町に入るための順番待ちの際にリリィさんのお胸につられてやってきたナンパ野郎の集団をリリィさんが杖で全員をボコボコにしたところで本人は実感しました。

ちなみにそんなナンパ集団は全部で13人で全員Aランクのパーティだったりする。

「・・ホントに強くなってたわ。前以上にすごく動きやすいし相手の動きがまるわかりだわ。」

「ね?」

「確かに。」

「でもこれ、ステータスの数値とかスキルにはぎりぎりならない部分なんだよね。」

「そうだったのね・・ホントにスキルにならないの?」

「似たようなのをゲットするときはあるけどリリィさんが理想してるようなのとは微妙に違うのだったりするのが多いよ?」

「そういうものなのね。でも、これって数値通りの強さとは思わないことね!とか物語で言うパターンのやつよね?」

「まさしくそういうのだと思う。」


「そこの嬢ちゃんたち・・もう順番だぞ。」

「あ、すみません。ありがとうございます。」

後ろに並んでた商人っぽい優しそうなおじさんが教えてくれる。

「まぁ気にしないでくれ。あんたらの会話を聞いてるとなんか癒されたから。それと、さっき倒したあのあほ集団どうすんだ?」

「ちなみに放置したら駄目ですか?」

「構わねぇが後で報復に来るぞ。そういう奴って」

「こういう時の簡単な対処法ってあります?」

「門番に頼んどけば良い感じのを適当にしてくれるんじゃねぇか?」

「なるほど。」

「後は、自力であいつらの装備品をはぎ取って換金してそいつらの悪評を流すくらいだな。」

「確実だけど面倒な奴ですよね。」

「まぁな。」


で、門番さんにギルドカードを見せながらあのナンパ集団をどうしよう?と相談。

まぁ、僕とリリィさんのステータスにのってた身分を見て目が見開いてたけど、口にはしなかった点を見るとすごく優秀だと思う。

「・・・バディを組んでたわけだし、普通に身分を使わずとも処分できるぞ?どのみちあいつらはあちこちで似たようなのをやらかしまくってクレームがあちこちから来てたから時間の問題だったし。」

「じゃあ、僕たちへのそういうお金はいらないので彼らを徹底的にやっちゃってその被害者さんたちへ等分して渡してもらうのって可能です?」

「そうなると名前とか身分とか公表することになるが構わないか?」

「その人たち以外には公表しないってちなみに可能です?」

「家のまとめ役とか一部の関係者は例外っていうなら可能だがそれで良いか?」

「で大丈夫です。」

「じゃあ、それでやっとくよ。ようこそヘンドラーの町へ」


そうして、悪質なナンパ集団は、犯罪奴隷にはならなかったもののギルドランクを最低ランクまで降格され、財産も装備品も全て募集され、賠償金をそれなりに払う必要があり、その返済に追われて中々に刺激的な人生を歩むことになるためナンパなんて気にする暇がなくなる感じだったそうな。

それらから発生したお金を被害者さんたちに等分して支払われることになったようです。

ちなみに、その時に僕の名前フルネームが知られて、僕の噂話がクリアネス王国に届いたりするのは別の話。


「とりあえずどうする?」

「良い宿をとりあえず10泊分とってからギルドで情報収集と売るもの売ってから魔道具屋さんを探す。それから観光ってところかしら?」

「うん、それでいいと思う。懐は余裕あるし。でも全部は売らなくていいと思う。僕の売る予定の服とか」

「あらどうして?」

「全部お金にするよりはお金に出来るものがいくつかあった方がいざってときに便利かなって。後は女性服になるけど服の緊急用のストック扱いにもなるし・・サイズがフリーサイズで調整がなんでか出来るし」

「それもそうね。余裕があるんだから無理する必要はなかったわね。とはいえ、ギルドランクにかかわる部分は売るわよ。」

「売ったものとかでランクが上がったりするってこと?」

「そうよ。定期依頼とかに引っかかる場合もあるし、依頼で偶然ってパターンもあるしね。」

「なるほど。」

冒険者のランクは民衆からの評価も必要だけど、依頼をこなしたり依頼主からの評価によってたまるポイントが一定数を超えるとランクアップするってイメージで良いみたい。

後は、実力もプラスで必要って感じかな。



そこで、ふと不思議な視線をシャルと同時に感じてその方向を見る。

「どうしたの?」

「何かの視線を感じて・・」

「またナンパ?」

「悪い気配はないけど、今も続いてる。・・ちょっと気になるから行ってもいい?」

「良いわよ。」

視線がする方へ進んでいくと、そこにはすごく大きな檻にぎゅうぎゅうに閉じ込められて傷だらけのドラゴン・・・っぽい生き物だった。


「なんてひどい扱いを・・」

「おや!家の商品が気になるかい?」

なんかいろいろ企んでそうなよくない雰囲気のおじさんがいやらしい笑みを浮かべて僕たちに近寄ってきた。

無言でリリィさんに近づかせないようにしながら警戒しながら訪ねる。

「えぇ、これは?」

冷静でありながらもどこか棘のある僕のしゃべり方にリリィさんは目を見開いてる。


そう言えば、このモードを見せるの初めてだっけ。

基本的に僕、悪い人か悪そうな人って大っ嫌いなの。

そういう連中に慈悲なんていらないでしょ?

だから、愛嬌をすべて捨てた感じでしゃべる。

僕の身分からすると、王子モードって感じだと思う。

王子としての自覚はないけど。

「えぇ!これは、偶然手に入れたんですよ。だがこれは欠陥品なんでね。」

「なぜ?」

「これはドラゴンですが翼もないし、鱗もない!そのくせ無駄にデカいし、勝手に魔力を大量に奪い取ってくる!それに無駄にプライド高いから懐きやしねぇ。」

「どうやって手に入れたので?」

「そんなの、雇った連中に決まってるじゃないですか。」

「そういうことを何度も?」

にこっと微笑んであげると大抵の人はほいほいしゃべってくれるんだよね。

「えぇ!表では言えない連中を使うんですよ。彼らは金さえ積めばいい品を持ってきてくれる。まぁ、今回は一応珍しい品だったがドラゴンとしては欠陥品も良いところだ。」

後に僕の笑顔はかわいいのに不自然なくらいに相手がペラペラしゃべるから若干怖いと言ってたけど気にしない。

ほほ笑むだけでペラペラしゃべるやつが悪い。

「へぇ・・。じゃあ、欠陥品ならそれが僕に懐いたらただでくれますよね?」

「構いませんよ?懐かなかった場合はそれ相応の代金を請求しますがね。」

下種な笑みでリリィさんの胸を見てるのを見て・・僕は敵認定した。

ちらっとそのドラゴンと目が合うと、なぜか互いの意思が把握できた。

ドラゴンも状況を理解してるらしく僕とリリィさんには友好的みたいで、僕の考えていることにのってくれるみたいだ。

リリィさんも僕の目を見てやりたいことを察してくれた。

「おっと!当然そちらのお連れさん2人に懐かないと片方だけでもわずかにでも懐かなかったら失敗ですからね!」

向こうからすると無理難題を吹っ掛けたっぽいけど甘い。


「とりあえず、その檻・・邪魔」

無言で、炎を木刀に纏わせて檻をたたきつけた後瞬時に氷に切り替えて再度叩き、再度炎に切り替えて殴るを瞬時に切り替えながら繰り返すと1分もかからずに檻はボロボロになって壊れた。

「なぁっ!?あの檻が壊れた!?かなりの大金を使ったのに!?」

甘いよ。

熱した後に急激に冷やすを繰り返すと金属ってもろくなるってセバスさんが教えてくれたし強化系をもりもりで発動させてるからね。

物理攻撃だけでも簡単に捻じ曲げられたと思うけど中に詰められてるドラゴンに当たるからこういうやり方にしたんだから。

とりあえず、片手をリリィさんと共にドラゴンに差し出すと向こうも嬉しそうに僕とリリィさんの手に順番に頬ずりしてくれた。

「ば、ばかな・・・」

「じゃあ約束通りただでもらいますね?」


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